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今月のメッセージ
子どもと対話し、共に学び共に生きる
常任委員 大和久 勝
《子どもたちはなぜ荒れるのか》
子どもの荒れと暴力を生み出す根源には、管理と競争の社会・学校の問題がありますが、小学校低・中学年であれば、発達課題との関連が一番に考察されなければならないだろうと思います。発達課題への周囲の無理解が、子どもの荒れや暴力を引き出しています。小学校高学年や中学校、いわゆる思春期にあっては、「発達」の問題を引きずっている子もいますが、それだけではありません。荒れる子たちの数も様子も、多様になっています。また、荒れていないかに見える子たちの中にも荒れの状況は広がっていたり、荒れている子と同じ精神状況になっていたりしています。格差社会と「貧困」のなかで広がる不安、不満は、子どもたちの暴力性を引き出しています。競争から脱落した子どもたちは、荒れるか引きこもるかしています。また「おとなしい子」「普通の子」「いい子」といわれる子たちの心の奥底にもいつ暴発してもおかしくないものが潜んでいます。自分から荒れを表出していないだけで、心情は同じものを持っているのです。荒れている子へ同調してしまうのはそういう理由からだと見ると、よく理解できます。子どもたちの「生きづらさ」は、自我が確立し始める思春期の入り口あたりから、数多くの子どもたちの共通した問題となっていきます。
《「貧困」の問題とどう向き合うか》
生きづらさの中で、『貧困』の問題は大きくなっています。生活保護を受けている家庭の率が高い地域の学校では、子どもたちの荒れの表出も他の所とくらべものにならないくらいはっきりしています。授業が成立しない、暴力やいじめがはびこるなど、学級崩壊に近い状況が見られるのも、そうした地域の学校です。子どもたちの生きづらさへの共感なしで、上からのお説教と懲罰、管理的なおしつけと取り締まりが指導として横行するならば、子どもたちの荒れの進行を防ぐことはできません。子どもたちの苦悩を深いところで受け止め、なぜ荒れるのかを理解して対応しないと、指導の道は開かれません。格差社会のもたらすもの、学校の管理主義、能力主義がもたらすものが、具体的な荒れとなって子どもたちを苦しめているのです。「困った子」として立ち現れて来ている子どもたちは、実は「困っている子」なのだという子ども観の転換はここでも重要です。《子どもたちが求めているもの》荒れる、暴れるには「わけ」があります。その「わけ」を聞き取ることが大事です。簡単に話さないかもしれないし、なかなか言語にならないかもしれません。そして、本人にもその苦悩の源が見えないこともあります。しかし、聞き取る努力の中で、子どもの中に浮かび上がってくることもあるに違いありません。言語化できることがあるかも知れません。聞き取る対話の中で、苦悩を払いのける方向がつかめてくるかもしれません。子どもたちの抱えている苦悩の根源は、今私たちも生きている現実の社会や学校であると考えれば、子どもの苦悩に寄り添えるだろうと思います。子どもたちが求めているものは、上からの目線で説教する大人ではなく、自分のことを理解してくれる大人です。一緒に悩み、考えてくれる大人です。私たちから見れば子どもでも、私たちと同様に、現実の社会を生きていく苦悩を抱えています。しかも、なぜ苦しいのか、なぜこんなにも生きづらいのかはわからないことが多いのではないでしょうか。知りたい、学びたいと思っているにちがいありません。小学校の中学年・高学年や中学生であったら、一緒に考えてみることができます。社会に目を向けて共に学んでいくことができます。私たちも、子どもの苦悩に共感することができれば、子どもとつながりながら共に生きていくことが可能です。
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