著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
どの子もできた!ユニバーサルデザインのワーク教材
奈良県平群町立平群東小学校(ことばの教室)教諭村井 敏宏
2010/12/10 掲載
 今回は村井先生に、新刊『通常の学級でやさしい学び支援2 読み書きが苦手な子どもへの<つまずき>支援ワーク』について伺いました。

村井 敏宏むらい としひろ

奈良県平群町立平群東小学校(ことばの教室)教諭
S.E.N.S(特別支援教育士)スーパーバイザー、言語聴覚士、日本LD学会会員、日本INREAL研究会事務局

―本書は、村井先生のことばの教室での実践研究をベースに作られ、通常の学級で効果をあげている教材を掲載していますが、具体的にどのような効果があったのでしょうか?

 ことばの教室で作成し指導効果が上がると感じた教材を、通常の学級での日常の指導にも使ってもらえるよう提供していっています。
 読み書きの基礎スキルをつけるためのワーク教材を日常的にやっていくことで、クラス全体の読み書きのスキルアップができます。また、その中でつまずきのある子どもに早く気づくことができます。さらに、つまずきを見つけた子どもの補充指導にも使っていくことができます。

―通常の学級にも読み書きの苦手な子どもが在籍しているといわれていることから、本書にはクラスの読み書きの実態を調べ、子どもが抱えるつまずきに気づくための「ひらがな単語聴写テスト」を収録していますが、このテストはどのようなものなのでしょうか?

 このテストは、今まで1年生の段階で読み書きのつまずきを調べるためのテストがなかったために、自ら考案したテストです。通常の学級で一斉に、短時間で実施できるように考えました。
 かなの学習でつまずきやすい「特殊音節」に注目し、その誤りの数から読み書きの力を見ていきます。そのために、1年生から6年生各学年の平均誤答数と標準偏差も載せています。また、特殊音節の誤りの特徴から子どもの背景にある特性についても考えることができます。

―本書発刊前に1巻『読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク』も発刊されていますが、1・2巻それぞれどのように使っていただくのがよいでしょうか?

 1巻・2巻は連続したトレーニングワークになっています。
 1巻の「わくわくプリント」は1年生の1・2学期に使ってもらうのが効果的です。年長・5歳児の後半からでも使用可能です。それに続くものが2巻の「すくすくプリント」になっています。
 後半の漢字ワークは、1巻の「うきうきプリント」が1・2年生の漢字ワーク、2巻の「うきうきプリント2」は2・3年生の漢字ワークになっています。

―本書は「通常の学級でやさしい学び支援」の2巻ということですが、本シリーズにこめられた思いと3巻以後の刊行予定を教えてください。

 特別支援教育は通常の学級で日常的に行われる、どの子にも優しいユニバーサルデザインの教育であるべきだと考えています。本シリーズのワークプリントは、学級で日常的に使用してもらえるようコピーフリーにしています。
 3巻・4巻では「毎日、手軽に使える教材プリントがほしい。」というご要望にお応えして、各学年の新出漢字を網羅した漢字ワークを予定しています。また、算数の「数と計算・文章題」のワークプリント集も計画中です。

―最後に特別支援教育に取り組まれる、全国の先生方へメッセージをお願いします。

 学校現場では、日々の学習指導や生徒指導に追われながら特別支援教育に熱心に取り組んでおられる先生方を多く見かけます。そんな先生方にエールを送るとともに、本シリーズが少しでも実践のお役に立てればと思っています。
 ともに頑張っていきましょう!

(構成:佐藤)

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