向山型国語教え方教室 2010年12月号
向山型国語で見抜く“教材の骨格”と授業展開

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向山型国語教え方教室 2010年11・12月号向山型国語で見抜く“教材の骨格”と授業展開

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ジャンル:
国語
刊行:
2010年10月21日
対象:
小・中
仕様:
B5判 96頁
状態:
絶版
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目次

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特集 向山型国語で見抜く“教材の骨格”と授業展開
外してはならない教材の骨格を見抜く教材研究のポイント
子どもが熱中する「問い方」への変換が向山型のポイントである
谷 和樹
物語教材『わらぐつの中の神様』の骨格を見抜き授業する
「教材の骨格」を見抜き「発問」を設定する
伴 一孝
説明文『生き物はつながりの中に』の骨格を見抜き授業する
第一キーワードから全体構造をつかみ、全文要約へ
田代 勝巳
詩『海雀』の骨格を見抜き授業する
比較することで詩の構造が見え、骨格をつかむことができる
松藤 司
教科書にある「作文教材」の骨格を見抜き授業する
例文の骨格を見抜き、原稿用紙に書き写し、視写教材をつくる
村野 聡
教科書にある「読書教材」の骨格を見抜き授業する
「隠れた共通項」を際立たせる「繰り返し」の指導
太田 聡美
ミニ特集 視写と直写で子どもを伸ばす
特別支援学級(小学校)/写すという活動で「正しい文」をインプットする
野口 澄
特別支援学級(中学校)/誰もが楽しめ、力をつけた直写・視写
久後 絹代
低学年/視写から「当てはめ作文」へと発展させることで、どの子も説明文を書くことが出来た
馬場 慶典
中学年/「うつしまるくん(視写)は授業中に行なうから意味がある
前田 吉法
高学年/直写を活用した誰でもできる毛筆指導
戸村 隆之
中学校/教師と生徒が成功体験を共有できる視写・直写学習
内藤 恵子
向山型国語初心者の挑戦―手ごたえを得たあの瞬間―
クラスが知的な雰囲気になる「日本語の音」の授業
加藤 大揮
保護者も一緒に熱中! 授業参観で行う読点の授業
橋本 信介
子どものノートから見る向山型国語
『名取ノート』でみる「学力をつける指導」の秘密
谷 和樹
満員御礼!「向山型国語教え方教室」
子どもが知らない間に国語の力をつける授業の組み立て
杉山 裕之
巻頭コラム
すぐれた教材・教具が教師を助ける
向山 洋一
巻頭論文
「学んだ技術は蓄積が可能」という主張は向山型なら可能になる。自らが分析的に読むものさしをもつことから始めよう
杉山 裕之
学年別・教科書教材「教材の骨格」を見抜いた学年別授業展開[11・12月]
1年
説明文でもわざと間違える
辻野 裕美
言葉のイメージを広げる
塩沢 博之
2年
段階を追ってのお話づくり
岩田 貴典
バラバラの意見を整理して提示する
溝端 久輝子
3年
「手紙の書き方」テキストで、バッチリ!
小田原 誠一
最終目標から、授業を組み立てる
森川 敦子
4年
言葉の使い方を学び、使いこなせるようにする
中桐 信哉
向山型は「問いと答え」の構造を教えながら、文章を建設的に批判する力を育てる
塩谷 直大
5年
俳句の導入にぴったり!芭蕉「閑さや岩にしみいる蝉の声」の授業
平山 勇輔
“中心人物の追求”を「教材の骨格」にした「大造じいさんとガン」の授業
山口 正仁
6年
向山氏の授業の流し方が骨格
白瀬 嗣大
伝統的言語文化・漢詩「春暁」の授業骨格となるのは「実際に見えているもの」である
東田 昌樹
中学校
何の言語技術を習得させられるか決め、習得・習熟・活用の流れで授業を組み立てる
渡辺 大祐
「教材の骨格」を物語の構造を使って授業する
中野 智子
向山型で言語力育成授業を行うとこうなる
3年生「おもしろいもの,見つけた」の授業
椿原 正和
〜段階に分けて書く〜
まず習得させたい向山型国語の基礎・基本
組み立ての原則1「発問は,易から難へ」
松崎 力
向山実践から学ぶ「発問づくり」の型
「違和感」から「省略形」を見抜く
伴 一孝
教室で起こった五色百人一首のドラマ
五色百人一首に夢中になる子どもの事実で保護者も変わる
川津 知佳子
教材が生んだドラマ
「話す・聞くスキル」
平中 健也
〜子どもの表現力・自主性が高まる指導システム〜
向山型国語に挑戦/論文審査 (第57回)
わくわくする知的な授業を!
向山 洋一
PISA型対応ワークと教科書教材をこう連携させる
『よみとりくん』は,低学年の「読む」単元で威力を発揮する!
新川 莊六
この「授業システム」でできない子ができるようになった!
低学年/全員達成! 1年生に暗唱の授業!―最初の1行の暗唱と、できた子5人がミニ先生で暗唱に熱中した―
兼田 麻子
高学年/「まねる」「できる」「褒める」のサイクルでセルフエスティームを高める
千葉 雄二
翔和学園の中に見る向山型国語の事実
E君の漢字の苦手さは,しっかり見えていないことが原因であった
伊藤 寛晃
新分析批評の授業が読解力をあげる
説明文と異なる物語の要約指導のポイント
平田 真紀
江副文法の授業のススメ
三構成法で苦手な中学生も盛り上がる江副文法敬語指導法
木村 祐美
向山実践を読み解く
子どもたちに自力で読ませるところからスタートする
向山 洋一東田 昌樹甲本 卓司
〜教材文『某は案山子にて候 雀殿』 1989年11月29日 大田区立雪谷小学校4年2組〜
女教師がすすめる向山型国語
「トピックセンテンス」を教える投げ入れ教材 「ビッグ・ハグ」(向山氏の追試)
神谷 祐子
教材のもつ力と追試を生かして「ふるさとの木の葉の駅」の実践
師尾 喜代子
ダイナミック!中学校討論授業 見逃してはいけない子どもの事実
発表の苦手な生徒への指導
長谷川 博之
「伝統的な言語文化」の授業づくり
全体の意味を把握させ討論をさせる
山田 仁
参加型読み聞かせで昔話の世界に引き込む
山口 美智子
「一字読解システム」を導入し分析する
永井 貴憲
故事成語のもとになった話を知らせる
平松 孝治郎
1年生でも「もっとやりたい!」コールが起きる
勇 和代
「五色名句百選かるた」で俳句に親しませてから、俳句作りに取り組む
上木 信弘
最新脳科学から見た向山型国語
分析批評の観点で「イメージ」が持つ重要な意味とは何か
小貫 義智
テーマ別 向山型国語QA
短い文の授業は難しい…教師の授業力がそこに現れる(その1)
星野 裕二
読者のページ
「討論の授業が楽しい」「国語の授業に知的な笑いが生まれる」向国教え方教室読者なら味わえる楽しみです。
編集後記
谷 和樹雨宮 久杉山 裕之
向山型国語最新情報
雨宮 久
向山型国語に挑戦/指定教材 (第59回)
杉山 裕之

