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特集の解説
最初の3分が見事に決まる“授業の優れパーツ”
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
最初の3分をどのように展開するかによって、体育授業の全体が決まる。それだけ、出だしの3分は重要である。
どのようなパーツで子供の心を掴み、授業に参加させるかが勝負なのである。
浜井俊洋氏の「シンクロ側方倒立回転」の模擬授業を参観した。次の導入のパーツは見事であった。
説明1 はじめに、基本形を説明しますね。マットの上に立って、跳び箱に手をついて、そして、向こうのマットに下りる。(1回示範)これが基本です。
指示1 最初は両手を同時について「トン(両手)・トン(両足)」で渡ります。終わった人はこちら側でやります。どうもこの方向がやりにくいという人は方向を変えてやってごらんなさい。
リズムに関する言葉かけ(はじめは先生がリズムを刻んでいる)
・トン・トン、声出してやるんだよ。
・トン・トン、そう、福岡君のように声を出すんだ。(自分で声を出して回り始める)
・トン・トン、みんなで声出してやるんだよ。(待っている子も声を出し始める)
・田中君すごいなあ。トン・トン。
・リズムに合わせてやってごらん。
マネジメントに関する言葉かけ
・できるだけ友達の様子が見えて、声がかけられるところでいてね。
このパーツの優れているのは次の点である。
1.教師が基本形を示範し、視覚的な情報で動きのイメージを明確にした。
2.トン・トンと声を出してやることを示範し、聴覚的な情報で動きのイメージを明確にした。
3.声を出す動きのイメージを教師→福岡君→みんなの順にたたみみ込むようにして、繰り返し指示して明確にした。
4.「田中君すごいなあ。トン・トン」とよい活動をすかさず誉め、動きの方向を明確にした。
浜井氏の動きのイメージを伝える3分間のパーツによって、模擬授業に参加していた教師はどのように動いたらよいのかを把握することができた。
体育授業で大切なのは、いかに動きのイメージを子供にもたせるかである。
そういう意味で浜井氏の指導は優れていた。その後の教師の動きは明確なイメージをもち、自信に満ちた動きになっていた。
明確なイメージをもたせるために、浜井氏は最初に示範をした。しかも跳び箱を使って、実際に跳んでみせた。
物を使って、子供の前で跳ぶということが、イメージ作りに有効であることを認識した。
教師が跳べない時にはどうするか。子供に練習させておいて、子供に跳ばせるのである。教師がすべて示範する必要はない。
次にリズム言葉で跳び方を指導した。ただ跳ばせるのではなく、「トン・トン、声出してやるんだよ」と言われたほうが動きやすい。
動き方は分からなくてもトントンというリズムは伝わりやすい。浜井氏はさらに、上手にできている子供をほめて、動きの真似がしやすくしている。
一人だけではない。次から次へとほめていっている。子供は自分もほめてほしいと思って動くようになる。
3分間で、浜井氏の意図する動きと授業の流れに沿って展開されていたのである。
最初の3分のパーツによって、授業がスムーズに展開していったのである。子供を授業にのせていく指導の極意が見られた。
本特集では、浜井氏のような最初の3分のパーツが紹介されている。
具体的な実践事例に基づいて、教師のどんな意図があり、どんな方法で指導したのかが紹介してあるので、授業にすぐ役立つ内容である。
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- 明治図書