教師が苦手な教科を毛嫌いしない
音楽の細かいことや専門的なことは指導しきれない部分があるかもしれません。だからといって、そうして教師自らが毛嫌いしていたのでは、子どもがその授業を楽しめるわけがありません。以前、校長先生に「教師が10楽しんでいたら、子どもは授業を10の中で楽しめる。教師が100楽しんだら、子どもは100の中で楽しめる。だから教師がだれよりも楽しみなさい」と言われました。その言葉を聞いて、僕自身がだれよりも楽しもうとますます思いました。
さて、まずは僕が音楽の時間によくしているゲームを2つ紹介します。
授業が楽しくなる指揮棒活用法
音楽の授業のとき、僕は指揮棒を持っています。それだけで、なんだか気持ちが盛り上がります。そして、大事にしているのが、「静」と「動」です。指揮棒を上げたら、歌う姿勢や演奏する姿勢になる。最初は、上げたり下げたりして、指揮者を見ることが習慣になるようにします。これを繰り返すだけではおもしろくないので、上げる…フリをして頭をかく、などは笑いが起きる定番です。笑いがあることで場の空気は柔らかくなり、歌いやすい雰囲気ができてきます。
また、指揮棒を振るスピードに合わせて、歌ったり演奏したりすることもよくします。わざとゆっくりしたり、わざと早めたりするだけで楽しくなります。ゆっくり振ると、子どもが音符の長さがわかっているのかもよくわかるので、一度試してみてください。
「○抜き歌」で変化をつける
そして、もう1つは「○抜き歌」です。歌を歌うときに、「ら」だけ抜いて歌います。そこの部分だけ口パクをします。テンポの速い曲ですると、とっても楽しいです。思わずそこを歌ってしまった子にツッコミを入れることが、ぼくの楽しみ方でもあります。リコーダーで「シ」抜きで演奏することなどもします。変化があると楽しくなります。
曲のイメージは何色?
さて、本題です。
僕は、曲を歌うときも演奏するときも、必ず子どもの中でその曲のイメージをもてるようにしています。そのときに活躍するのが色鉛筆です。
色鉛筆を持って、みんなで曲を聴きます。そして、その曲のイメージは何色かを問います。選んだ色とその色を選んだ理由を子どもたちに話し合わせます。曲のリズムや雰囲気が途中で変わる曲の場合は、何色から何色に変わるイメージかを話し合うこともあります。
歌詞から情景を思い浮かべよう
それだけではありません。歌詞からも情景を思い浮かべます。
例えば、教科書にも載っている有名な『ビリーブ』という曲の冒頭の部分。「この子たちは男同士ですか? 女同士ですか?」「小学生ですか? 中学生ですか?」と、どんどん聞きます。もちろん正解はありません。でも情景を思い浮かべるだけで、全然歌声が変わってくることは確かです。
他にも、いろんな歌い方を試すこともあります。例えば、『ビリーブ』で「世界中の希望」の部分を「世界中の悩み」と替えて歌います。元の歌詞とは両極の歌詞で歌うことで笑いが起こるだけでなく、どのように歌うといいのか子どもが考えるようになります。長くはしません。せいぜい5分くらいです。
このような活動を繰り返していると、はじめて聞いた曲でも、それぞれどんな情景を思い浮かべているのか自由に話し合うようになります。観賞の授業もこのようにしています。そうなってくれば「今日はAさんの世界で歌ってみよう」などとそれぞれが思い浮かべる情景を共有し、歌うことができます。もちろんリコーダーでもやります。
授業を教師が楽しむことで、笑いがたくさん起こります。そうすると歌いやすい、演奏しやすいムードが教室に広がります。そんなムードでする音楽の授業は、僕のハッピーな時間です。
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- 山口GENKI
- 2012/7/28 11:37:55
金先生の音楽指導、伝わってきます。「一番苦手なのが、音楽」「一番好きなものも音楽」いかにも金先生らしいです。金先生の「教師が苦手なものに、チャレンジする姿を見せる」というポリシーがよいです。指揮棒を使った音楽指導、きっと全国に広まっていくでしょう。 -
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- 山崎永遠
- 2013/2/18 21:55:24
この言葉全世界にとどいてほしいなぁー