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今月のメッセージ
「なぜ」を問える教師でありたい
常任委員 今関 和子
近年、5月の半ばごろから猛烈な暑さで、教室は蒸し風呂のような状況です。
数年前のことでした。保護者から「暑い中での授業に問題を感じる。子どもは暑い中、温水になった水道水を飲んでいる。水道水自体を飲むということにも疑問を感じる。子どもの体への配慮を考え、学校に水筒を持ってこさせたい」という要求が起こりました。
当時、学校や教職員は、暑さへの配慮、子どもの食については家庭の判断であることを了解し、連絡帳に一筆、水筒を持ってくる旨を書いてもらい、その要求を受け止めました。
次の年、教育委員会はどの学校にも冷水器を2台設置しました。水道管の工事もしたので水道水はきれいになったということで、学校としては「水筒を持ってくることは原則的には禁止にする」ということになりました。しかし、「水道水は飲まないという家庭の方針の家については認める」という但し書きをつけました。
しかし、設置された冷水器は2台しかないので、休み時間が終わると冷水器のまえは長蛇の列になりました。子どもはなかなか教室にもどってこないため授業が始められないという事態が起こりました。全校の子どもが六百人いたら、三百人に1台の割り当てですから当然です。
そこで翌年は冷水器は各階に1台ずつ置かれ、教室には8台の扇風機が設置されました。扇風機を教室に設置したこと、水道管の工事をしてきれいになった水道水を冷たくした冷水器は増えたので、再び「水筒を持ってくることは原則的には禁止にする」ことが、それ以前より厳しく言われるようになりました。しかし、冷水器が増えたとしても、百人に1台の冷水器ではやはり実態は変わらず、休み時間の後の長蛇の列は止まらないのです。
その対策として出てきたのが、なんと「冷水器は、休み時間の終りのチャイムがなる前までに使う」という指示でした。
子どもたちにチャイムがなるまで遊んでよいと決めたのは学校なのに、そのきまりは冷水器対策であっさりと吹っ飛んだのです。まさかと思うようなことが進んでいます。私はクラスの子どもたちには、水筒を持ってきて、教室でゆっくり飲み、授業を始めることを選びました。
しかし、学校全体を見渡すと、例外を認めず、「水筒を持ってくることは禁止」と指導している教師が増えました。数年前のように家庭の方針で水筒を持ってくることを指導する教師は減りました。
大人はすでに水道水は飲まない人が増えています。教員も、最近はマイドリンクを携帯し自分の健康を管理している人が多くなりました。しかし、子どもたちにはそれを認めないのです。
水筒をめぐるきまりに限らず、不条理なきまりに対して「おかしい」と思う意識や自覚をもつことが教師にへってきているということは怖いことです。上からの指示を自分の考えや判断を入れず受け止め、子どもたちに悪気なく、不条理を押し付けることが出来るようになるからです。
日々の忙しさに疲れ、思考を停止したくなることもありますが、自分の理性は目覚めているのか、時折ふり返りたいと思います。今改めて、「なぜ」を問える教師でありつづけたいと思うのです。
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- 明治図書