巻頭コラム

すぐれた教材・教具が教師を助ける

●本誌編集長 向山洋一


教師が休んだ中学二年のクラスは,荒れ気味のクラスだった。授業中,ずっとおしゃべりが続く。そのクラスに補教に入った。

作戦をたて,「漢字」「スキル」「カルタ」を用意した。すぐれた教材・教具は教師を助けてくれる。

以下は,その授業の様子である。

視写スキルと名句カルタに救われる

中学2年の先生が具合が悪くてお休みされたので,自習監督に入った。課題は漢字練習○ページまで,と言われているが,いつも授業中私語が絶えないクラス。時間がもつわけがない。

そこで計画を立てた。

1 漢字練習(10分)2 視写スキル(10分チェック)3 名句カルタ

教室に入ると,「○先生は?」と聞くので「具合が悪くてお休みです」と言うと「○先生のほうがよかった〜」とさっそくジャブがとぶ。それにはとりあわず,漢字の課題を示した。

大半の子はすぐにやり始めたが,私語がおさまらない4,5人のかたまりがある。じーっと見つめると,「うわ,見てるよ」「何あいつ」と言う。いっこうにやる気配なし。

全体を回って歩きながら,「がんばろうね」とだけ声をかけた。

10分後,視写スキルを印刷したプリントを配った。

「何これ〜?」「めんどくせ〜」「やだ〜」

「とってもかっこいい文章なので,2年生にぴったりだと思ってもってきました。難しいところがあるので,まず私が読みます」と言って音読をした。

中島敦「悟浄歎異」

切れのある文,知的な内容に私語がおさまった。

「上のお手本を見ながら下に写します。時間は10分。目標は350字。はじめ」

その瞬間から,さっきまでしゃべっていた女子がしーんとなって取り組み始めた。すごい!

「やめ,文字数を数えなさい」

目標の350文字を達成したのは2人。でも10分間静かに集中できたことをほめた。

次に名句カルタ。

俳句は何文字か聞くと「五,七,五!」とSくんが叫んだ。

「正解! 足し算してごらん」

17文字。世界で最も短い文学と言われていると伝えた。

続いて季語を聞くとほとんどの子が知っていた。

季語をヒントに,これからやるカルタの季節を当てさせた。

隣同士男女で試合をした。うるさいと思っていたクラスが,俳句やルールの説明のときにはしっかり集中している。とっても楽しそう。

枚数を数えさせると,Sくんが14枚でトップだった。

「すごい! Sくんに拍手〜! ここまでが練習。これから本番です」

「なんだよ,これから本番かよ〜」

と言いながら,楽しそうに札を並べるSくん。

2試合目は読みのスピードを上げた。

どんどん子どもが乗ってくるのが雰囲気でわかり,私自身,とても楽しかった。

2試合目が終わったところでちょうどチャイムが鳴った。

やっぱり視写とカルタはいい! 貴重な一日となった。

もしも医者が,良く効く薬を使わないで,治療したとしたら,どうなるだろう。

すぐれた医師は「正しく診断」して「治る薬を処方」して「正しい飲み方」を指示するのである。

つまり,「すぐれた薬」が,医師の仕事を助けているのである。

教師も全く同じだ。「すぐれた教材・教具」を「正しい使い方」で,子どもにさせるのである。すぐれた教材・教具は教師を助ける。

これは,教師という仕事の生命線であり,これをいいかげんにする教師は,常に崩壊にさらされるのである。

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