9〜10月にかけては、学校行事や児童会行事など、様々な行事が予定されていて、落ち着いた雰囲気で学級生活を過ごすことが出来るようになる時期です。この時期は、様々な行事等を通して子ども一人一人が自分自身の成長を実感したり、学級や学年のまとまりを感じるなどして「われわれ意識」を育むことができるようになる時期でもあります。
中には、行事等の忙しさのあまり、子どもたちの動きをうまく把握できずに、ある日突然騒がしいクラスになっていることに気づいたり、何となくざわついて授業中の私語が止まらなくなっていたりする等の子ども達の変容ぶりに戸惑いを感じてしまうようなケースもあります。
特に、それまでと違っておとなしかった子どもたちがイライラして落ち着かない感じであったり、わけもないのにざわついて教師の指示が通らなくなるなどの「クラスの荒れ」につながるような言動が表面化し、担任が悩み始めるという「11月危機」になるケースもあります。
最近、アサーションスキルやコミュニケーションスキルを育むために似たような活動がエクササイズとして取り入れられていますが、自分たちの課題、自分や友達のことを意識した実態に応じた不安や悩みの解消を加味することで、我々意識の醸成や折り合いの付け方を学ぶことを体験的に身に付ける取り組み例を紹介します。
自分もよく相手もよい関係づくり「みんなでしんぱいごとをなくそう」
1ねらい【中学年の学級活動】
学校生活の中で起こる様々な不安や悩み、心配事があることを確かめ、解消するためのアイディアを出し合うことが出来る。
2活動T <シェア(心情面での振り返り)> 「教室内の不安や悩みの確認」
問題の意識化
@「教室にいるときに不安や悩み、心配事」等がある友達がいることに気づく。
※どのようなことかは、直接言いにくいこともあるので、無記名で事前にアンケートを取り、グラフ化したり、集計し、ランキングしたりしておくとよい。
※項目例…友達のこと、勉強のこと、休み時間のこと、当番活動のこと、他
Aグラフからどのようなことが多いのかを確認し、クラスみんなが気持ちよく過ごせるための方法を話し合う。
※出された内容について意外だったこと、気づかなかったこと、予想外だったこと等を中心に確認する。
3活動U 「グループごとの活動」
@グラフを見て気がついたことを伝え合う。
A特に自分が気にしていなかったことで、友達が選んだことについて、どのような手だてを取ればよいかを話し合い、グループのテーマを決め、ロールプレイ用のシナリオづくりをする。
※友達関係での悩みのシナリオ例…誘いを断れない
(1)ごめんね、せっかく誘ってもらったのだけど。
(2)今日はおじいちゃんのお見舞いに行くことになっているの。
(3)お母さんとも約束しているし、だからせっかくだけど今日は一緒に遊べないんだ。
(4)あさってなら一緒に遊べるけどどう。
- 出来たシナリオを使ってグループごとにロールプレイをする。
※遊びに誘う人、断る人、側で見ている人、全体を見ている人の立場に役割を分けて実施し、全員がそれぞれの役を体験する。
- やってみての感想を伝え合う。
4 活動V 「全体での活動」
○グループごとにやったシナリオロールプレイで、ぜひみんなにお勧めの取り組みを希望のグループがやってみる。
※グループが希望しない場合は、教師がお勧めのグループを推薦したり、シナリオを紹介してもらったりして全体にフィードバックする。
5 振り返り
○「みんなでしんぱいごとをなくそう」をやって気づいたこと、感じたこと、思ったことなどをグループで振り返る。
※自己決定し、自分に悩みが出来たときや、友達が悩んだときに助けてあげる意欲を持つ。
今回の「みんなでしんぱいごとをなくそう」は、学級活動(2)不安や悩みの解消として従来から取り組まれているものに、シナリオロールプレイを取り入れたものです。
不安や悩みは、ことによっては、負のエネルギーとして、引きこもりや不登校など不適応を起こす場合もあります。社会的スキルの育成のためにもぜひ取り入れたいものです。
中学年を意識していますが、活動U・Vの条件を「教師が提示する」「主な柱を示し、即興でその場で」にするなどして低・高学年でも実施できる内容であると思います。
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- 池田晃
- 2012/11/1 12:09:02
某教育大学3年の池田と申します。edupediaのサイトで先生のことを知りました。すごく分かりやすいので参考にさせていただきます。