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動画1 ウィーン国立歌劇場での作品発表の冒頭
なぜウィーン国立歌劇場?!
ご紹介した映像は、2018年8月に実施したにオーストリアのウィーン国立歌劇場で、新たな音楽教育教材として、ボディパーカッション教育作品発表を行ったときの冒頭3分です。
歴史的なこのホールは、演奏者、作曲者や作品に対して事前審査があり、活動実績やそれに伴う目的・内容を伝えるようなっています。そんな中、「なぜ、クラシック音楽の殿堂であるウィーン国立歌劇場で、ボディパーカッション演奏ができるの?」と疑問に思われたかもしれません。
私が創作してきたボディパーカッション作品は、芸術や音楽として質が高いわけではありません。しかし、どのボディパーカッション作品も日々の授業の中から生まれ、全ての子どもたちが楽しめる優しい教材を目指して創作しています。結果的に、インクルーシブ教育教材として、日本の教科書(小学校、特別支援学校用)に採用されました。
また、音楽的な活動としても、NHK交響楽団と聴覚障害、知的障害の子どもたちと数回共演したり、海外ボランティア活動としてカンボジア教育支援を行ったり、オーストリア国立高齢者福祉施設訪問を行ったりしてきました。
欧米では、教育・福祉ボランティア活動実績は重要なポイントになり、それらが評価されたようです。
映像でもおわかりいただけるように、このとき、ウイーン国立歌劇場はほぼ満席でした。観客は音楽愛好者が多く、演奏に対してストレートな反応があることを事前に聞いていました。そのため、ボディパーカッションの予備知識がないウイーンの人にどう伝えるか悩んだ結果、以下のような計画にしました。
- ウィーン国立歌劇場は1800年代の伝統的な会場のためマイク設備がない。そこで、言葉での説明をやめて、「一人ボディパーカッション」をする。
- ボディパーカッションは楽しい!と思ってもらえる雰囲気をつくるため、観客が自ら手拍子や体をたたくボディパーカッションの体験ができる「まねっこリズム」にする。
「一人ボディパーカッション」と「まねっこリズム」
それでは、実際に行ったことを具体的にご紹介しましょう。
まずは、「今からみなさんに、体を使って、手拍子や足踏み、お腹やひざをたたいて演奏する『ボディパーカッション』というめずらしい音楽を披露します」とドイツ語で説明します。(約15秒)
「一人ボディパーカッション」
ボディパーカッションは、手拍子や足踏み、体の色々なところをたたいて音を出す演奏ですが、それを「一人でやってしまうとこんな感じです」と言って演奏します。
このときに心がけたのは、適当に身体をたたくのではなく、音楽的に4分4拍子の楽曲として演奏することです。
演奏内容は下記の流れです。(16小節…約30秒)
- 手拍子(4小節)→お腹、ひざ、すねをたたく(2小節)→ひざ打ち足踏み(2小節)
- お腹とひざ(4小節)→手拍子と足踏み(2小節)
- お腹、ひざ、すね、ひざ、お腹から手拍子アクセント(2小節)
「まねっこリズム」
「まねっこリズム」は、自分が1小節のリズム打ちをしたら、相手がそれを真似して、同じ1小節のリズム打ちをするコール&レスポンスのリズム活動です。
ここでは、ウィーンの方々に体を楽器にする楽しさを味わってもらうため、難易度を徐々に上げていく形で行いました。
演奏内容は下記の3段階の流れです。(約2分)
レベル1
手拍子による1小節のリズム。4拍目のリズムは休みにする。
レベル2
手拍子による難易度を上げた1小節のリズム。難しいリズムにしたり、4拍目にリズムを入れたりする。
レベル3
手拍子だけではなく、お腹、ひざ打ち、肩などを使って1小節のリズムにする。
手=手拍子
お=お腹を両手でたたく
ひ=ひざを両手でたたく
肩=両手をクロスして両肩をたたく
たった3分で雰囲気が変わった!
最初、客席は一体何が始まるのだろうかと会場中が静まりかえっていました。私も興奮状態です。挨拶をした後、いきなりパフォーマンスを始めました。観客は、あっけにとられたように静まり返ったので、とても不安でしたが、わずか最初の30秒ほどの演奏が終わると、ウィーン国立歌劇場の雰囲気は一気に変わり、大きな拍手をいただいたのでほっとしたのを覚えています。その後、2分ほどの体験型「まねっこリズム」で会場の雰囲気が柔らかくなり、次の作品がとても演奏しやすくなりました。
ウィーン国立歌劇場のプログラムには、ボディパーカッション教材が、聴覚障害を始め特別支援教育などのハンディがある子どもたちの教材として活用されていると紹介されていました。しかし、日本に限らず世界中の人々が、参加型の演奏やワークショップは大好きなのです。そこで今回のように体験型として、自分で楽しんでもらうことで、より一層説得力が増していたようです。
このとき、一緒に出演していただいたのは、一般募集した保育園、小・中学校、大学の先生方です。プロの演奏家の方々ではありませんが、自分の思いを込めて精一杯演奏に参加していただきとても感謝しています。
ノンバーバルでつながる!
先生方も、行事を行うときの導入に、ボディパーカッションやまねっこリズムの活動をちょっと取り入れてみたらいかがでしょうか?
ボディパーカッションは、特別支援学校(知的障害、聴覚障害)での指導経験の中で、言葉が通じづらい子どもたちへどのようにコミュニケーションできるかを日々考える中で生まれました。今回は、ウィーンでの様子をご紹介しましたが、ノンバーバルで誰とでもつながることができる、ということがお分かりいただけたかと思います。
ウィーンは世界の音楽の都と呼ばれています。将来、ウィーン少年合唱団やウィーンフィルの方々と、様々な障害の子どもたちが一緒にボディパーカッションを行い、「世界100か国の子どもたちへ音楽とボディパーカッション教育の楽しさを伝える!」作品発表や研究報告をできたらと夢見ています。
※名称「ボディパーカッション」は、子どもたちと一緒に考えた造語です。体全体(ボディ)を打楽器(パーカッション)にして演奏するので、このように名付けました。
導入を成功させるポイント
- 一番のポイントは、先生自身が「一緒にリズム遊びを楽しもう!」と思うこと。
- いくつかのリズムパターンがありますが、自分の中で難易度を整理しておく。難易度の流れは、基本的には「4拍目はお休み→4拍目に入れる→体全体を使う」です。
- どんな簡単なリズムでも、過信しないで事前に練習をしておく。準備は大切です!
- 上手くできない子どもや特別支援の必要な子どもがいても、教師が楽しさを前面に出して「間違いを笑いに変える雰囲気」をつくる。演技力が必要ですが、教師が自ら間違えて、「ごめんね!」と笑顔で雰囲気づくりをしてください。役者になってください!(笑)