- 特集 担任教師とのつきあい術 基礎編・応用編
- まずはすばらしい教師かどうかを判断すること。「子どもの算数のノート」を見れば、担任のレベルが分かる。
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- 担任教師の3ランク(A、B、C)の見分け方、五ヶ条
- 担任教師の技量を判断する指標が間違っていないか
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- 風評に惑わされず自分の目で耳で見分けましょう
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- Aランクの担任とのつきあい方
- 自分の子どもの言い分だけを鵜呑みにしない。事実確認が大切です。
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- 全面的協力でより信頼を厚くしよう!!
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- Bランクの担任とのつきあい方
- 応援団になって良き関係を作り、それから「夢」を共に語り、「モノ」を用意しよう!
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- 子を持ち苦労する保護者と担任同士、励まし合う「いい言葉」を
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- Cランクの担任とのつきあい方
- Cランクの担任でも、すべてではない、少しでも、良い方向を探したい
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- ぶつかる、非難するだけがつき合い方ではない
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- たった一人で学級をメチャクチャにするモンスターペアレントには力を合わせて
- 同調する前に周囲の健全な保護者と情報交換を
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- 担任を救うことも親の仕事です
- こんな時どうしたらいいか
- @子どもがいじめられている
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- A学校に行きたがらない
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- B給食が食べられない
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- Cおもらしをする
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- D子どもが万引きをした
- E算数ができない
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- F漢字ができない
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- Gテレビゲームばかりしている
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- H学校からの連絡が届かない
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- I宿題をやらない
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- J図工道具などが用意できない
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- K忘れ物が多い
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- L友だちに怪我をさせた
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- M運動が苦手
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- N言葉遣いが悪い
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- 担任の本音
- クレームの前に、もう一度事実の確認を
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- 心配しすぎは害の方が大きい!
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- 子どもは親の背中を見て育つ
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- 子どもかわいさ故、躾のチャンスを失う愚
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- ミニ特集 ここが父親の出番
- 「いざ」という時が父親の出番
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- 父親は、行動する姿で伝える
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- 子どもを成長させた父親の一言
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- 探し出してでも叱ったあの日
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- 「事件」の時が父親の出番
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- イラストで見る家庭教育のポイント (第22回)
- 遊び
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- 家庭教育のポイント (第22回)
- 遊びの場を保障する学校でのとりくみ
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- 編集前記
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- PTA会長奮戦記
- 地域エンパワーメントの実践は小学校PTAのエントリーから
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- つぶやきに見る子どもの成長
- つぶやきに学ぶ
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- 〜他者への思い〜
- 校長が語る子育ての極意
- 子どもに正対してこそ心の豊かさが育つ
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- 校長が語る「基礎学力の保証」
- 学校は本当に頼りになっているか
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- 〜「保障」の意味〜
- 礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
- マナーは小さい時から
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- 家庭でできる食育のポイント
- 「酸素」とは何か、学ぶ
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- 医師 私の子育て日記
- 感性を育てる方法
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- 塾から見た基礎学力
- 現代の子どもの基礎学力低下を考える(2)
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- 教師・読者座談会 (第10回)
- お父さんの本音〜父親との座談会〜
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- 最新最大の子ども調査
- 子どもの好きな言葉に変化の兆し
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- 年少のドラマ、年中のドラマ、年長のドラマ
- 年少/大文字山に登り切った我が子に驚き
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- 年中/いじわるされたときいじわるしたとき
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- 年長/「お父さん、鉄棒をしようよ」
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- 小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
- 小1/もうすぐ二年生
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- 小2/子どもが劇的に変化する!五色百人一首の威力!
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- 小3/スーパーとびなわで二重跳び全員達成を目指す
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- 古今東西人類の知恵「子育て語録」
- 心の教育の二本柱
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- 心に残る名作・名詩―父を思う・母を思う―
- はらにおさめてわするべからず
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- とっておきの話・親子でお話ぬりえ
- 僕にできること
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- SOS 子ども・親が電話相談をする時
- 友だちがいない
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- 保健室から1ページ
- 魔法のタオル、魔法の毛布
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- こんなときどうする?平山先生!
