- 著者インタビュー
- 国語
ことばは本来、面白いものです。知れば知るほど子どもの知的な好奇心を呼び起こすことになるのです。本書の学習を通してことばに関心を抱くようになれば、そのことが、本格的な国語学習への意欲づけになるわけです。
近年出版されている日本語の図書には、「恥をかかない」「間違いやすい」などと人の弱点を強調する書名が目立ちます。それは間違っています。ことばには、こういう面白い問題があるんだよという具体例を示すことよって知的な好奇心を高めたいものです。
愛知県豊田市の国語研究のグループが各自の教室の体験を出し合うことで、こういう具体的に活用できる内容に作り上げることができました。本書は共同作業でしか得られない成果だといえそうです。
「ことばの乱れ」という判断は、むずかしい問題です。地域差の問題があります。年齢差、性差などの問題もあります。程度副詞のように10年、20年で変化するものもあります。例えば「ら抜きことば」は、共通語としては使わないということになっていますが、生活語として普通に使われている地域が少なくありません。
そこで、国語の授業では、ことばの多様性に関心をもたせること、ことばには様々な切り口があることに気付かせることが大切だと思います。同時に読書を進めることによって、豊かな国語表現を体得させることが期待されます。
本書は、それぞれ見開き2ページのワークシートを用意しています。それぞれの課題には、正答だけでなく、学習者の実態や学習目的などについても丁寧に述べています。これを自らの学級にあわせて修正することが大切でしょう。その上で、応用的な活用にまで進んでいただければ、より効果的な指導ができると思っています。
国語の授業は、「小学校指導書 国語編」によって、指導内容も取り組み方も定められています。ところが、「うちの学校は、特に音読に力を入れている、総合的な学習の時間も使って校舎にあふれる音読を活発に指導したい」などと、授業を私物化している学校があるようです。
本来の国語力は、本書で取り上げている各種の言語事項的な能力を基盤にすえる必要があります。文化審議会は、平成16年2月に、ことばについての知識や情報を基盤として育てる、その上部に4領域の言語活動を掲げる、それらの活動の中心に「考える」「想像する」行為をおくという国語力の構造図を答申しています。
本書は、その基盤作りに役立つだけでなく、4領域の活動の中核で働く「考える」素材を提供していると自負しております。