11〜12月にかけては、大きな学校行事や児童会行事などが落ち着き、子どもたちは落ち着いて生活できるようになります。教師は通信表を意識したり、進度の調整や冬休み前の評価に力を入れる時期でもあります。また、年末に向けて、振り返りや反省を落ち着いた雰囲気で学級生活を過ごすことが出来るようになる時期です。
この時期は、様々な行事等を通して培われた子ども一人一人が、自分自身の成長を実感したり、学級や学年の成果やまとまりを感じるなどして更に「われわれ意識」を醸成することができるようになる時期でもあります。
行事等の忙しさのあまり、子どもたちの動きをうまく把握できずに、ある日突然騒がしいクラスになっていることに気づいたり、何となくざわついて授業中の私語が止まらなくなっていたりする等の子ども達の変容ぶりに戸惑いを感じてしまうような「11月危機」は、ある程度落ち着いてくる時期でもあります。
最近、高学年の学級活動では、アサーションスキルやコミュニケーションスキルを育むために似たような活動がエクササイズとして取り入れられていますが、自分たちの課題、自分や友達のことを意識した実態に応じた不安や悩みの解消を加味することで、我々意識の醸成や折り合いの付け方を学ぶことを体験的に身に付ける取り組み例を紹介します。
みんなで解決!
不安や悩みをなくそう
1ねらい【高学年の学級活動】
生活の中で起こる様々なイライラや不安、悩みがあることを確かめ、解消するためのアイディアを出し合うことが出来る。
2活動T 「教室内の不安や悩みの確認」
問題の意識化
※学校生活、家庭生活の中で「イライラしてしまうことや不安、悩み事」等があることを振り返る。
@無記名で事前にアンケートを取り、グラフ化したり、集計し、ランキングしたりしておくとよい。
※グラフから多くの友達が、どのような不安や悩みをもっているか、また、それに対してどのような対処方法があるかを話し合い、分類する。
A主に、「助けてもらう(話を聞いてもらう、一緒に運動する等)」「自分で解決する(音楽を聴く、深呼吸をする等)」「人や物にあたる(友達に八つ当たりをする、ものをける等)」「その他(そのままにしておく等)」等に分けられる。
3活動U 「グループごとの活動」
グラフを見て、自分たちのお勧め対処法、あまりお勧めできない対処法を選び、それぞれなりきって、「なりきりロールプレイ」をする。
@「なりきりロールプレイ」をやってみてグループごとに振り返る。
不安や悩みの解消では、普段自分の言動や対処の仕方を振り返り、今後どのように取り入れていくかを確認することがポイントになると思う。
そのためには、お勧めしたい対処法もあれば、してはいけない対処法があることに気づくことが大切である。
- グループごとにやってみた「お勧め対処法」から一押しのもの、「お勧めできない対処法」をそれぞれ一つずつ決める
4 活動V 「全体での活動」
@グループごとに決めた「お勧め対処法」、「お勧めできない対処法」をそれぞれなりきりロールプレイで、全体の前でやって見せて、お勧めのポイント、お勧めできないポイントをそれぞれ紹介する。
A紹介されたものを元に全体で振り返る。
答えは一つではないこと、自分が選ぶのに参考になることが大切であることは、確認しておくと良い。
5 振り返り
@「みんなで解決!不安や悩みをなくそう」をやって気づいたこと、感じたこと、思ったことなどを全体で振り返る。
A自己決定し、自分がイライラしたときや不安、悩みが出来たとき、友達が悩んだときに助けてあげる意欲を持つ。
今回の「みんなで解決!不安や悩みをなくそう」は、前号の中学年バージョンに場面を想定してロールプレイすることで、そういう感情になったときに具体的に対応し活用するものです。
とかく人間関係が希薄と言われている上に、思春期に入る高学年の頃は、心理的に不安定になり、イライラしたり、不安や悩んだりすることで、不適応を起こす場合もあります。他にも社会的スキルの育成のためにもぜひ取り入れたいものです。
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- yuka@熊本
- 2012/12/29 10:56:06
熊本のyukaと言います。最近夏の講座にいらっしゃらないので残念です。このページを楽しみにしています。早く次のコマが読みたいです。 -
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- よさこい
- 2012/12/29 16:58:11
岐阜のよさこいです。いじめの対応によく読ませてもらっています。新しい記事も楽しみです。