- 特集 向山型国語で見抜く“教材の骨格”と授業展開
- 外してはならない教材の骨格を見抜く教材研究のポイント
- 子どもが熱中する「問い方」への変換が向山型のポイントである
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- 物語教材『わらぐつの中の神様』の骨格を見抜き授業する
- 「教材の骨格」を見抜き「発問」を設定する
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- 説明文『生き物はつながりの中に』の骨格を見抜き授業する
- 第一キーワードから全体構造をつかみ、全文要約へ
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- 詩『海雀』の骨格を見抜き授業する
- 比較することで詩の構造が見え、骨格をつかむことができる
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- 教科書にある「作文教材」の骨格を見抜き授業する
- 例文の骨格を見抜き、原稿用紙に書き写し、視写教材をつくる
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- 教科書にある「読書教材」の骨格を見抜き授業する
- 「隠れた共通項」を際立たせる「繰り返し」の指導
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- ミニ特集 視写と直写で子どもを伸ばす
- 特別支援学級(小学校)/写すという活動で「正しい文」をインプットする
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- 特別支援学級(中学校)/誰もが楽しめ、力をつけた直写・視写
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- 低学年/視写から「当てはめ作文」へと発展させることで、どの子も説明文を書くことが出来た
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- 中学年/「うつしまるくん(視写)は授業中に行なうから意味がある
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- 高学年/直写を活用した誰でもできる毛筆指導
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- 中学校/教師と生徒が成功体験を共有できる視写・直写学習
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- 向山型国語初心者の挑戦―手ごたえを得たあの瞬間―
- クラスが知的な雰囲気になる「日本語の音」の授業
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- 保護者も一緒に熱中! 授業参観で行う読点の授業
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- 子どものノートから見る向山型国語
- 『名取ノート』でみる「学力をつける指導」の秘密
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- 満員御礼!「向山型国語教え方教室」
- 子どもが知らない間に国語の力をつける授業の組み立て
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- 巻頭コラム
- すぐれた教材・教具が教師を助ける
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- 巻頭論文
- 「学んだ技術は蓄積が可能」という主張は向山型なら可能になる。自らが分析的に読むものさしをもつことから始めよう
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- 学年別・教科書教材「教材の骨格」を見抜いた学年別授業展開[11・12月]
- 1年
- 説明文でもわざと間違える
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- 言葉のイメージを広げる
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- 2年
- 段階を追ってのお話づくり
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- バラバラの意見を整理して提示する
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- 3年
- 「手紙の書き方」テキストで、バッチリ!
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- 最終目標から、授業を組み立てる
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- 4年
- 言葉の使い方を学び、使いこなせるようにする
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- 向山型は「問いと答え」の構造を教えながら、文章を建設的に批判する力を育てる
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- 5年
- 俳句の導入にぴったり!芭蕉「閑さや岩にしみいる蝉の声」の授業
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- “中心人物の追求”を「教材の骨格」にした「大造じいさんとガン」の授業
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- 6年
- 向山氏の授業の流し方が骨格
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- 伝統的言語文化・漢詩「春暁」の授業骨格となるのは「実際に見えているもの」である
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- 中学校
- 何の言語技術を習得させられるか決め、習得・習熟・活用の流れで授業を組み立てる
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- 「教材の骨格」を物語の構造を使って授業する
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- 向山型で言語力育成授業を行うとこうなる
- 3年生「おもしろいもの,見つけた」の授業
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- 〜段階に分けて書く〜
- まず習得させたい向山型国語の基礎・基本
- 組み立ての原則1「発問は,易から難へ」
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- 向山実践から学ぶ「発問づくり」の型
- 「違和感」から「省略形」を見抜く
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- 教室で起こった五色百人一首のドラマ
- 五色百人一首に夢中になる子どもの事実で保護者も変わる
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- 教材が生んだドラマ
- 「話す・聞くスキル」
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- 〜子どもの表現力・自主性が高まる指導システム〜
- 向山型国語に挑戦/論文審査 (第57回)
- わくわくする知的な授業を!
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- PISA型対応ワークと教科書教材をこう連携させる
- 『よみとりくん』は,低学年の「読む」単元で威力を発揮する!
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- この「授業システム」でできない子ができるようになった!
