- 特集 通常の学級でできる授業の工夫 ―「読み取る力」を育てる―
- 特集について
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- 提言
- 特別支援教育の視点から授業改善を―読み取る力に焦点をあてて―
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- 事例〔小学校から〕
- 1 【低学年】言葉を大切にする読み取りの指導―国語科での取組を通して―
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- 2 【低学年】「読み取る力」を助ける算数の授業―自分の考えを持ち、進んで学ぶ子どもをめざして―
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- 3 【中学年】子どもたちの「わからない…」にこたえる支援を―文章読解学習の支援例―
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- 4 【中学年】情景や心情を理解させるための工夫
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- 5 【高学年】「個別性」と「全体性」を融合させた授業づくり―一人一人を大切にした国語科授業の実践から―
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- 6 【高学年】「できるやんか」と自分を見直し、自信を取り戻させる―高学年でも基礎基本から―
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- 事例〔中学校から〕
- 7 読解力と表現力を育てる言語活動のスキルトレーニングの工夫
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- 8 数学における読み取る力を育むために〜通常の学級でできる支援の手だて〜
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- Essay
- 発達障害の子どもの才能を活かす
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- 子どものページ
- 徒競走/そら豆
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- 【特別寄稿】読み書きの困難を支援する技術の利用 (第2回)
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- 親の会ニュース (第39回)
- にんじん村
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- 〜親と子が安心して継続的に付き合える場を〜
- 医療との連携 (第39回)
- 教室で子どもたちの視機能不調に気づくために
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- 〜さまざまな視力不良とその原因 眼科医療との連携―子どもたちの見ている世界を理解するために―〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第37回)
- 授業はじめの5分間でスキルアップ!
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第39回)
- 韓国における職業教育の現状から今後の我が国におけるキャリア教育を考える
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- ユニバーサルデザインの授業づくり (第3回)
- テストアコモデーション
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- 〜一人ひとりの子どもに対する多様で公平な試験における配慮の検討〜
- クラスではじめる応用行動分析の基礎基本 (第3回)
- 行動上の問題を理解・支援する(1)
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- 誤り分析から子どもの読み書きを支援する! (第3回)
- 漢字の誤り分析から
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- 発達障害の子どもを持って (第3回)
- 輝く明日を目指して生きる
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- 一度は手にしたい本
- 『学習につまずく子どもの見る力』(玉井浩監修/奥村智人・若宮英司編著)/『教室・家庭でできる「見る力」サポート&トレーニング発達障害の子どもたちのために』(奥村智人著)
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- 編集後記
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特集について
国立特別支援教育総合研究所・上席総括研究員/廣瀬 由美子
近年,教育現場では,「通常教育に特別支援教育の要素を取り入れた授業づくり」とか,「特別支援教育を生かした教科指導」というようなキャッチフレーズを目にすることが多い。このような背景には,通常の学級担任が,発達障害のある児童生徒を含めたわかる授業づくりをすることが求められているからであろう。
本来,授業づくりは,通常の教育の場であろうと特別支援教育の場であろうと,基本的には同じであると考えている。目の前の児童生徒一人一人の実態を踏まえた上で,一つは,教科などの特徴を踏まえてわかる授業づくりを具体化することであろうし,もう一つは,他と異なる反応を示す児童生徒への配慮を具体化することであろう。この両面からのアプローチがあってこそ,個々の児童生徒の実態に対応した授業づくりになると考えられる。
しかし,通常の学級担任は発達障害の特性等を学び理解しても,そのことを授業づくりに反映させ,具体的な指導として生かすのは難しいと思われる。さらに,一斉授業において,発達障害のある児童生徒に対する配慮を個別的に具体化することも容易なことではないと推測する。
前回の特集では,国語科及び算数科・数学科に関して,教科学習における支援の工夫を取り上げた。その特集を踏まえると,国語科はもちろんのこと,他教科等においても理解するためのベースとなる「読み取る力」が重要である。具体的には,文章の意味理解や趣旨,あるいは主題を理解すること,また,グラフや資料から内容を読み取ることが想定される。
本特集では,文章に書かれている内容を適切に読み取れない児童生徒を想定し,通常の学級において,一斉授業での手だてや支援の在り方を模索することが重要であると考えている。そこで,発達障害のある児童生徒に向き合ってきた特別支援学級や通級による指導の担当教員から,そのノウハウを提供していただくとともに,暗中模索をしながらも,既に発達障害のある児童生徒に対して,読み取る力を育てるための授業づくりを実践している通常の学級担任を含めて,多くの実践を紹介していきたい。
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