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チェックポイント
- 優しさを人に伝えるには?
- 言葉について
- 行動について
優しさを人に伝えるには?
この時期の子どもたちにはまず、「みんなが優しいのはわかっている」という話をします。実際に、心の中に優しさの要素がない子はいませんし、ここまで子どもたちと過ごしてきた学級担任の先生であれば一人ひとりの優しさの具体をイメージすることができるでしょう。クラス全体で優しさを発揮したことを想起してもよいでしょう。
そして、十分に時間を取った後に「ところで、みんなの心の中を目で見ることができる?」と問います。当然、答えは「できない」です。「でも、先生はみんなが優しいのを知っている。目で見ることができないのに、それを知ることができたのはなぜだろう?」と投げかけてみます。ここで、ペアで考えたり、ロイロノート・スクールをはじめとするアプリで共有したりするのもよいかもしれません。
子どもたちに意見を出させた後に、それらを集約していきます。黒板を2つに分けて「言葉」と「行動」にまとめることができるでしょう。「心の中は見ることはできないけれど、みんなの言葉や行動を見たから、みんなの優しさが伝わっている」ということを押さえていきます。「だから、少し言葉や行動に少し気をつけていこう。せっかくの優しい心が『もったいない』よ」と話します。
「もったいない」という言葉は、本来の価値を認めながらも変化を促すときに有効な声かけです。ここでは、子どもたちの優しさを十分認めたうえで、「でも『もったいない』ことが多く見られるから、クラスをもっとよい雰囲気にしていこう」と伝えていきたいです。
言葉について
この時期の子どもたちは、言葉や行動が荒れることがあります。冬休みまではまだ日がある中で、近い目標が明確になっていなかったり、クラスや個人の問題が蓄積されたりしていることがあるからです。まずは心が満たされるように、子どもたちが向かうことのできる課題や楽しい取組、安心・安全が仕組まれているか確認する必要があるでしょう。
ただ、心がそこまで荒れていなくても言葉が荒れる場合もあります。少し嫌なことがあっただけで「死ね」と返すのはまさにそれです。本当は「嫌だった」ということを伝えたいだけなのに、それが「死ね」では、様々なデメリットが発生して「もったいない」というわけです。このようなときは、子どもが感情を伝える言葉を知らないことがほとんどです。丁寧に気持ちを聞き取り、「その気持ちなら、○○と話すと気持ちが伝わるよ」と教えてあげたいものです。
行動について
行動についても「もったいない」場面は多いです。例えば、授業中に本人は話を聴いているつもりでも、タブレットをいじりながら聴いていれば、聴いていることは伝わりづらいです。「ごめんね」と謝ったときに、恥ずかしさから不貞腐れたり、軽い態度でいたりすればさらに相手から怒りを買ってしまうかもしれません。
大切なのは、このような具体があったときに「あなたの気持ちは見える?」「気持ちを伝えるときには何が大切だったのかな?」「言葉と態度で伝えてみよう」と同じ指導を何度も繰り返していくことです。また、その都度クラス全体に共有することで多くの子どもの学びにすることができます。
よく「いや、聴いています」「ちゃんと謝ったじゃん」と言う子どももいます。しかし、ここで重要なのは、自分がどう感じているかではなく、相手がどう感じているかです。「あなたはそう思ったのかもしれないけれど、先生はそう思わなかったよ。世の中には多くの人がいるから先生みたいに感じる人がいるかもしれない。そうだったら、せっかく優しい心をもっているのに『もったいない』じゃない」と話していきます。
教師は子どもの気持ちに寄り添うことが大切ですが、時には自分の感情を伝えることも子どもたちの学びになります。その際には感情的にならず、冷静に淡々と話していくことが必要です。そうでないと「先生は自分の気持ちを解消するためだけに言っている」と捉えられてしまうことが多いからです。