- 特集 トラブルの指導〜幼さをひきずる子どもたち〜
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- トラブルの指導〜幼さをひきずる子どもたち〜
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- 特別支援学級の支援コーディネーター実践
- 大事なことは、「授業の充実」
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- コメント/三つの実践レポートを受けて
- 特別支援教育の光と影
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- 今月のメッセージ
- 今こそ、現代の生活現実に応える子ども集団づくりの理論と実践を創造しよう
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- 私の道徳授業 (第14回)
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- 学年・学校行事
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- 学びの素材
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- 部活動・クラブ活動の工夫
- 楽しい部活動?
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今月のメッセージ
今こそ、現代の生活現実に応える子ども集団づくりの理論と実践を創造しよう
―論争よ起これ!!―
和歌山大学教育学部 船越 勝
「はずみ」型の暴力の増加などの子どもたちの変容、競争主義とナショナリズムを特徴とした「改正」教育基本法と、それを具体化した新学習指導要領のもとでの学校の「改革」など、私たち教師の教育実践も大きな曲がり角を迎えている。また、戦後の民間教育研究運動を担い、私たち全生研においても中核を占めている団塊世代の教師の大量退職と、それに伴う若手教師の大量採用も、学校の姿を大きく変えて行くだけでなく、全生研の組織のあり方にも大きな影響を与えることは間違いない。こうした転換期のなかで、上で述べた変化の要因を後ろ向きにではなく、前向きに現代の生活現実に応えうる子ども集団づくりの理論と実践を創造していく契機として位置づけ、全生研の組織の発展にもつなげていくためには、今こそ、会員の内外を含めて、積極的な討論と論争を公開の場において、参加に開かれた形で、わかりやすい言葉を使って行っていくことが求められているのではないか。では、私たちの前には、何が争点(イシュー)として存在するのか。第一は、集団づくりとは何かについて改めて再定義を行う必要がある。上述のように、子どもや学校が大きく変化し、さらには、人権や民主主義の新しいあり方が国際的に模索されている中で、私たちはどのような集団像を打ち立て、どのような子ども集団づくりの理論と実践を創り出していくのか。これまでの歴史的な成果も含めて議論をしていくのである。生活指導を行う上で集団づくりという実践形態を採用してきた全生研のアイデンティティと存在証明が問われていると考える。
第二は、学びの位置づけである。90年代に竹内常一氏によって、学びという視点が導入されるなかで、それは『新版学級集団づくり入門』(以下『新版』)で行われた討議づくりの拡張・豊富化の延長線上に位置づけられ、学びは子ども集団づくりの実践過程に内在するものであり、その質が集団の発展に大きな影響を与えるとされてきたように思われる。したがって、ここで言う学びはもちろん授業と同義ではない。しかし、こうした学びの視点の導入が、一部では全生研の実践が集団づくりでなくなったという議論を生み出してきたのも事実であり、竹内氏が60年代に批判した宮坂哲文氏の「学習法的生活指導」との異同や学びという用語法の適否も含めて、議論が必要だ。第三は、子ども集団づくりのすじみちと技術の提示の仕方についてである。全生研の研究活動は、集団づくりのすじみちをもとに、その指導技術を体系的に提起した理論と実践を一つの特徴としてきたが、新しく出された『子ども集団づくり入門』は集団づくりのすじみちの提示に消極的である。今、子どもや学校の変化のなかで、私たち教師はどのような指導の見通しを持てばいいのかが大きな要求になっている。私はかつての「構造表」のような細部にまで規定したものについては否定的であるが、一定のすじみちと技術の提示は必要だと考えており、そのあり方についての検討が求められている。第四は、『学級集団づくり入門第二版』や『新版』についての総括を明確にするということである。上述の争点は、いずれもこのことに関わっている。折出代表の「構造性集団づくり」と「連帯性集団づくり」の提起も含めてきちんと「公共空間」で議論し、次のステージのあり方を検討してはどうか。第五は、全生研の組織のあり方について、組織や関係に注目している研究会らしく大胆な検討を進めていくことである。他の民間教育研究団体では、投票制とか全国的な代表制を採用しているところもある。様々な世代や地域・階層、職種の要求が反映する仕掛けや仕組みの工夫が必要である。論争よ起これ!! そして、会員の総力で、子ども集団づくりの理論と実践を創り出していこう。
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