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今月のメッセージ
それでもナスは育った―活動は仲間を創り未来を育てる
指名全国委員 志賀 廣夫
ちょっとしたきっかけで、大学の校内に畑を持つことが出来た。
[活動は仲間をつくる]
口利きをしてくれたA教授に案内されて畑(栽培園)に行くと、実施責任者のBさんが長靴の音を響かせながらやってきた。そして、A教授から話を聞いた後、「秋には大根を植えるので、それまでここの空いている畑の草取りをするつもりで使ってごらん」と、一応の承認をしてくれた。しかし、家が二軒建てられる位の広さの畑を前に思わず尻込みしてしまった。結局「ここだけでいいです」と、その一角の猫の額ぐらいの畑を使うことになった。Bさんは、少しがっかりした表情で私のか細い指を見ながら、「土いじりはやったことがあるかね」と聞いてきたので、「ほとんどありません」と答えた。少し不安な気分になった。
[つながりは未来を明るくする]
そんな初心者の不安な気持ちを、数少ない知人たちに大きな声で話していた時である。たまたまそばを通りかかった学生が「僕の専門は植物学です。先生のお手伝いが出来ればと思って声をおかけしました」と、言ってきた。その一言で、目の前が一気に明るく輝いた気がした。救いの声の主は、学生の加藤君であった。
[活動は学びを育てる]
すぐさま、加藤君の新車に乗って約5キロメートル離れている園芸店に苗を買いにでかけた。小学校の教員をしていた頃、理科や生活科の授業でジャガイモを栽培したことや、友人の畑を若干手伝ったことはある。しかし、本格的に野菜を栽培することは初めてだったので、苗選びひとつにも大変苦労をした。育てたいと思っているナスの苗だけでも「米ナス」「白ナス」「長ナス」などいくつもの種類があることがわかった。最終的にはナス三種類と「ミニトマト」「プチトマト」「ピーマン」「シシトウ」を一本ずつ買って畑に向かった。
[活動はリーダーを必要とする]
5月の上旬といえども日差しは強く、立っているだけでも頭がクラクラするような陽気であった。早速、私たちはBさんに話をして、農具小屋から鍬や鋤とジョーロを貸してもらった。しかし、畝の高さやとなりの畝との間など、よくわからないことばかり。素人にとってはまさに手探り状態の作業だった。そんな私たちの様子を見かねたBさんが、近づいてきて詳しく教えてくれた。こうしてなんとか苗の植え付けを終了した。そして、あの日から二ヵ月。私たちの小さな畑には、ナスをはじめ野菜がひとつ、またひとつと実をつけはじめている。
貧困が広がり子どもたちがますます生きづらくなっている昨今、子どもたちの活動も貧弱になっている。しかし、子どもたちの要求に即した活動は、必ずや仲間との新たなつながりを育て、学びを創り出せる実践テーマになるに違いない。
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- 明治図書