野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(2)
クラスでよくケンカが起こり、子供たちがお互いに汚い言葉で罵り合う
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/5/17 掲載
  • 野中流!学級経営&授業術
  • 学級経営

つまずき場面

クラスでよくケンカが起こります。
どのように解決していったらいいですか?

1 考えられるつまずきの原因

 学期最初に、クラスの様子を見ていた子供たちがさまざまに動き始めているのです。 
 「群れ」のままのクラスは、ルールが生きていないので始終もめごとが起こります。
これは教室の様子に慣れてきた5月頃に、どこのクラスでも起こってくる現象です。
 学級づくりの失敗ということではありません。でも、このままにしているとクラスのまとまりがなくなります。
 「群れ」の状態を「集団」にしていく手立てを打っていく必要があるのです。
 「集団」になるというのは、子供たちが自分たちで自分たちを動かしていく「自治」が機能していく状態を言います。

2 対応法

その1 「ちょこちょこ学級会」の導入

 指導していた4年生の初任のクラスでも、最初にこの現象が起きました。子供たちがお互いに汚い言葉を使って罵り合い、もめごとが起こっていたのです。
 すぐ「学級会を開き、『幸福言葉』と『不幸言葉』の話し合いをしたらいい」と助言しました。ケンカになる「不幸言葉」がどういう言葉で、お互いが快くなる「幸福言葉」がどういう言葉か、気づかせるためにクラスで話し合いをしたのです。
 それからこのクラスは、何かもめごとがあると、そのままにせずに、すぐにこの「ちょこちょこ学級会」(短い時間で話し合いをする)を開いてクラスの問題を解決するようになりました。

その2 「目標達成法」の実施

 そのクラスはそれだけで終わりにしませんでした。「目標達成法」を使って、「不幸言葉のないクラスをつくろう」という目標を掲げて取り組みを始めました。
 学級会で自分たちで話し合いをしているのです。この効果は絶大でした。見事に短期間で、しょっちゅうケンカが起こる状態をぴたりと終息させたのです。
 この目標は、あっという間に達成されていきました。
 ここがこのクラスの岐路だったのです。
 そのクラスは1年間この「目標達成法」に取り組み、最後は24個の目標を達成することができました。みごとに「集団」となったクラスに成長しておりました。(この4年生の実践については『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』にくわしく書いています。参考にしてください。)

3 教師力アップのポイント

 クラスの「群れ」の状態を「集団」化していく手立てを取っていくこと。「ちょこちょこ学級会」「目標達成法」はその手立ての1つです。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)、『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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