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今回は、線描やパス、絵の具の使い方、またいろいろな技法、用具の扱いなど、第1弾よりさらに詳しく掘り下げ、イラストなどもふんだんに取り入れて、絵の指導が初めての先生でもすぐに使えるよう、分かり易い説明に努めました。扱う絵の種類も増えています。第1弾と併せて活用していただければ、より効果的だと思います。また、東山明先生執筆の本書のV章「基礎・基本と絵の指導のコツ」を併せて読んでいただけたら、私達の意図がより伝わるのではないかと考えます。
ホトケノザにピンクのうさぎがはねているような小さな花を見つけた時、子どもの心に、『おもしろそう! 描いてみたい! 』という気持ちが湧き上がってきます。きっかけがつかめれば、すぐに子ども達は自分流の方法を発見し、ぐいぐいと描いていくようになります。後は、「ここの色、とっても丁寧できれいだね。」「ここは、自分流によく工夫したね。」などと具体的に誉めていけば、より自信と喜びをもって描いてくれることでしょう。
時には、「こうすれば、もっと良くなるよ」と、一段高めの指導をします。その子の性格と力量に合わせ、階段を一段ずつ上っていく指導を心がけています。
それぞれの花の持つ様々な色や形、まさに自然が作り出した芸術です。それだけでも描きたい、描かせたいという思いに駆られます。でもそれだけではありません。
花びらの数や複雑な色の変化、雄しべや雌しべの形、葉の形や葉脈の特長・・・観察眼を鍛えるのにもってこいの題材です。指導者は、「花びらは何枚かな?」「茎は?葉っぱの形は?」などと子ども達の視線を誘導しながら、ゆっくりと描かせていきます。
ひだまりではそのために、家の前にたくさんの花を植えていますが、学校では校庭や中庭の花壇が活用できるのがよいですね。
絵の具・筆・パレットなどを持たずに来る子がいます。なくても先生が何とかしてくれるだろうと思っているようです。
私達は、常に保護者と連絡を取り合い、単に絵を上手に描けるようになるだけではなく、自立した人間として成長してくれるようにと願い、指導を続けています。
5分と作業に集中出来ない子もいます。そうした子には、例えば「版画」であれば、3分で出来る部分を示し、「ここを5分で出来るかな」と声掛けします。すると、さも得意げに3分足らずで仕上げます。「すごい!では、ここの部分を何分で出来るかな」と、少しずつ時間を長くしていきます。中高学年になる頃には、2時間休みなしにがんばれる子に育っていきます。
先生方には、授業の前に、ぜひご自分でやってみることをお勧めします。子どもがつまずきやすいところが分かり、どのように手立てをしたらよいのかも具体的に分かってきます。絵に苦手意識を持っている先生もおられるかもしれませんが、一度、本書の手順通りにやってみてください。子どもに自慢したくなるような絵がすぐに描けますよ。さあ、子ども達と一緒に「図工の達人」を目指しましょう。