- 生育暦の聞き取り−症状がいつごろからあったのか、二次的に心が追い詰められていないかをチェックしていきます
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- 親子で挑戦ペーパーチャレラン
- 都道府県チャレラン
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- 衝撃のドラマ・算数が大の苦手の子が満点をとった
- 「写すのも立派なお勉強なのです。」
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- 本筋の心の教育
- 物の受け渡しで気遣いを教える
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- 親子で漢字文化ワーク (第10回)
- 神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
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- 親子でイラスト作文 (第10回)
- かぐやひめ
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- 酒井式描画法・感想画
- かさこ地蔵
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- 1000年続く教材・いろは歌
- 人生の知恵・いろはカルタ
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- 1000年続くかけ算九九
- 世界のかけ算表を紹介する
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- 家庭教育の基本
- 塾や習い事を「やめたい」と子どもが言った時の智恵
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- 特別支援教育のはなし
- お話し大好き、漢字は嫌い。漢字が覚えられないって病気なの?
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- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
- 一言千円だったら、一日何言?
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- これからの小学校教育
- 数値目標
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- 読者のページ
- 編集部ニュース
- 現代っ子アンケート・子どもインタビュー
- 子どもたちに、夢を!
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担任教師とのつきあい術基礎編・応用編
まずはすばらしい教師かどうかを判断すること。「子どもの算数のノート」を見れば、担任のレベルが分かる。
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
担任教師と上手につきあうには、担任教師の技量がどのくらいかを理解しておく必要がある。
お医者さんだって「名医」と「ヤブ医者」では、つきあい方が違うはずだ。
ラーメン店だって「うまい」か「まずい」かによって、つきあい方は違ってくる。
「まずいラーメン店」とは、誰だって「できるならつきあいたくない」「そういう店には入りたくない」と思うはずだ。
担任教師の技量の中で、最も大切なのは「授業の技量」だ。
担任の話には、時として「リップサービス」が含まれているから要注意だ。
教師は、話をするのが商売、長年やっていれば人並以上にしゃべれるようになる。
ところが「授業の技量」だけは「真剣な熱中した正しい修行」ぬきには上達しない。
すべてのプロが「熱中した真剣な正しい修行」を必要とするのと同じである。
教師も例外ではない。
努力をしない教師は、駄目なのである。
毎月何冊もの専門雑誌を読み、自費で三万、五万を支払いながらセミナーに参加する教師がいる。
一方、雑誌も読まず、パチンコにうつつをぬかし、ゴルフに興じる教師もいる。
どちらの技量が向上するか、誰でも分る。
つまり、教師になって「身銭をかけて真剣に学んだ」かどうかで、教師の技量は大きく差がついていくのだ。
TOSSの教師一万名余は、教育界で最も勉強する教師である。
毎月五冊、十冊の教育雑誌を読み、五万円、十万円をかけて遠くの研究会に参加する。
毎月、夜遅くまで研究会(サークル)をして、五色百人一首大会、子どもTOSSデーなどのボランティア活動もする。
教師の技量は、みるみるうちに向上するのである。
読売新聞は十月四日付の朝刊で、TOSSの授業を一面全ページで紹介した。
国際フォーラムで行なわれた「教師力セミナー」の「九十分の授業」でとりあげたのである。
九十分の授業には、およそ二十の授業が入っていた。圧縮授業で紹介したのである。
参加者は千名余りいたが、感想がすごかった。
「TOSSの先生方の授業力の高さに圧倒された」「うちの学校にもTOSSの先生がいたらと思った」などが、多数あった。
休み時間、TOSSの紹介ブースは、人々が押しよせ、「クルリンベルト」「百玉ソロバン」「スーパーとびなわ」「TOSSノート」「かけ算九九尺」などのTOSSオリジナル教材が、あっという間に売れてしまった。
九十分の持ち時間で、九十分ピッタリの授業と解説には、進行担当の読売新聞の方々も、びっくりしていた。
