生活指導 2001年5月号
学級から逃げ出す子どもと向き合う

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生活指導 2001年5月号学級から逃げ出す子どもと向き合う

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2001年4月
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

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特集 学級から逃げだす子どもと向きあう
特集の解説
荒井 伸夫
実践記録 学級から逃げだす子どもと向きあう
いっしょに班をつくるんだ
田中 新一
まりちゃん、咲いた
池田 さとみ
キャッチボールしよう!
花山 尚人
実践記録のコメント
学級から逃げだす子どもたちにどう向きあうか―田中、池田、花山氏の実践を読んで―
大和久 勝
コメントを受けて
親との対話を進めることのむずかしさをどう越えていくか
田中 新一
親との関わり
池田 さとみ
指導のスタンスについて
花山 尚人
自己存在が認められる世界を
秋野 俊作
ゆれることとつなぐこと―重要な他者の発見と克服環境の広がり―
鈴木 庸裕
第2特集 〈学校〉はどこへいく(2)
なんで、英語なんか覚えなくちゃいけないの
菅 寿子
ジコチュウな生徒に国際理解と言ったって―国際理解教育の前提としての人権教育―
道野 浩平
学校の中にどのように「改革」が持ち込まれているか
佐々木 章雄
教育実践の創造と学校自治―下からの国際理解教育を創造する―
住野 佳久
今月のメッセージ
「らしさ」からの解放を
柏木 修
教育情報
「五〇〇〇万円恐喝事件」から一年、閉ざしていては見えてこない
山口 正
書評
『子どもの参画』
田久保 清志
読書案内
「心を商品化」する時代の中で
荒井 伸夫
読者の声
3月号を読んで
案内板 集会・学習会のお知らせ
集団づくり―わたし流メソッド (第2回)
小学校/子どもたちの未来を開かせていく
志賀 廣夫
中学校/「なめさせる」ことからのスタート
岸田 幸雄
同時代を生きる教師たち (第2回)
私を変えた子どもたち(2)
浅井 潤一郎
ほっとたいむ サークルからの発信
毎週だから続いてる!
小田原 典寿
コメント
三石 晃久
投稿 実践記録
K中学校の三年間(2)
合田 優子
【コメント】問題をかかえる子どもの指導と集団の指導
能重 真作
全生研第43回全国大会参加要項
編集後記
折出 健二

今月のメッセージ

「らしさ」からの解放を

常任委員 柏木  修


少し古いデータですけれども、大阪大学の伊藤公雄教授が、九三年から九五年の間にいじめが原因で

自殺した中学生の数を調べてみたそうです(『男性学入門』作品社)。二七件ありました。問題はこの中

の男女の比率です。何とその八五%以上にあたる二三件が男だったのです。

九 八年の「警察白書」で、自殺者数を調べてみました。すべての年齢にわたって、男性が女性の二倍

以上いました。ゼロから一四歳では、女三二人に対し、男六六人、一五歳から一九歳では女一九九人に

対し男四二四人。特に四〇代、五〇代では、男性は女性の三倍以上(四〇代で女一一七二人、男四一八

七人、五〇代で女一七九五人、男六一〇三人)でした。

こ うした傾向は日本だけのことではなく、世界共通だといいます。

一方、「いじめ電話相談」を開設している保坂展人さんによると、いじめで電話をかけてくるのは圧倒

的に女の子だといいます。

さて、こうした事実から何が読みとれるでしょうか。私はここに、ジェンダー(社会的・文化的に作

られた性差)問題を見ます。「男は弱みを見せてはならない」「男は、感情を表に出してはならない」

「男は我慢しなければならない」といった〈男らしさ〉の縛りが影響しているのではないかと思うので

す。働き盛りの自殺の多さも「男は仕事、女は家事」という性別役割分業の中で、企業の「論理」に

よって苦しめられている姿の反映ではないかと思うのです。

自 殺から急に話が変わりますが、先の伊藤教授によると、講演活動の反応で、結婚している男性

がもっとも嫌がる家事は「洗濯物を干す」ことだと述べています。なぜだと思うか、生徒に聞いて

みました。

「干す時、外に出なければならない」「見られると恥ずかしい」「女性の下着を干すのを見られる」「尻に

敷かれていると思われる」「弱いと思われる」というこたえが返ってきました。「男の沽券にかかわる」と

いうことでしょうか。

と ころで、「強くあらねばならない」と頑張って生きていった男たちは年をとるとどうなるので

しょうか。恐ろしいデータがあります。六〇歳以上の男女でパートナーに先立たれた場合の平均余

命のデータです。男性はたった三年未満。女性は一五年。また、兵庫県が行なった「独居高齢者」

の意識調査によると、女性の悩みのトップは「経済問題」であるのに対して、男性の悩みのトップ

は「孤独」だったと言います。「強くたくましく仕事一途に」生きさせられた結果がこれです。生

活人としての自立もできず、また妻を失ったあとでは身近に深いコミュニケーションのできる人間

が少ないという悲しい実態が表れていると言えないでしょうか。

「男の子なんだから、少しぐらいのことで泣かないの!」「男のくせにめそめそするんじゃない!」

「男だったらやり返して来い!」「男は黙って……」「男らしく育ってほしい」

こ うした言葉の洪水の中で、男の子は「男らしさ」の鎧を見にまとわざるを得ません。

そ れが、もしかしたら死に追いやるほどの恐ろしい力を持っているのかもしれません。

だ としたら、私たちは、ジェンダーのとらわれから解放する教育をしていかなければならないの

ではないでしょうか。

社 会は変わりつつあるとはいえ、まだまだジェンダーの縛りはとかれていません。女も男も、ど

ちらもが抑圧されているのです。社会を変えるためにも、まずは教室から、ジェンダーの縛りを追

放しましょう。「男らしく」なくてもいいんだよ、「女らしく」なくてもいいんだよというメッセー

ジを子どもたちに送りつづけていきたいものです。

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