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特集の解説
学級崩壊を防ぐ仲間づくりの体育
千葉市立あやめ台小学校
根本正雄
『学校の失敗』(扶養社)には学級崩壊を防ぎ、新たな 世紀へ向けた教育の方向が示されている。
向山洋一氏の基本的な考え方と実践レポートによって、具体的な子供を変える方法が示されている。
「学級崩壊」の原因は、解決する方法を示せず、子供に十分な指導がなされていないからである。
その具体的な解決方法が向山洋一氏の『学校の失敗』(扶養社)に詳しく述べられている。
体育授業の上手な教師には学級崩壊は少ない。なぜなら、体育授業には子供を動かす指導技術が多く使用されているからである。
教室の中の授業では、子供は自分の席に着いている。あちこちに出て歩くこともない。
ところが、体育の授業は最初から最後まで席を離れての活動である。
活動欲求の多い子供を集めたり、静かに話を聞かせたり、運動させたりするには指導技術が必要である。
これらの指導技術を体得していれば、教室での子供の把握も簡単であり、学級崩壊も防げる。
新卒のころ私も学級崩壊に近い学級を担任したことがある。1年間一人で悩み苦しんだことがあった。
その時に役立ったのは体育の授業である。体育授業の中で仲間づくりをする中で、学級崩壊に近いクラスを立て直していった。
影響力のある子供をリーダーにして、グループ学習を行った。あるいは、二人一組にして磨き合い学習をさせた。バラバラだった子供が、教師の指導によってまとまりを見せ、集団としての仲間づくりがされていったのである。
学級崩壊している学級に共通しているのは、教師への信頼が欠けていることである。
信頼のない教師の指示では子供は動かない。教師の指導によって、子供の力が伸びた時に子供は教師の指示を受け入れていく。
本特集では、各領域ごとに具体的に子供が変容した実践例が示されている。
教師の指示や発問が行き届かなく、まとめることの難しかった学級をどのようによくしていったのかが紹介されている。
例えばバスケットボールで一人一個のボールをかごから持ってくる時に、「ボールをはやく持ってきなさい」と指示したとする。
学級崩壊しているクラスでは、我先にと脱兎のごとく全員がかごに走る。そこではボールの奪い合いが始まり、混乱が生じる。授業が成立しないのである。
そういう時には、次のように指示する。
「4列に整列します。太鼓がなったら1列目の人、ボールを持ってきなさい。太鼓が2つなったら2列目の人、ボールを持ってきなさい。太鼓が3つなったら3列目の人、ボールを持ってきなさい。太鼓が4つなったら4列目の人、ボールを持ってきなさい」
このようにして、ルールを決めてから行動させるのである。ボールを持ってくるにもルールがあることを理解させていく。
簡単なルールなので誰でも守れる。ルールが守れず、はやく飛び出した子供にはやり直しをさせる。
何度でもできるまで徹底する。ボールを持ってくるという簡単な指示から、集団としての規律を作ることができるのである。
集団としての統率力がどのように発揮されたのか、領域や教材に即して示してある。
体育の授業で悩んでいる教師が少しでも子供を掌握し、楽しい授業ができる方法が示されている。
本特集では、学級崩壊を防ぐ仲間づくりの体育授業の実践例が多く紹介されている。活用していっていただきたい。
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