この時の授業の様子は、読売新聞のインターネットサイトで紹介された。
動く画像で見ることができた。
この画面へのアクセスは、いつまでたっても下火にならず、多くの人々が見ることとなった。そのため、読売新聞は、配信の予定を大幅に延長した。
この映像を見た全国の方々から、多くの便りをいただいた。
TOSSの授業の「すごさ」「うまさ」「感動」について書かれていた。
「授業をやってセミナーをする」のは画期的なことだった。
読売新聞から「教師力セミナー」の話があったとき、私は「授業をした上でシンポジウムをする」ことを提案した。
教師の技量は、授業をしなければ分らないのである。
私の経験では、同じ学校に五年間つとめた同僚で、席が隣であっても、その先生の技量は分らない。
しかし、授業を見れば技量は分る。一分間で分る。三分間見れば十分だ。
私は「一分間見ただけの授業」について、一時間でも二時間でも、解説することができる。しかし、授業を見ない以上、技量は分らない。
私の提案に読売新聞は応じてくれた。
これまでの読売新聞の連載に登場した多くの先生方に参加をよびかけた。有名な先生も多い。しかし、ほとんどの方は、出てこなかった。「授業を見せる」のは、それほど大変なのである。
よくテレビで教育シンポジウムがされている。私から言わせると、シロウトが勝手なこと、見当違いのことをしゃべっているという感じだ。特に、テレビによく出る人の意見がデタラメだ。
つい先日、たけしの番組からテレビ出演の依頼があった。私は、正しい方向で内容ができると思えなかったので辞退した。
翌日、更にディレクターから、熱心なおさそいがあったが、「プロの技量は、プロでしか分らない」と、重ねて辞退した。
というほどに、教師の技量を判断するのはむずかしい。
保護者が、担任のどこを見たらいいのかを紹介する。
第一に見るのは、算数の授業だ。
子どもの算数ノートを見ればよい。二つのことが大切である。
まずは、教科書の問題が、すべてノートに書いてあること。進度が遅れてないこと。
次にノートの書き方がていねいで、美しいこと。技量のある教師なら、必ずノート授業をしているのである。
駄目なのは、プリント学習をしている教師。教科書をほとんど使わないので、下位の子は勉強時に落ちこぼれる。中位の子は、段々、おちこぼれていく。上位の子は、段々、算数が嫌いになる。
ついていける子は、塾に行っている子だ。
授業参観の時、紙に書いた問題を黒板に貼って十分、十五分考えさせ、何人かの子どもに発表させ、先生がまとめるのがプリントタイプだ。算数の問題解決学習といい日本中にはびこっている。子どもの学力低下をもたらした真犯人は、この方法だ。
算数の授業で、二、三問しかやらないで、練習問題などは、宿題にされる。
「宿題を出す先生はいい先生」という誤解がある。授業で教えないで「宿題まかせ」「家庭まかせ」にする先生が、いっぱいいる。
第二に見るのは、漢字の指導だ。
もちろん、漢字は、授業中教えることなのである。
ところが、授業中漢字指導をしないで、もっぱら宿題にする先生がいる。全国にいっぱいいるのだ。宿題で実力はつかない。毎日宿題を出してきつく調べても駄目だ。
クラス平均四十点、0点近くが十名以上もいるというのを私は体験している。
国語の授業で、五分ほど漢字指導をすれば、クラス平均は九十点以上になる。つまり、ほとんどの子は、満点になるのだ。
以上、二つのことが、担任の判断の最高の基準だ。
算数の教科書を使い、すべての問題をノートに書いてあって、漢字の指導も学校でやってくれる教師なら、最高だ。
TOSSの教師と同じ水準だ。
赤飯をたいていい。
その上に「授業が楽しい」「学校が面白い」というなら言うことはない。宝クジに当るより、すごいことだ。
逆に「教科書を使ってない」「漢字を教えてない」のなら、親同士で話しあって、保護者会の時に「教科書を使うよう」お願いすることだ。
変な教師もいるから、できるだけ上品におだやかな言葉で、しかし、したたかに。
良い方向に変化すれば、それでよし。
もし、頑固に変えないなら「教師の指導はない」と見切りをつけ、「親が教える」ことだ。
「算数の教科書」と「漢字」だけでいい。
それだけできれば、中学生になっても大丈夫だ。
算数の教科書は必ず「例題」が出ていて、「やり方」も書いてある。「やり方」をノートにうつさせるだけでいい。
その次に例題と同じような「類題」が出ている。まねをしてやらせればいい。
「教科書の勉強のしかた」が身につくのに三ヶ月はかかるが、その後は、親の手を離れて、自分でもできるようになる。
以上が、担任とのつきあい方で、最も大切なことだ。
これ以外にも、事故がおきたり、トラブルがあったりした場合のつきあい方がある。
そんな時も「算数の教科書をきちんと教え」「漢字を授業時間に教えてくれる」先生なら安心して対応できる。
その先生は、子どもに対する本当の責任感があるからだ。
口先だけのリップサービスではないからだ。先生にまかせてよい。
さて一つだけお願いを。
このようなすばらしい先生を「けなす母親」がたまにいる。わけのわからない親だ。
たった一人の親でも、わけのわからないことを主張すると教室は崩れる。
それを支えるのは、母親の大切な仕事だ。
多くの母親が支えれば大丈夫だ。知らぬふりをすると害は我が子に至る。
すばらしい教師を見すてている親たちを目にするので、残念でならない。
向山洋一
本誌編集長
日本教育技術学会会長
千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の
教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
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