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今月のメッセージ
「共同すること」と当事者性
常任委員 大和久 勝
私は「ADHD」の疑いがあると医師から診断された島田君(仮名)を受け持ち、夢中の一年間を過ごしました。そして、その実践の中から、いくつかの大事な発見をしていくことが出来ました。中でも、「親、子ども、教職員との三つの共同の展開」についての発見は重要でした。この点については、昨年の全生研セミナーや基調提案委員会、編集委員会で分析され、理論化されたことなどが大きいのですが、事実から学び理解したという実感が私の中にあるのです。
島田君の指導と成長をたどる時、まず、親の努力を抜きには何も語れません。「愛と忍耐、それがすべてです」と四月当初言われたことが、月日を重ねる中で、重みを増していきました。自分の指導の中にも、母親の覚悟に近いものが感じられた時、子どもを育てる当事者同士として、共同関係に立てたのだと思います。共同するということは、実はそういうことなのだと気づいたのです。
教職員との共同も、子どもたちとの共同も同じだなと思いました。まるっきり同程度の当事者性を持つということは大変なことですが、課題に対して仕事に対して、共に当事者としての意識に立てるということが共同を作るのだと思います。また、その互いの当事者意識を認め合ったところに共同関係がなりたつのです。ですから、たとえ、相手が子どもであっても、立場の相違があっても、互いに対等な関係に立てるのです。
教職員の場合、数人の間に生じた共同が、教職員集団(職員会)という公的な場の公共空間に協同関係を育てていくことになります。協同関係は、〈協働〉を作り出し、さらに豊かに協同関係を発展させます。そのことによって、また、中心にある共同を太らせていくことになるのです。まさに、「共同から協同へ」また「協同から共同へ」と発展の道をたどるのです。
教職員の場合の共同も、当事者性の共有がカギです。
校長先生との共同関係が最も強力だったのは、誠実に学校経営をする人と、真正面から学級づくりを進める私とで、当事者同士の連帯が生まれたのです。養護の先生や教育相談部の先生や音楽の先生や学年の先生とも、当事者性を共有できました。
このことは、子ども集団についても同じです。
教師以上に接点を持ち、仲間としてのかかわりを日々実践しているのは、学級や学年の子どもたちです。
そして、教師の発議するメッセージに応答して立ち現れて来る子がリーダーであり、教師を含んだリーダーたちの共同から実践が始まっていきます。
共同は、学級や学年という公共空間に協同関係を成立させていく。それが、集団の自治の探求であり、私たちの言う集団づくりです。
やはり、協同関係の発展は、協同のコアとなっている共同を太らせ、拡張させていきます。協同関係の発展には対話・討論・討議が欠かせません。
私たちは、共同と協同をそのような関係でとらえたらいいのではないでしょうか。
では、共同や協同のもとになるもの、つなぐものは何だったのでしょうか。
それは、「共感」でした。ですから、「共感」の質が問われます。感受性も、科学性に裏打ちされたものでなくてはなりません。「共感」を広げる、そして、共に課題を共有する人を作り出すのです。それが、共同や協同の根底に流れるものだと思いました。
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