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今、「伝え合う力」の育成が叫ばれていますが、「質問力」はその中核をなす力です。というのも、相手の言葉をよく聴いて、自分の考えと照合し、不明な点や疑問を質し合っていく中ではじめて、伝え合いが深め合いや合意形成につながるからです。
伝え合う力は、相手の話を「受けて返す」力がポイントです。とは言え、その形は文脈によって非常に多様で、何から教えたらよいか分からないという声を聞きます。その点、質問は本質的であって、かつ形や機能を整理しやすい。つまり、教えやすいのです。系統立ててトレーニングすれば誰でも一定の力を身に付けることができます。
質問を大きく、WHAT系(確かめる)、HOW系(詳細を聞き出す)、WHY系(理由を質す)と分類した上で、活動をモデル型(質問文をなぞる)、ドリル型(習得させたい質問を集中的に練習)、活動型(目的を明確にした意味あるタスク)に類型化して掛け合わせることで、バリエーションに富んだワークが開発できました。短時間で楽しんでできるのも大きな特長ですので、朝の時間等で活用してほしいですね。
学ぶ力は結局「問う」力ですから、授業で質問力を心がけることは、子どもたちの主体的に学ぶ姿勢を作る上で大変有効です。具体的には、さまざまな言語活動(読解をめぐる話し合いなど)がぐんと充実するはずです。指導者に求められるのは、多様な意見が出る(色々な人の考えを聴・訊いてみたくなる)、考え甲斐のある学習課題をいかに開発するかです。よく練られた課題は、話し合う力だけでなく思考力をも伸ばすのです。
「ジャングルブック」の著者、キプリングは、「私は人生の全てを次の6人の友人、すなわち、What、Why、When、How、そして、Where、Whoから教わった」と言っています。目的に応じ、状況に合わせて的確に質問する力を身に付ければ、豊かな人生を送る上で大切な知識や考え方のほとんどは得られるものだというのです。全ての子どもに、これら6人の賢者に出会わせてほしいと願っています。