本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。
山田先生、私のクラスの子(3年生)について相談させてください!
学びのつまずき相談
文を読んで内容の読み取ることが難しい
国語の学習が苦手で本読みも少したどたどしいのですが、何が書いてあるかを読み取ったり、考えたりすることもできません。何度も読ませて、なにが書いてあるかを聞くのですが、内容を読み取れていません。
読むことは難しくても、せめて、何が書いてあるかぐらいは答えて欲しいのですが…。
日常の会話は普通にできるし、どちらかというとお喋りなぐらいです。
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ふ〜ん、普段はおしゃべりなんですね。その子の苦手さをもう少し整理してみましょうか。
山田先生の分析
誤りの原因を分析してみよう
なぜ、内容が読み取れないのでしょうか。日常会話は普通にできるし、どちらかというとお喋りとのこと。大事なことは、「できること」「できないこと」をきちんと整理することです。
内容の理解がいつもできないのか、できるときもあるのか、ということが分かることが必要です。
例えば、「自分で音読して内容を考えるという設定では、内容理解は難しい。」しかし「読み聞かせをして、内容を後でたずねると答えられる」という状況だったとしたら、どのように考えますか。問題は、子どもたちは頭の中でどのような処理をしているかです。前者は、「読む・内容理解」後者は、「聞く・内容理解」です。この子どもは、読むことがたどたどしい、聞くことは日常会話は普通などで大丈夫です。そうすると「読む・内容理解」は「難しいことから、内容理解」、「聞く・内容理解」「簡単から、内容理解」になります。脳は同時に2つの処理をする際に「難しいこと」があるとその事の処理に精一杯になり、次の処理ができません。
彼は、「読むことに精一杯で内容理解に頭を使えなかった」のです。読み聞かせは、聞くことに多くの能力を使うことがないので、内容理解に頭を使うことができたのです。
そうすると、こんな風にするとよいですよ。
学び支援のアイデア
読むことと考えることを分ける
しっかり内容を読み取らせたり、考えさせたりしたいときは、「読むことと考えることをわける」ことが必要です。子どもたちに音読させながら、内容を考えるという設定をやめる、「何がかいてあるか考えながらしっかり読みましょう」という指示は不適切だと言うことです。
しっかり考えさせたいときは、指導者側が読んで聞かせながら、考えるようにする展開が有効です。教師が範読し、しっかり聞かせて内容について考えさせるという方法をとります。そのことを何度も繰り返しながら、内容を考えるということを子どもたちに体験させていくようにトレーニングしていくという発想です。
なるほど。子どもの音読後すぐに「川から流れてきたのは何かな?」など質問を考えさせるのではなく、もう一度、教師が文章を読んでみて質問…という感じでしょうか。
そうですね。何度もくりかえししていくとよいトレーニングになりますよ。
学びづらさ、それ自体への支援
すらすら読めるようになることが大事
このようなケースでは、「すらすら読める」ことをきちんと指導していくことが大事です。なぜ「すらすら読めない」のかを考えることが大事です。
- 知っている言葉が少ないので、すらすら読めない。
- 漢字が読めないので、すらすら読めない。
- 文の切れ目が分からないので、すらすら読めない。
などが考えられますが、それぞれの理由にきちんと対応することが、とても大切なことになります。個別支援や、小集団指導など、子どもの困難な状態に合わせて、しっかり、支援を検討していって下さい。
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- 1
- ななし
- 2015/7/20 18:45:05
非常に解りやすかったです。 -
- 2
- 美加さん
- 2015/7/20 20:33:18
我が息子にピッタリの内容でうなずいてばかりでした。