生活指導 2001年4月号
子どもの現実から出発する

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生活指導 2001年4月号子どもの現実から出発する

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2001年3月
対象:
小・中
仕様:
A5判 132頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 子どもの現実から出発する
特集の解説
折出 健二
実践記録 子どもの現実から出発する
さえない五年三組と茶髪のジュン
今関 和子
借りもののつばさで飛んでいた
由布院 桃太郎
【コメント】熱く、しかしさりげなくエールを送ろう―今関、由布院氏の実践を読んで―
北嶋 節子
「何にもなし」からの出発
京生 研治
今を生きる子どもたちとどう生きるか―応答を軸とした実践の試み―
本田 広行
【コメント】子どもの現実から出発する―京生、本田氏の実践を読んで―
木村 勝明
コメントを受けて
子どもの現実から出発するとは
今関 和子
職員会議のウラ舞台
由布院 桃太郎
プレ学級集団づくり
京生 研治
立ち上がるためのアイテムを持つこと
本田 広行
子どもの現実から出発する
塩崎 義明
第2特集 〈学校〉はどこへいく(1)
「土佐の教育改革」と学校をめぐる状況
高尾 和伸
今、「総合学習」とグループ編成のあり方を探る
斎藤 修
子どもにどんな力をつけていくかの論議を
中村 康雄
変わる学校と教えの組織
子安 潤
今月のメッセージ
子どもの未来と教育
折出 健二
教育情報
日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷
竹内 常一
書評
「狼になる」ことと「人間になる」こと
池田 憲一
読書案内
ホモソーシャルな共同体とセクシュアル・ハラスメント
片岡 洋子
読者の声
2月号を読んで
案内板 集会・学習会のお知らせ
集団づくり―わたし流メソッド (第1回)
小学校/出会いと交わりを紡ぎだす四月に
浅見 慎一
中学校/教師として認められる10の課題
栗城 順一
同時代を生きる教師たち (第1回)
私を変えた子どもたち(1)
浅井 潤一郎
ほっとたいむ サークルからの発信
事務局会の充実が活力の源
柳田 良雄
コメント
三石 晃久
投稿 実践記録
K中学校の三年間(1)
合田 優子
【コメント】「荒れ」をのりこえる教師集団づくり
能重 真作
全生研の窓
編集後記
折出 健二

今月のメッセージ

子どもの未来と教育

常任委員 折 出 健 二


一 小学生の声〜あるアンケート調査から〜

 二一世紀がはじまった。ほんとうに「子どもの世紀」にしたいものだ。それは、とりもなおさず「人間らしく生きる世紀」にすることでもある。

 だが、我が国では、いじめ・不登校・「学級崩壊」、少年事件、さらには子ども虐待など、いま子どもたちに関わる問題は一挙に噴き出している。このような現実の中で、子ども自身はどのように未来を描いているのだろうか。

 青森県子どもの声アンケート委員会が、小・中・高校生の「声」をまとめている(同委員会編『ぼくたち私たちの声〜三三四〇名の子どもに聞く』二〇〇一年一月発行)。その中で、「自分・社会・未来のことをどう思っているか」の回答結果を読み比べると、子どもたちの時代感覚のするどさと学年間の格差に驚かされる。

 小学生は、次のように回答している。

 一・二年生は、職業や自分の個人的な趣味をあげて肯定的に描いた子が約七五%。「こわそう」「地球爆発」をあげたのが五%ちかくいる。

 三・四年生では、同じような肯定的なものは約七〇%となり、「こわい世の中」「変なことを考える人が多くなる」など否定的なものが約一〇%と目立ちはじめる。

 五・六年生では、職業や個人的夢をあげたものは約四五%。否定的な回答は、「きびしい社会」「このままだと世界は滅亡」「殺人・犯罪の増加」など約一五%。それに、「思っていない」「どうでもよい」「思いどおりになれ」という、あきらめとも投げやりともいえるような回答も約五%ある。

二 絶望感からの回復を願う中学生たち

 中学生に対する同じ質問では、職業や自分の夢を答えたのは約三八%。「もっと平和に」「高校も義務教育に」など「こういう世の中にしたい」という願望をのべたのは約二〇%。あわせると約六割が何らかの視点で肯定的・積極的に未来と向き合おうとしている。

 これに対して、高校進学の不安のほかに「就職が不安」(2年)、「社会がどんどん悪い方へ行きそう」(2年)など、「不安・予想がつかない・考えたくない」の回答グループ(三一%)、「別にどうとも思っていない」のような回答グループ(七%)、「どんぞこ、真っ暗」(1年)、「もう死にたい」(2年)、「何もかわんないから一生懸命やっても意味ない」など虚無的ないしは絶望感の回答グループ(四%)をあわせると、否定的な見方は約四割に達する。

 これが全国の中学生の傾向とはもちろん即断はできない。だが、名古屋の「少年恐喝事件」の現地への聴き取り調査をおこなってみて、加害・被害の生徒たちも含めて、背景にはかれらの絶望感、孤立無援感があることもわかった。それだけ変革への願いは強い。その回復をはかる学校にどうしていくか。ここに教師と父母が共同する大事な課題がある。

三 教育基本法の世界をはぐくもう

 こうした子どもたちの声に対して、「教育改革」の名の下におこなわれている現在の政治が、いかにかけ離れているか。学年が進むごとに子どもたちが絶望感をいだくのもわかる。政府与党は、子どもたちの未来への拠点ともいうべき教育基本法を「改正」して、また国家主義的な枠で支配しようとしている。

 わたしたちは、子どもたちの声に耳を傾け、彼ら/彼女らといっしょになって平和と民主主義の確かな世の中をどうしたら築けるかを学びあっていきたい。未来の主権者市民を育てる、という意味で、この営みこそが教育基本法の求める世界だと言える。今一度、教育基本法の精神を私たちの社会と歴史に誕生させていくことが、もっとも深い意味での政治教育なのである。



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