- 特集 マット運動―この指導で全員が達成できる!
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- 〈動物歩き〉動物歩きでマット運動に必要な基礎感覚を身に付ける
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- 〈足うちとび〉楽しみながら逆さ感覚と腕支持感覚を鍛える
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- 〈うさぎとび〉三つのステップで100%できる
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- 〈アンテナ〉つながる動きから入り、一時一事の指示で全員達成
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- 〈ゆりかご〉「お腹と太ももをくっつけなさい」で全員達成
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- 〈横回り〉「長い鉛筆」に変身!
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- 〈後転〉怖がらないで!スピードつけて!
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- 〈側方倒立回転〉着手の手は右か左かを調べるのが先決
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- 〈開脚前転〉ポイントを問い、個別評定する。最後は、ずらしたマットで100%達成
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- 〈開脚後転〉開脚後転でマット名人
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- 〈組み合わせ遊び〉正しい技とスムーズな「つなぎ」をマスターさせる
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- 〈伸膝前転〉技のイメージを持たせ、三つの場でつまずき解消
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- 〈伸膝後転〉変化の繰り返しをステップにして指導する
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- 〈首はね起き〉「首はね起き」はブリッジから
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- 〈頭はね起き〉はね起きる前の姿勢を大切に〜頭はね起き〜
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- 〈組み合わせ技〉ゆりかごの習熟から発展技
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- ミニ特集 7月の体育はこう指導する(マット運動)
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- テンポよく一時に一指示をし、個別評定する
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- 変化のある繰り返しで“基礎感覚、基礎技能”を育てる
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- レベルアップ これだけは押さえたい体育授業の基礎・基本
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- マンガで見る楽しい体育指導 (第88回)
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- 教材発掘!この教具で子どもが熱中 (第4回)
- 効果てきめん!スーパーとびなわとチャレンジシールの併用でなわ跳びブームが起きる
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- 〜抵抗をなくす場作りのステップ〜
特集の解説
TOSS体育授業研究会代表 根本正雄
マット運動−この指導で全員が達成できる!
マット運動は器械運動の基礎作りができる教材である。器械運動に必要な逆さ感覚、腕支持感覚、平衡感覚、回転感覚などの感覚づくりができるからである。
マット運動に前転がある。跳び箱運動には台上前転がある。鉄棒には前方支持回転がある。三つの教材に共通しているのは、すべて腕支持で回転するという運動である。
その中で一番の基礎はマットでの前転である。マットでの前転は床での動きなので、跳び箱や鉄棒のような高さへの恐怖心がない。
床で前転の基礎を作っておけば、跳び箱、鉄棒への発展としていく。そのために、学年の器械運動の系統として、最初にマット運動を行うことが大切なのである。
他の運動への発展となるマット運動が100%達成できることは、他の運動もできることにつながっていく。
向山型体育では「個別評定」によってある観点を評価しながら達成させていく。
教師の前で個別評定をうけながら、運動のポイントを獲得していく。変化のある繰り返しで課題を変えながら興味を持続させていく。
村田淳氏は大阪の体育セミナーで習熟過程に即した指導を行った。順次性の原則に基づいて、ゆりかご、前転、シンクロジャンプ前転の流れの中で、無理なく無駄なくむらなく前転ができるようにしていった。
向山型体育でも村田氏の体育でもゆりかごを基本の動きとしている。
ゆりかごをいかに習熟させるかに指導のポイントがあり、結果としてどちらの方法でも100%達成できる指導を行っていた。
本特集では、マット運動の教材を100%達成できる指導法が、次のような項目で紹介されている。
1 教材名
2 子どものつまずき
3 100%できるようになるコツ
4 指導上の留意点
5 授業の実際
6 子どもの変容
最初に子どものつまずきが示してある。前転ができない子どもは正しい腕支持ができない。
腕支持ができないために、すぐに頭のてっぺんを着いてしまう。
そのために後頭部がマットに着かずに背中が伸びてしまう。背中が床に着かずに倒れてしまうのである。
背中の着いた前転をするには、腕で体を支えて後頭部を着くようにする指導が大切である。
つまずきの後には、100%できるようになるコツが示しある。
腕支持が弱いわけであるから、基礎感覚づくりで体を支持できるようにする。そのための運動遊びが紹介してある。
その際、どんな指導上の留意点が大事かが示されている。基礎感覚づくりの運動では、かえる倒立がある。逆さになって腕で体を支える動きである。
いきなり行うと腕で支えきれずに、口から床に落下する危険がある。最悪の場合には前歯を折ってしまう。そのため、マットの上で行うことが必要になる。
以上の内容を追試ができるように「発問・指示」を入れた授業の様子が紹介されている。
その際、子どもがどのように変容したのかも最後に示してある。
数値で示してあるので、変容がはっきりと分かる。実際に指導して、うまくいった事例が紹介されている。
実際に追試をされて効果を確かめてほしい。子どもの実態が異なるので、同じように行かない場合がある。そういう時には、どこに原因があるのかを追及して欲しい。
その繰り返しで指導の技術が高まっていく。何度も何度も繰り返していく中で、子どものつまずきや指導法が理解されていく。
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- 明治図書