- 特集 すぐれた授業を支える“体育の微細技術36”
- 特集の解説
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- 実践事例
- 学習技能:器具・用具の出し入れ
- 空白時間をなくす指示で
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- 学習技能:学習ノート
- 「体育ノート」を作ろう!
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- 学習技能:グループの作り方
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- 見学者に「学習に参加している意識」をもたせる
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- 基礎感覚・基礎技能を伸ばす
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- 集団行動:座り方
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- 学習過程:基本の運動
- 楽しさあふれる基本の運動は、ネーミングから
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- 学習過程:陸上運動
- 具体的なイメージで子供の走りが見違える
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- 学習過程:球技
- ワンバウンドルールで全員活躍
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- 学習過程:器械
- 鉄棒にたくさんふれさせる学習過程を組む
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- 学習過程:水泳
- 対戦ゲームで運動量を確保
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- 学習過程:表現
- まねっこから始めよう
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- 指導方法:マット
- 視点を意識させることで動きが変わる
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- 指導方法:鉄棒
- 毎回、サーキットを取り入れる
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- 指導方法:跳び箱
- 開脚跳び指導の微細技術
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- 指導方法:短距離走・リレー
- タイムロスをなくすバトンパス
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- 指導方法:走り幅跳び
- ミニコーンで歩幅のリズムを変える
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- 指導方法:走り高跳び
- 練習量を増やす
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- 指導方法:ハードル走
- ハードルを1台に限定し評定していく
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- 評価:基本の運動
- 指導と評価の一体化
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- 評価:陸上運動
- 全員に保障したポイントでは個別評定を使う
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- 評価:球技
- 「動きチェック表」で一目瞭然
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- 評価:器械
- 観点をはっきりさせこまめに評価を行なう
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- 評価:水泳
- 運動の細分化と自己評価・相互評価
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- 評価:表現
- 元気に大きく表現させる評価
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- 教材・教具:サッカー
- 教具を工夫することでサッカーを楽しく
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- 教材・教具:バスケットボール
- 一石二鳥をねらおう!
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- 教材・教具:ハンドボール
- よいチームづくりを目指したボールゲームの学習を
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- 教材・教具:ソフトバレーボール
- 「ルールの工夫」と「基礎技能習得」
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- 教材・教具:水泳
- ゴーグルを使った楽しい水遊び
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- 教材・教具:表現
- イメージの助けになり、動きに変化を与えるものを提示する
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- 教材・教具:リズムダンス
- 「ダイナリズム」にみる優れたリズムダンスの条件
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- ミニ特集 新学習指導要領への提言「走り高跳び」
- 低学年/跳びっこ
- たくさんの場を作り、子供に工夫をさせる
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- 中学年/高跳び
- 学び方の学習を
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- 習熟過程を踏まえた指導に変えよう
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- 高学年/走り高跳び
- 個に応じた指導を行なう
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- ロイター板でハイジャンプへの道
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- ライブで体感!TOSS体育講座
- これからの運動会の目玉になる「よさこいソーラン」
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- レベルアップ!ここが体育授業のポイント
- 戦術学習はフラッグフットボールで
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- マンガで見る楽しい体育指導 (第44回)
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- 体ほぐしで心も体もリラックス
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- 誰もができる体育主任の仕事
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- ライフスキルと健康教育 (第20回)
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特集の解説
すぐれた授業を支える“体育の微細技術36”
千葉市立弥生小学校
根本正雄
2003年2月21日、奈良女子大学文学部附属小学校で第11回日本体育教育技術学会が開かれ、岩井邦夫氏の授業がなされた。
岩井氏は3年生の学級で「豆忍者修業」の授業を展開した。授業が成立するには多くの指導技術が必要である。
本特集では微細技術に焦点を当てて紹介されている。
岩井氏の「豆忍者修業」は素晴らしい授業であった。子供が主体的に生き生きと活動していた。
体育館いっぱいに繰り広げられた器具・用具は圧巻であった。鉄棒、マット、跳び箱、平均台、梯子、肋木、的当てとすき間なく埋め尽くされていた。
岩井氏の授業には器具・用具だけでなく、多くの微細技術も活用されていた。
器具・用具の準備に8分、後片づけに5分と素早い動きであった。そのために岩井氏は教室で模造紙に配置図をかき、誰が何を運ぶかを確認していた。
体育館で確認するのではなく、教室で確認するという微細技術をされていたのである。
全員の子供がめあてを明確にもっていた。めあてに向かい、動きを工夫しオリジナルの技を開発していた。
そのために、岩井氏は一人一人の本時のめあてを細かく一覧表にした用紙を持っていた。誰がどんなめあてかを全部把握して指導していた。
それと同時に岩井氏は一人一人に到達させる目標をもっていた。達成目標と子供のめあてをもとに実際の動きを評価しながら指導していたのである。
場作りは全て個人差が吸収できるように工夫されていた。
鉄棒の高さ、跳び箱の高さと向き、マットの幅等、全ての子供のめあてが達成できるように工夫、設定されていた。
マットは狭いマット、広いマットがあった。「まっすぐに回る」ことができたかどうかは、狭いマットで回れたかで評価できる。
跳び箱を横の4段、5段、6段に設置してあり、横の跳び箱では開脚跳びがされていた。連続して設置してあるのでリズムよく跳べ、しかも高さへの挑戦ができ、自己評価ができるようになっていた。
子供が何度も挑戦したくなるような仕掛けがされ、やらされているのではなく、自ら活動しめあてを達成していた。全て自己の目標に向かって挑戦できる場になっている。
教師の一斉指導の場面は少なく、ほとんどが個別指導であった。そのために、一人一人に声掛けをし、めあてが達成できるように助言し、師範していた。「声掛け」という微細技術で個別指導をしていたのである。
時には一緒に走り、補助をし、跳んでいた。感心したのは、子供と一緒にマットを回り、梯子をくぐり、平均台を走っていたことである。
子供と共に動き、子供と共に友達の動きを観察していた。印象的なのは平均台の上を走る競争を一緒にしていたことである。
一緒に走ることによって教師の呼吸を感じ、教師の走るリズムを体で感じられる。共感的な関係が生まれるのである。
「子供と一緒に走る」という微細技術で子供の意欲は高まり、動きは高まっていった。
目に見える指導技術だけではなく、目に見えにくい微細技術を料理の隠し味のように巧みに活用していたのである。
このような多くの微細技術を活用しながら、本時の目標が達成されるように授業の組み立てがなされていた。その結果、どの子供も生き生きと運動していた。
本特集では岩井氏の授業のように、授業を成立させ、しかも普段気が付かない微細技術を取り上げ紹介してある。授業に取り入れ、少しでも楽しい体育授業を作っていってほしい。
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