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動画1 特別支援の子どもたちと演奏した「カルメン」のボディパーカッション
※「0歳からのリズミックな音楽会」(2019年6月22日)より。
様々な障害のある子どもたちが一つになってステージの主役に
本日ご紹介した動画はビゼー作曲の「カルメン」です。演奏している子どもたちは、向かって左側は、聴覚障害の子どもたちと知的障害のデイサービスに通っている子どもたち、そして向かって右側は同じくデイサービスに通っている子どもたちです。
様々な障害のある子どもたちが主役になってステージに立ってもらいたい、そう考えたことからこの取り組みが始まりました。最初は私が指導に行き、その後は指導員の方々に何度か練習をお願いして、本番を迎えました。
様々な障害がある子どもたちですが、ご覧いただくとわかるように、音楽が始まるとすぐにみんなが一体となって演奏しています。障害の有無に関係なく一瞬で一つとなって演奏できるのはなぜでしょうか。本日はその秘密を3つご紹介します。
秘密その1:みんなが知っているクラシック音楽!
みなさんは、クラシック音楽は難しくて堅苦しいというイメージをもっていませんか?
クラシック音楽を演奏する場合は、「楽譜を読む、楽器上手に演奏する」、合唱の場合は「音程やハーモニーに気を付けて声を出す」など、とても約束事が多いイメージですよね。確かにそのような点もあると思います。それに比べると、ポピュラー音楽は手拍子ですぐにノリノリになれるし、体動かすだけで楽しくなりやすいので気楽かもしれません。
私があえてクラシック音楽を選んでいる理由は、クラシック音楽にはボディパーカッションでシンプルなリズムが入れやすいため、障害のある子どもたちにとっても演奏に参加しやすい優しい音楽だから、です。
特に今回の「カルメン」は、みんなが知っているクラシック音楽の代表曲ですが、リズムが強調されていてメロディーがわかりやすいので、ボディパーカッションと相性がいいようです。
この曲では、最初の出だしから手拍子が主役になります。さらには、手拍子のリズムが強調されることで音楽が一層引き立つと思います。
子どもたちにわかりやすい音楽なので、導入から子どもたちが一体となって参加することができるのです。
秘密その2:楽器の準備が必要なく間違えても目立たない!
ボディパーカッション活動の最大の特徴は、「楽器の準備が必要ない」ということです。本日ご紹介した動画では、バックのオーケストラはすべて生演奏でしたが、かわりにスマホやCDで音楽を再生すれば、準備はほとんどいりません。
また、手拍子や体をたたく音は、少々ずれても音が気にならず、逆に装飾音符のようになって音に厚みが出ると思います。また、楽器と違って、音程を間違えたり、変な音を出してハーモニーやアンサンブルが崩れてしまうという心配もなく、少々間違えたとしても子どもたちが思いっきり楽しく参加することができるのです。
間違いを気にせずに演奏できるので、導入から思いっきり楽しく参加することができるのです。
秘密その3:自然と覚えられるリズムパターン!
今回ご紹介した「カルメン」で使っているリズムパターンは、次の4種類です。
簡単なリズムパターンなので、音楽を何回も聴き曲を覚えたら、先生が目の前で何度か一緒に演奏するうちに、子どもたちは自然と手拍子を入れる感覚を覚えます。
簡単なリズムパターンですが、音楽と一緒に演奏すると、とてもリズム感があり盛り上がります。
音楽に自然に乗ることのできるリズムパターンなので、最初からノリノリで参加することができるのです。
障害の有無に関係なく一気にクラスが一つになることのできるクラシック音楽deボディパーカッション、ぜひクラスみんなで取り組んでみてください。
※名称「ボディパーカッション」は、子どもたちと一緒に考えた造語です。体全体(ボディ)を打楽器(パーカッション)にして演奏するので、このように名付けました。
※11月に放送のNHK総合テレビの特番「世界は教科書でできている」で、ボディパーカッションを取り上げていただくことになりました。番組では、大ヒット中の「鬼滅の刃」のテーマ曲「紅蓮華」のサビ部分に、ボディパーカッションをつけています。手を合わせたりする動きを取り入れて、家族や友達と一緒にボディパーカッションを楽しく取り組めるように編曲しました。下記時間帯で放送されますので、ご覧いただきぜひチャレンジしてみてください。
放送日:11月3日(水)19:30〜20:15 NHK総合テレビ
導入を成功させるポイント
- まずは曲を聴いて覚えましょう。メロディーに合わせるような気持ちで手拍子をします。
- うまくリズムが打てない子どもがいても、周りにできる子たちが半数以上いる場合はそのまま一緒に演奏をさせてください。できる子の中で演奏する中でいつの間にかできるようになる場合があります。
- 中には最後までうまく手拍子ができない子どもがいても許容してください。ご紹介した動画でも、できる子、できない子、全く演奏していない子など様々です。
- 健常、障害に関わらず、リズム通りにできているかだけでなく、子どもたちが「その場の雰囲気を楽しんでいるか」「自分から進んで参加しようとする姿勢が見られるか」など教育的な視点で指導してください。