- 低学年/全員達成! 1年生に暗唱の授業!―最初の1行の暗唱と、できた子5人がミニ先生で暗唱に熱中した―
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- 高学年/「まねる」「できる」「褒める」のサイクルでセルフエスティームを高める
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- 翔和学園の中に見る向山型国語の事実
- E君の漢字の苦手さは,しっかり見えていないことが原因であった
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- 新分析批評の授業が読解力をあげる
- 説明文と異なる物語の要約指導のポイント
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- 江副文法の授業のススメ
- 三構成法で苦手な中学生も盛り上がる江副文法敬語指導法
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- 向山実践を読み解く
- 子どもたちに自力で読ませるところからスタートする
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- 〜教材文『某は案山子にて候 雀殿』 1989年11月29日 大田区立雪谷小学校4年2組〜
- 女教師がすすめる向山型国語
- 「トピックセンテンス」を教える投げ入れ教材 「ビッグ・ハグ」(向山氏の追試)
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- 教材のもつ力と追試を生かして「ふるさとの木の葉の駅」の実践
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- ダイナミック!中学校討論授業 見逃してはいけない子どもの事実
- 発表の苦手な生徒への指導
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- 「伝統的な言語文化」の授業づくり
- 全体の意味を把握させ討論をさせる
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- 参加型読み聞かせで昔話の世界に引き込む
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- 「一字読解システム」を導入し分析する
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- 故事成語のもとになった話を知らせる
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- 1年生でも「もっとやりたい!」コールが起きる
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- 「五色名句百選かるた」で俳句に親しませてから、俳句作りに取り組む
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- 最新脳科学から見た向山型国語
- 分析批評の観点で「イメージ」が持つ重要な意味とは何か
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- テーマ別 向山型国語QA
- 短い文の授業は難しい…教師の授業力がそこに現れる(その1)
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- 読者のページ
- 「討論の授業が楽しい」「国語の授業に知的な笑いが生まれる」向国教え方教室読者なら味わえる楽しみです。
- 編集後記
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- 向山型国語最新情報
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- 向山型国語に挑戦/指定教材 (第59回)
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巻頭コラム
すぐれた教材・教具が教師を助ける
●本誌編集長 向山洋一
教師が休んだ中学二年のクラスは,荒れ気味のクラスだった。授業中,ずっとおしゃべりが続く。そのクラスに補教に入った。
作戦をたて,「漢字」「スキル」「カルタ」を用意した。すぐれた教材・教具は教師を助けてくれる。
以下は,その授業の様子である。
視写スキルと名句カルタに救われる
中学2年の先生が具合が悪くてお休みされたので,自習監督に入った。課題は漢字練習○ページまで,と言われているが,いつも授業中私語が絶えないクラス。時間がもつわけがない。
そこで計画を立てた。
1 漢字練習(10分)2 視写スキル(10分チェック)3 名句カルタ
教室に入ると,「○先生は?」と聞くので「具合が悪くてお休みです」と言うと「○先生のほうがよかった〜」とさっそくジャブがとぶ。それにはとりあわず,漢字の課題を示した。
大半の子はすぐにやり始めたが,私語がおさまらない4,5人のかたまりがある。じーっと見つめると,「うわ,見てるよ」「何あいつ」と言う。いっこうにやる気配なし。
全体を回って歩きながら,「がんばろうね」とだけ声をかけた。
10分後,視写スキルを印刷したプリントを配った。
「何これ〜?」「めんどくせ〜」「やだ〜」
「とってもかっこいい文章なので,2年生にぴったりだと思ってもってきました。難しいところがあるので,まず私が読みます」と言って音読をした。
中島敦「悟浄歎異」
切れのある文,知的な内容に私語がおさまった。
「上のお手本を見ながら下に写します。時間は10分。目標は350字。はじめ」
その瞬間から,さっきまでしゃべっていた女子がしーんとなって取り組み始めた。すごい!
「やめ,文字数を数えなさい」
目標の350文字を達成したのは2人。でも10分間静かに集中できたことをほめた。
次に名句カルタ。
俳句は何文字か聞くと「五,七,五!」とSくんが叫んだ。
「正解! 足し算してごらん」
17文字。世界で最も短い文学と言われていると伝えた。
続いて季語を聞くとほとんどの子が知っていた。
季語をヒントに,これからやるカルタの季節を当てさせた。
隣同士男女で試合をした。うるさいと思っていたクラスが,俳句やルールの説明のときにはしっかり集中している。とっても楽しそう。
枚数を数えさせると,Sくんが14枚でトップだった。
「すごい! Sくんに拍手〜! ここまでが練習。これから本番です」
「なんだよ,これから本番かよ〜」
と言いながら,楽しそうに札を並べるSくん。
2試合目は読みのスピードを上げた。
どんどん子どもが乗ってくるのが雰囲気でわかり,私自身,とても楽しかった。
2試合目が終わったところでちょうどチャイムが鳴った。
やっぱり視写とカルタはいい! 貴重な一日となった。
もしも医者が,良く効く薬を使わないで,治療したとしたら,どうなるだろう。
すぐれた医師は「正しく診断」して「治る薬を処方」して「正しい飲み方」を指示するのである。
つまり,「すぐれた薬」が,医師の仕事を助けているのである。
教師も全く同じだ。「すぐれた教材・教具」を「正しい使い方」で,子どもにさせるのである。すぐれた教材・教具は教師を助ける。
これは,教師という仕事の生命線であり,これをいいかげんにする教師は,常に崩壊にさらされるのである。
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- 明治図書