- 特集 自尊感情を大切にする指導・支援の工夫―豊かな人間関係を育てるために―
- 特集について
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- 提言
- 愛されていること、役立っていること
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- 論説〔自尊感情と対人関係〕
- 1 子どもたちの自尊感情はどこで育まれるのだろうか?―対人関係の変化を中心に―
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- 論説〔自尊感情と学習〕
- 2 学ぶことで育まれる自尊感情
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- 論説〔自尊感情と二次障害〕
- 3 子どものQOLと自尊感情について―自尊感情を高めるには―
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- 事例〔小学校・通常の学級〕
- 1 前の自分と今の自分、進歩を実感!!
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- 事例〔中学校・通常の学級〕
- 2 自分の夢を語り合える学級づくり―一人ひとりの自尊感情を高めるために―
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- 事例〔小学校・通級指導教室〕
- 3 子どもの自尊感情を大切にした通級指導のシステム―環境・教材・支援の方法、学級や保護者との連携―
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- 4 成功体験を増やし、自己理解を深める
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- 事例〔中学校・通級指導教室〕
- 5 自己理解を深め、進路にも役立つパーソナルポートフォリオ
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- Essay
- そういうこともある
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- 子どものページ
- 一歩前へ
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- 【特別寄稿】読み書きの困難を支援する技術の利用 (第3回)
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- 親の会ニュース (第40回)
- 自由な感性が認められる社会に
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- 医療との連携 (第40回)
- 教室で子どもたちの視機能不調に気づくために
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- 〜視力以外の視機能とその不良 眼科医療との連携―子どもたちの見ている世界を理解するために―〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第38回)
- 未来への作戦会議をしよう
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第40回)
- 英国の学校評価の取り組み
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- 〜特別支援教育との関連から〜
- ユニバーサルデザインの授業づくり (第4回)
- 今求められる「わかる授業」の大切さ
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- 〜一人ひとりを大切にしていく授業のあり方(一考察)〜
- クラスではじめる応用行動分析の基礎基本 (第4回)
- 行動上の問題を理解・支援する(2)
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- 誤り分析から子どもの読み書きを支援する! (第4回)
- 読みの誤り分析から
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- 発達障害の子どもを持って (第4回)
- 輝く明日を目指して生きる(2)
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- 一度は手にしたい本
- 『子どもの学ぶ力を引き出す 個別の指導と教材活用』(山田 充・苫廣みさき・今村佐智子著)/『子どもの障害をどう受容するか 家族支援と援助者の役割』(中田洋二郎著)
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- 編集後記
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特集について
国立特別支援教育総合研究所・教育情報部長 上席総括研究員/柘植 雅義
日本の子どもは,自尊感情(セルフ・エスティーム)が低いといわれています。それは種々の尺度を使った国際比較調査で明らかになってきています。しかしながら,その要因の分析は,現在進行中であり,明確にはなっていないのが現状です。指導方法,教師の専門性,学校運営,教育制度,教育の風土,家庭の教育力,社会の情勢,日本の文化,あるいは,子どもの精神面の健康など,さまざまなことが話題にあがるようですが,明確にはなっていないのです。
そのような中,発達障害のある子どもは,他の子どもと比べて特に自尊感情が低い,という指摘もあります。発達障害があることで,子どもによっては,学習面や行動面,あるいは,対人関係や社会的生活においてさまざまな困難に直面します。そのことが,自尊感情の育ちに影響を与えるとも考えられます。そして,場合によっては,学校に行きづらくなったり,いじめにあったりすることにもなりうるのです。
また,そもそも自尊感情を育てるということは,自己への関心とか,他者への関心,自己と他者の関係といったことを避けることはできず,子どもに豊かな人間関係を育てていくという教育の命題の1つにも深くかかわります。
このような中,近年,全国各地の学校では,通常の学級や通級による指導などにおいて,発達障害のある子どもの自尊感情を育てる実践が始まっています。また,特別支援学校の新学習指導要領で示された新たな自立活動には,「人間関係の形成」が加わり,通級による指導や特別支援学級における指導などにおいて特別の教育課程を編成する際にも,指導すべき内容として位置づけられました。
そこで本特集では,発達障害のある子どもの自尊感情を育てたり,高めたりする実践を紹介しようと思います。発達障害があることで,他の子と比べて特に自尊感情が低くなってしまわないように,また,障害のない子どもであっても低いとされる日本の子どもの自尊感情の状況が少しでも改善されるように,教育に携わる人々が少しでも自尊感情というものに関心を寄せ,教室や学校での指導・支援の技能を高めていってもらいたいと思います。
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- 明治図書