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特集の解説
ワザを習熟させる“個別評定”の極意
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
向山洋一氏の阿波踊りの個別指導を何度も見たことがある。何度見ても素晴らしく、動きは短時間に変容した。流れは次のようである。
@ 足の動かしかた
A 手の動かしかた
B 足と手を一緒に動かす
C 面を付ける(顔の表情を付ける)
指導の時間はたったの30分である。殆どの教師が阿波踊りをマスターされた。
短い時間に、個性的な踊りができるようになったのである。向山洋一氏の指導の中で際立っていたのは個別評定である。
例えば、1点、3点、5点などと評定する時に観点を示すのである。あるいは、「うまいですね」などとほめながら評定していく。
だから、見ている先生は具体的なイメージをもつことができる。評定を通して動きのイメージを作り、動きを上達させるのである。
習熟させる個別評定が素晴らしいのである。10点を目標にして、一人一人の動きを評定していった。
最初は2点から始めた。形ができていれば合格である。基本の練習で全員できているので簡単に合格する。
ここで達成した喜びが体験できるので、もっとやろうと意欲がでる。
子供に指導する時には、2点、3点、4点と少しずつ点数を上げていく。私が参観した時は、先生方が相手だったので5点にしていた。そうすると合格できない人が出てくる。
「手の動きがあっていませんので4点です」
「下を向いてやっていたので3点です」
あるいは、大変よい点で合格する人が出てくる。
「動きが大変柔らかいです。8点です」
これらの評定の観点が動きを高めていくのである。個別評定が上達させる極意なのである。極意をさらに詳しく分析していくと次のようになる。
@ 評定を数字で示す。
A 評定の観点を示す。
B 評定の点を少しずつ上げていく。
C 評定を通して動きのイメージを作る。
D 評定によって達成感が得られる
個別評定で何が大事かというと数字で評定することである。自分の動きが10点満点で何点かを知ることである。
点が低ければ、「どこが悪いのだろうか。どこを直せばよいのだろうか」と子供は考える。
同時に動きのよい子供を観察し、真似をしていく。少しでも点をよくするために、どこを修正していけばよいかを探していく。
子供が自分で動きを高める観点が理解できる場合はよいが、気がつかない場合がある。
そういう時には、教師が観点を示していく。具体的に指摘されて初めて子供は気づく。点数で評定しただけではよくならない。
自分で気がつく子供と観点を示さないと理解できない子供を峻別して指導する。そのためには、動きの変わる観点をしっかりと教師が把握しておくことである。
次は評定の点数を少しずつ上げていくことである。最初から高い店数をつけると練習する目標がなくなる。
少しずつ上げていくことによって、子供は意欲を持ち、練習に集中していく。動きも少しずつ高まっていく。
評定を通して、どんな動きがよいのかが全体の子供に伝わっていくようにする。時には店数の高い子供に全体の前で示範をさせていく。
動きのイメージを明確に作ることが教師の役割である。そのためにも個別評定を行なっていくのである。
結果としてよい動きになり、達成感を得ることができるのである。踊ってよかったなと感じるのである。
本特集では、以上のような向山洋一氏の個別評定の極意を他の領域の実践で紹介してある。参考にして実践していってほしい。
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