- 支援のあるクラスづくり
- 特別支援教育
今回は、けんた先生が相談にいらっしゃいました。
けんた先生
クラスのEさんが2学期から通級による指導を受けることになり、週1回教室を離れます。クラスの子どもたちにはどう話したらよいでしょうか。また、Eさんにはどんな対応が必要でしょうか。
裕子先生からのアドバイス
特別支援教育が推進され、一人一人のニーズに対応した教育的支援が求められようになりました。これに伴って、特に通常の学級に在籍する児童生徒の中から通級による指導を希望するケースが右肩上がりに増加しています。以前と比べて通級による指導を受けようとするハードルが下がってきています。…と言っても、Eさんがつらい思いをしないように、クラスの子どもたちへの指導を適切に行うことが大切ですね。
通級による指導とは
その障害の状態に応じて、週1〜8時間の範囲において特別の指導を行う教育形態です。
言語障害者、難聴者、自閉症者、学習障害者、情緒障害者、注意欠陥多動性障害、弱視者、その他が対象となります。
クラスの子どもたちに向けてはこんな指導を
E君が通級することへの説明について
「E君は毎週○曜日には、E君にあった勉強を他の学校(校内の△△教室)に行って、することになりました。みんながクラスでがんばるように、E君もがんばって勉強してきます。E君がクラスに戻ってきたときに、わからないことがあったらみなさん教えてあげてくださいね。」と、ごく自然に話すことがよいでしょう。
学年によってもその対応は異なります。低学年では、上のような言い方をすると、子どもたちには理解しやすいようです。なぜ行くのかと言ったことには触れる必要はありません。高学年の場合は、何も言わないという場合も多いようです。高学年になると、説明がなくても理解することができるからです。
通級を利用するお子さんや保護者によっては「絶対クラスの子には言わないで!」ということもあります。必ず、E君と保護者の方には、クラスのみんなに話すかどうか了解をとっておきましょう。
保護者会等で、他の保護者の方に理解が得られるようにお話をする場合もあります。いずれも、感じ方はいろいろなため、ケースバイケースで対応を考えていく必要があります。
さらに学級経営として、こんな工夫も
通級による指導を受けに行くE君が、クラスに戻って、少しでもスムーズに生活や勉強ができるようになって初めて、通級による指導の目標が達成されたといえます。そのためにも教室では、E君を含めた特別な支援を要する子どもたちにもわかりやすく、楽しい授業を用意することが大切です。こうした授業は、他の子どもたちにもわかりやすく、楽しい授業となります。
E君に対してこんな配慮を考えましょう
担任はE君に対して特別扱いすることなく、自然に対応することが大切です。また、通級による指導を行う担当者とよく連携を取り、E君がクラスに戻って来たときに、居心地のよい教室環境を整えておくことが必要です。E君の少しの変化をとらえて、認め、ほめるなどE君が自己有用感をもてるようにする配慮があるとよいでしょう。
また、クラスの授業を抜けて別の授業を受けるのですから、戻って来たときにクラスの授業に困ることがないように、本人や家庭への連絡を忘れないようにしましょう。担任はうっかりと思っていても、本人は「先生に自分の存在を忘れられた」と受け取ることもあります。心配りが大切です。
一人一人の必要に応じた教育が当たり前に受けられる時代に入ってきています。共生社会を目指して、小さい頃から障害があってもなくても、自然にかかわれる人間関係づくりを大切にしていきましょう。
けんた先生
なるほど…「自然にかかわれる人間関係」ですね。
共生社会におけるクラスづくりの鉄則!
- 通級に行くことについてクラス等で話題にするときは、必ず本人や保護者の方の了解を取りましょう。
- クラスでは日頃から、障害のあるなしに関わらず、友だちとして関われる温かい学級風土をつくりましょう。
- 通級に行っている子どもに対しては、通級から戻って来たときに居心地のよい教室環境を整えましょう。
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