著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
新しい国語授業のあり方をめざして
京都教育大学教授森山 卓郎
2011/6/3 掲載
 今回は森山卓郎先生に、新刊『国語授業の新常識「読むこと」<授業モデル&ワークシート>』シリーズ、全3巻について伺いました。

森山 卓郎もりやま たくろう

京都市生まれ。京都教育大学教授(日本語学)。学術博士。国語科教科書編集委員(光村図書)。著書に、『国語教育の新常識−これだけは教えたい国語力−』(編著)『「言葉」から考える読解力−理論&かんたんワーク−』などがある。

―今回の書籍は前著『国語教育の新常識』(2010年発刊、8刷)の授業理論をもとに低・中・高学年の各単元における授業モデルを具体的に提案したシリーズになっていますが、本シリーズのねらいは、ずばりどういった点でしょうか。

 全体の企画と進行は私が務めさせて頂いていますが、中学年は樺山敏郎先生、低学年は達富洋二先生がそれぞれ代表編著者となって下さっています(高学年は私が担当しています)。それぞれの学年に合わせ、担当者の持ち味が活きています。水戸部先生のご論考もいただいています。まさに方向付け、教材研究、実践案が三位一体となった本を目指しました。

―本書のテーマでもあり、国語科で特に重視されることの一つに「言語活動の充実」があります。「読むこと」の学習において、主体的に思考し、表現し、交流し合う授業を構想するポイントはどういったものでしょうか。

 「言語活動」では、子ども達の主体的活動、つけるべき力の焦点化、という二点が特に重要だと思います。あくまで学び手の「学び」「力」が中心です。それにはつけるべき力をより根源的に明確化させること、その力をどのような言語活動を通した学びの中で定着・向上させていくかを構想することが大切です。本書をその方向付け、教材研究、実践案として役立てていただければと思います。

―さらに、「授業で使える実物ワークシート」として、その授業で使った実物ワークシートも掲載されています。その使い方や活用ポイントを教えて下さい。

 ワークシートは学習の道案内としての大切な要素です。指導上の参考にもしていただけます。そのまま拡大コピーをして使って頂ければと思います。適宜ホワイトで消したりしながらオリジナルなものに調整していただくとさらにいいかと思います。紙幅の都合で十分な量ではないところが心苦しいのですが、いろいろと工夫・拡充していただけましたら幸いです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 国語の学習のなかにも「不易と流行」があります。まさに「流行」の部分がこの「言語活動の充実」と受け取られがちです。しかし、これまでにも先生方のご実践の中にこうした言語活動が数多くなされてきています。確かに国語教育は転換期を迎えていますが、表面的な形だけではなく、子ども達の力をどう伸ばすかをしっかり考えた新しい授業の形が必要です。それには「流行」の表面的なところだけでなく「不易」の部分も考えていかねばと思います。今後も現場の先生方と連携してがんばりたいと思います。ご提案ご意見などぜひお願いします。

(構成:及川)
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