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【夏休みの宿題を生かす言語活動】
夏休みに出した宿題は、一部を掲示したり、コンテストに出したりする以外は、検印を押して返すだけになっています。夏休みの宿題を生かす言語活動について教えてください。
ココがポイント!
貴重な学習成果を生かした思考力・判断力・表現力を鍛える言語活動を展開したい
夏休みには、小さなものを含めると、十数種類の宿題が出されることがあります。その貴重な学習成果を生かした意義のある言語活動を行いたいものです。
「夏休み課題じまんスピーチをしよう」という言語活動例を示しましょう。兵庫県たつの市立小宅小学校の三木惠子先生による4年生での実践です。
始業日に画像のような「夏休み課題ふり返りカード」が配布されます。「夏休み課題一らん」には、16種類もの宿題が記載されています。そして、次のような指示が与えられます。
@自分にとって「ねうちがある」、「がんばった」とおもうとりくみに◎、ふつう○、おしかった△ を( )につけましょう。
Aこの中で「いっしょうけんめいとりくんだ」「ねうちがある」など、自分でまんぞくしている取り組みを一つ選びましょう。その取り組みに赤○をつけましょう。
Bじまんベスト1は、【 】です。その理由は、(枠に記入)
この学習者は、【新聞記事から「私のハッピーニュース」3まい】を選択し、その理由として、「新聞から記事をきりぬいてハッピーニュースをみたのは、はじめてだからです。」ということを書いています。この理由が少し甘いため、教師から「どんな学びがあったの」という問いかけがなされています。
自分の宿題の全体を見渡して考え(思考力)、自分にとって意味のあるものを選び(判断力)、それを選んだ理由を書く(表現力)と、思考力・判断力・表現力を鍛える言語活動となっています。
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ワザ1 文章構成メモの作成でステップを踏んだ学習活動を
良質の言語活動にするためには、必要に応じたステップを踏んだ学習活動を準備することが重要です。「夏休みの課題じまんスピーチをしよう!No.2」プリント(文章構成メモ)には、次のような指示が書かれており、学習者がその指示にそって、思考力・判断力・表現力を発揮しながら、書き込んでいきます。
☆あなたが選んだ「課題のよさ」を説明するスピーチ原こうを書きます。
文章の構成を考えて、メモを作りましょう。
〈はじめ〉わたしが取り組んだ課題(宿題)の中で、まんぞくしているのは、
〔 〕
・それを選んだ理由
〔 〕
〈中〉☆作品のよさ【苦労したこと・工夫したことなど】を目に見えるように書きましょう。
・中1〔 〕
・中2〔 〕
〈終わり〉
〔 〕
まず、スピーチ原稿の〈はじめ〉として、「わたしが取り組んだ課題(宿題)の中で、まんぞくしているのは、」のように、どの課題(宿題)を取り上げるかを書かせ、「それを選んだ理由」も改めて書かせています。最初のプリントに書いたことが、スピーチ原稿の〈はじめ〉となるという工夫です。
〈中〉のところが「中1」「中2」となっています。「詳しく書きなさい」と言うよりも、こうした工夫によって、自然にスピーチの内容が豊かなものになっていきます。
また、画像にありますように、この学習者が、「お母さんはしごとだったから。」のように「理由」という項目を自分で書き加えているところも注目したいところです。〈はじめ〉において理由を書かせた効果と言うことができます。
〈終わり〉としては、「新聞記事をきりぬいてまたやってみたいです。」と感想を書き添えています。
さらに、原稿を書き終えて終わりではなく、
☆その課題の「よさ」を説明して、友だちからほめてもらいましょう。
と、友だちとの「伝え合い学習活動」を行わせています。友だちにほめてもらうことにより、自分のスピーチ原稿のよさを再認識することができ、自信をもってスピーチを行うことができるに違いありません。
ワザ2 ワザや工夫を書かせて学びのある言語活動に
文章構成メモプリントをもとに、次のような指示のもと、スピーチ原稿を書き、班や全員の前で発表します。字数を指定した条件作文です。2日間、3時間ほどの扱いでのごく短い言語活動です。
☆自分がまんぞくしている課題について、スピーチ原稿を書きます。友達に「ねうちがあった」「うまくできた」「いっしょうけんめい取り組んだ」ことが伝わるように「スピーチのワザ」を工夫して書きましょう。(時間 1分間 300字ていど)
☆友達に伝えるために、どんなワザを工夫しましたか? 二つ以上書きましょう。
☆書けたらグループで伝え合いましょう。あなたのスピーチを友だちにほめてもらいましょう。
![例](/db/eduzine/waza/20130630_3.jpg)
注目したいのは、スピーチ原稿を書いてスピーチして終わりではないところです。画像にある通り、自分がどのような「工夫(ワザ)」を用いたのかを書かせています。「理由をきちんと書けた。」「1つ目、2つ目という表現を工夫した。」と、この言語活動を通して「身につけた言葉の力」をしっかりと振り返らせていると言えましょう。
スピーチ原稿を書いて、スピーチをして終わりではない「活動もあり、学びもある」言語活動となっていることが重要なのです。
好い授業開きになりそうです。
素晴らしい工夫です。
またそこから発展させてスピーチ活動を行うことで、思考力・判断力・表現力の向上を目指すと共に、最初に書いたワークシートの内容を自分自身と対話しながらさらに掘り下げることができるという利点もあると感じました。私は、スピーチ活動を通して、クラスメートに対してどのように自分の言葉で表現していくかを試行錯誤する過程が生まれるという点に注目したいと思いました。この過程は、話し手の自己認識を深め、他者を意識しながら表現方法を探る機会になると思ったからです。