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今月のメッセージ
行政推進の〈少人数学級〉を問おう
常任委員 大 畑 佳 司
今国会における〈教育改革六法〉の提起によって、行政の教育改革施策が現実的、具体的、そしてより加速的に学校に顕れ進行してきている。とりわけ重視すべきは「学級編成・教職員定数標準法」改正が推進力として働き、〈少人数授業・学級〉がまたたく間に拡大してきていることである。四月の新聞報道で二〇県三政令市が独自策で動き、五月の文部科学省発表で四一都道府県で実施の動きを見せている。もとより「少人数学級」は教職員・地域・親・子どもが三〇人学級実現として取り組んでいるもの。それが学校自治、地域自治を裏づけて、教育的に実践されることには異論がない。しかし顕れてきている〈少人数学級〉は〈少人数授業〉として、しかもそれは行政から〈習熟度、能力別学級編成〉の指向が求められるものなのである。
実は「学級編成・定数標準法改正」の理念・具体的施策は、中教審答申を受けて協力者会議が昨年五月にまとめた「今後の学級編成及び教職員配置について」の報告に、すでに提起されているのである。報告は、斬一元的な学級のとらえ方を見直し、今後、学級は生徒指導や学校生活の場である生活集団としての機能を主としたものとして位置づけ、これまで一体のものとして含まれていた学習集団としての機能については、学級という概念にとらわれずにより柔軟に考えることが効果的、斬今後基礎的・基本的な内容を確実に定着させ、個性を生かす教育の充実を図る観点から、教科等の特性を踏まえ、学習の理解の状況や習熟の程度に差が生じやすい教科の指導を行なう場合などについては、学級編成と異なる学習集団を編成すること、などを主張している。
これは、今の学級集団に埋め込まれている〈組〉と〈級〉を分離し、「級」の学級として〈少人数授業・学級〉を正当化させようというのである。それは「少人数学級」実現へのステップとして、これへの疑義の提出は批判を誘発するかもしれない。しかしその制度(システム)が生み出す役割、機能を問うことなく推進される教育実践への危惧は、より大きいと言わねばならない。
すでに冒頭にふれた〈教育改革六法〉の中には、斬大学飛び入学、斬高校学区制自由化、斬大学三年からの大学院入学が盛り込まれている。今年四月の中教審第一回総会の冒頭で町村文相は「私は十歳の大学生がいてもいいと思っているし、二十歳の中学生がいてもいいと思っているんです。そのくらい年齢にかかわりなしに、その子どもに合った一番望ましい教育というのは何なんだろうかということを考えた時に、年齢で学年が変わっていくということは、余りにも行き過ぎた平等ではないのかなと思ったりしています」と言い切っている。それを裏付け、推進するものとして、斬中・高一貫校当面五〇〇校設置、将来は六割拡大、斬大学設置法改正で塾・企業がつくりやすい大学設置などのみちを開き、斬大学暫定入学制、在学成績厳格評価で出口選抜強化による自己責任による人材としての品質管理も用意されている。
まさにそこにみられるものは、企業要求に見合うスペシャリストの人材育成であり、学校教育の複線化容認のエリート養成、それに即応する習熟度別(能力別)学習としての学級再編・少人数学級導入である。その意味では少人数学級推進は、トップエリートと社会的弱者を持つ階層化社会へむかう社会構造改革のみちを行政は選択し、それへむけての教育改革の諸施策を本格的に展開しようとしている、と受けとめてよいのではないだろうか。だとすればわたしたちは、それを超える「権利としての教育の参加」の実践を、学校・学級のあらゆる場に創造していくことが重要な課題となる。
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