生活指導 2008年10月号
いまどきの「友だち関係」「友だちとの世界」

L659

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生活指導 2008年10月号いまどきの「友だち関係」「友だちとの世界」

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2008年9月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 いまどきの「友だち関係」「友だちとの世界」
特集のことば
いまどきの「友だち関係」「友だちとの世界」
高橋 英児
報告・小学校
毎日元気よく登校
金子 良平
美香と秋絵の奇妙な関係
永廣 正治
傷は消えないの
丹下 加代子
コメント
友だち関係の読み開きから豊かな交わりの可能性を探る
瓜屋 譲
報告・中学校
一人でいるのはかっこ悪いし…
橋本 尚典
トモダチ身分制度なんて、あたりまえじゃん!
良出 愛
受験体制の中で揺れるK男とK子
猪股 修
コメント
自立を抑圧する関係を生きる子どもたち
安島 文男
論文
少年少女の孤立と友だち階層制
中西 新太郎
第2特集 こんなときどうする?!Q&A〜二学期・子どもと出会い直すために〜
小学校
くずれだしたリーダーの子
齋藤 修
クラスに落ち着きがなくなってきた
北嶋 節子
授業に乗ってこない
石井 幸雄
指導を振り返る時間がない
篠崎 純子
自分なりの実践の工夫がしたい
塩崎 義明
連絡が取れない保護者がいる
竹田 裕一
中学校
不登校の恐れのある子
中川 晋輔
私にだけ反発するB君
小室 貴
対立やトラブルが増えてきた
木村 哲郎
子どもたちに集中力がなくなってきた
木村 勝明
自分のクラスだけしてもいいの?
佐藤 くみ子
出張や提出書類が多くて…
下川 友博
今月のメッセージ
授業評価の季節に
山本 敏郎
私の道徳授業 (第18回)
小学校/社会問題を教材に
森 宏
〜「薬害エイズ問題」の実践を例にして〜
中学校/働くことを考える
安子島 宏
〜秋葉原通り魔殺人事件を考える〜
実践の広場
学級のイベント
歌とダンスで盛り上がる!
山口 文彦
学年・学校行事
体育館が感動に包まれた!「1/2成人式〜一〇才を祝う〜」
松下 多佳子
学びの素材
「沖縄」と「アメリカ」を取り上げた地理的分野の授業
山本 乃里子
部活動・クラブ活動の工夫
「地域探検クラブ」で地域の自然の良さを再発見!
松下 敦子
心に残る子どもとの対話
「ゆかりさんの笑顔が見たいね」
芝 瑞穂
職員室の対話
生き生きと誇りを持って働き続けるために
宮崎 綾子
手をつなぐ―親と教師
保護者ともよい出会いを
松田 圭一
コーヒータイム
私の出会い・発見
村上 奈美
私のオフタイム
龍澤 英之
掲示板Y・O・U
若者からの発信の広場
萬徳 雄太ほか
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
若者自立支援と学校教育
間宮 正幸
北から南から
サークルだより・長崎
吉田 秀子
〜批判的に学び合うサークルづくり〜
読者の声
8月号を読んで
シリーズ/各地の実践
埼玉
栗城 利光
〜学級崩壊後の子どもたちとともに(2)〜
全生研の窓
編集室だより&組織部からの発信
編集後記
井本 傳枝

今月のメッセージ

授業評価の季節に

日本福祉大学 山本 敏郎


近頃、大学では期末試験の時期に学生による授業評価が行われます。前任校では教員一人につき一つの授業で授業評価アンケートを行うことになっていました。現任校では全授業が対象で、学生はWEB上で入力します。入力しないと成績が閲覧できないので、学生は登録した授業全部の授業評価をしなければなりません。なので、授業評価は学生たちにも大変な負担になっていて、テキトーに入力しているという話も耳に入ってきます。

わたしは学生時代、社会学の講義で、アンケートや調査は調査対象になった人にとって意味のあるものでないといけないと教わりました。授業評価アンケートは学生にとって意味のあるものでなければなりません。ところが、「授業はわかりやすかったか」「板書はどうだったか」「十分理解できたか」などを、授業が全部終わってから聞いたところで、学生にとって何の意味もありません。「わかりにくかった」「板書最悪」「理解できなかった」という回答だったとしましょう。そこからわかるのは、学生もわからないまま半年平気で受講していたということです。また、この回答に沿って授業が改善されたかどうかを学生自身が確かめるためには、不合格になって翌年再履修するしかありません。

そもそもこういう項目は、授業が全部終了したあとにアンケートで聞くのではなくて、毎回の授業で確かめるべきことです。わたしは、授業開始日はもちろん、自分でわかりにくい説明をしたかなと思った時などには意識して、「わかりません」「みえません」「きこえません」は学生の権利だからいつでも言ってよいと伝えます。教職課程の授業なので、「君たちが先生になった時には必ず教室で子どもたちにそう言ってもらいたいから今言っているんだよ」とか、「そういう権利が実際に保障されたという経験がないと、子どもにそういう権利を保障しようとする先生になれないしね」とも付け加えます。また毎回A7版くらいの用紙に、今日の授業の感想を書いてもらい、いくつかピックアップして返事やコメントをつけて翌週、授業通信として配布します。

学生に授業評価をさせるだけでは、学生を知の消費者に育てているにすぎません。授業評価が避けられない時世であるからこそ、「教員は参考文献を紹介したか」「学生の質問にていねいに応じてくれたか」とか、「紹介された文献を読んだか」「『見えません・わかりません・聞こえません』と再説明を求めたか」などという項目を設定し、授業の見方や参加のし方を教えなければならないのではないでしょうか。そのほうが教員も鍛えられるように思います。

前任校で授業評価が始まった年には、アンケートだけではなく、研究室代表の学生に集まってもらい、授業評価担当の教員と授業改善について討論会を行いました。学生の発言に教員も「それは担当の先生に伝えないといけないね」とか「それは学生にも責任があるんじゃない」とか応答しながらの討論会で、それが学生にとっては発言内容にたいする責任、発言のし方のマナーなどの指導にもなりました。そのまとめが配布されましたが、教員側にも学生側にもおおむね好評でした。

教員に直接言っても追い返されるので、「アンケートしてほしい、あの先生に言いたいことがいっぱいある!」という学生もいます。まだまだそういう教員も多いのですが、アンケートに書いてもウサばらしにしかならないので、そういう場合に備えて苦情処理の窓口を設けることは必要でしょう。

学生たちの不満は先生が相手にしてくれないということです。ですからアンケートの項目やFD活動の形態はいろいろ工夫可能ですが、学生と授業をめぐって対話する機会をつくることが一番です。

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