- 著者インタビュー
- 保健・体育
小学校の教員は全教科教えますよね。どの教科を専門として学んでいるのかは人それぞれです。全国には非常に熱心に体育授業を学んでいる先生方も多いです。でも、全体から見ればほんの一握りだと思います。全国の子どもたちのために、他の教科を専門に学んでいる大多数の先生方にもよい体育授業をしてほしいと願っています。そのためには、準備や内容がシンプルで子どもが伸びを実感できる体育授業を提案する必要があると考えました。
体育授業では、発表させたり学習カードなどに記述させたりといったことではなく、運動ができるようになる過程での言語活動を充実させたいです。運動ができるようになるには、運動のイメージやリズムを頭の中だけではなく、言葉として表現することが有効です。例えばオノマトペを使ってリズミカルに声をかけ合うのも1つの方法でしょう。教師が積極的に使うことで子どもも使うようになります。
体育を学んでいる先生方の中ではそのように言う方も多いように思います。「体育=人間形成」というような単純なものではないと思いますが、良くも悪くもそういった一面も少しはあるのかなと思っています。私の目指す体育授業はそんなに大仰ではなく、子どもたちが仲間と声をかけあったり補助をしあったりしながら笑顔で運動を楽しむことで、個も集団も伸びていく授業です。
筑波大学の岡出美則先生を中心に、有森裕子さんのNPO法人ハート・オブ・ゴールドのカンボジア王国小学校体育科振興作成支援事業(JICA草の根技術協力事業)をお手伝いさせていただいてきました。現地へ赴き、指導者を育てるために話をしたり子どもたちに授業をして見せたりしました。今年でそれも一区切りのため、輪を広げ継続的に支援ができればと思い、本書の印税の一部を寄付することにしました。購入していただくことで一緒にカンボジアの子どもたちを支援していただけますと幸いです。
基本的に小学校の先生は、みんな頑張っていると思います。全教科教えながら、それぞれ専門を持って子どもたちのために学んでいます。是非、まわりの先生に学んだ情報を伝えていって欲しいと思います。大事なのは、専門としない先生へ伝えるときはシンプルにすることです。シンプルにしていいものを広げ、子どもたちの笑顔が増えればうれしいですね。