- 著者インタビュー
- 評価・指導要録
児童指導要録は、児童の長所にアクセル、短所にブレーキをかけるように、児童一人一人を年間にわたって評価していくことをねらいとしています。従来から言われている「生きる力」を一層身に付けるべく、今の状況をきめ細かく観察し、総合的な評価をしなければなりません。特に、基礎的・基本的な学習内容の確実な習得を基盤として、思考力・判断力・表現力の育成の評価に注目する必要があります。
本書は、単なるマニュアル、単なる解説本とは違い、各項目ごと、法的な意義とともに、記入のポイントと具体例を豊富に紹介しています。各教科の観点別評価においては、学習指導要領で示された指導事項をどのように考えて評価に結びつけていくか等までを記載しており、総合的な学習の時間、総合所見では、モデル例を満載しています。何よりも、根拠に基づいて整理されていますので、若手教員の皆さんにも分かりやすく理解していただけると思います。
指導要録は、一年間の児童の活動の記録を掲載したものです。その意味でも、次のようなこを意識しておくとよいでしょう。
@児童の活動の記録を継続的に書き留めておく習慣をつけておくこと
A各教科等の観点別評価につなげるために、学期ごとの評価を総じて記載すること
B児童にとって顕著な事例を必ず記録すること
学級担任として、毎日の学校生活の過ごし方、人間関係、学び方等を把握するためには、児童理解に徹した運営が欠かせないものになります。そして、人間的に成長したことや学び方の足跡、その時期に直した方がよいことなどにも積極的にかかわることで、児童の姿をみとることができます。学級担任として、子どもたちと継続的にかかわり、肯定的な見方をし、個別尊重の評価を心掛けることで、より確かな評価につなげることができます。
本書は、今回の児童指導要録の改訂に合わせて作成するとともに、日頃の学習状況や生活状況等についても丁寧に記載してあるので、一読するだけで、「早わかりガイド」という書名の通り、日常の教育活動を指導要録にどのように反映させていけばよいかが明確になります。また、指導要録の記入が必要な時期を、一年の流れの中で明記しましたので、年度はじめから、どのような優先順位でどのように進行管理していけば指導要録が的確なものになるかも理解できます。指導要録が単なる書類ではなく、一人一人の子どもたちの成長のために意味のあるものになるよう、本書の活用を図っていただければと思います。