著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
日記指導を通して、学級集団を育てよう
玉川大学客員教授竹田 文夫
2013/1/25 掲載
 今回は竹田文夫先生に、新刊『子どもの鉛筆が止まらない! 学級づくりの核になる日記指導の極意』について伺いました。

竹田 文夫たけだ ふみお

1951年生まれ。玉川大学客員教授。
川崎市内の公立小学校で、22年間学級担任として国語教育を柱にした教育実践に力を入れる。その後、教頭、校長を務める。川崎市教育委員会指導主事、同指導課主幹、同指導課長、川崎市総合教育センター主任研修員、同カリキュラムセンター室長、同センター所長を経て現職。教育委員会発行冊子等に授業づくりに関した論考を多数執筆。主な研究に『言語獲得の特性を生かした効果的な語彙指導のあり方』(川崎市総合教育センター研究紀要)。

―本書で紹介されている日記指導には、どのような特徴があるのでしょうか。

 本書では、入学したばかりのころの日記から小学校6年間のしめくくりとなる総合的な学習での日記まで、子どもの発達段階に応じて30の指導実例を紹介しています。通して読んでいただければ、子どもの文章表現力がどのように身に付いていくかが手にとるように理解できるとともに、6年間の子どもの成長がいかに大きいものであるかを実感していただけると思います。そして、発達段階に応じた文章表現力を豊かにするための工夫や指導のポイントが浮き彫りになってくるはずです。

―本書で紹介されている、日記指導と学級通信発行の連動には、どのような効果が期待できるのでしょうか。

 私は、「子どもの意欲が伝わる日記」「学級の課題を考える糸口になる日記」「文章表現指導に生かせる日記」をすぐに学級通信に取り上げ、みんなで読み合うようにしてきました。それが励みになって、進んで日記を書く子どもが増えました。また、このように日記で交流を深めることは、意欲的な学級集団づくりにつながり、保護者の子ども理解も深まります。そして最も大きいのは、子どもの実態に即した文章表現力の指導を、年間を通して継続的に進めることができるということです。

―日記をなかなか書くことができない子どもには、どのような働きかけをしたらよいでしょうか。

 日記をなかなか書けない一番の理由は、何を書いてよいのかわからないということだと思います。ですから、「何でもいいですよ」では指導になりません。だれにでも取り組める具体的な題材を与えたり、場合によっては白紙のままでも出してよいことにするなど、一律性急に日記を書くことを求めないで、ゆったり構えることです。そして、たとえ拙い日記でも、子ども自身が「書いてよかった」と感じられるようにすることが何よりも大事です。

―日記指導を継続するためのポイントの一つとして、本書には「必ず教師からの返事を添える」とありますが、子どもの日記に返事を添える際に心がけるとよいことを教えてください。

 多くの子どもは、先生の返事が楽しみで日記を書いてきます。ですから、日記指導成功のカギは、先生の返事にかかっているとさえ言えます。しかし、多忙な毎日ですから、無理なく短時間で返事を添えられるようにしたいところです。そのためには、「子どもと一緒に楽しむ気持ちで短い言葉で書く」「書かれた内容について触れるようにして、表現上の間違いなどは取り上げない」「日記中の共感した子どもの言葉をそのまま繰り返して返事に使う」といったことがコツになります。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 多忙を極める毎日の中で、それでも子どもの日記指導を続けられたのはなぜかと考えると、日記を通して子どもの豊かな感性に触れられたことが教師としての私の喜びであり、生きがいであったからだと思います。レイチェル・カーソンは、「感じるということが、知ることよりずっとずっと大切なものだ」と言っています。本書の30の実例を通して、子どもたちの温かな心や豊かな感性に触れ、ぜひ日記指導に挑戦していただければと思います。

(構成:矢口)
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 教師を目指す学生です
    • 2013/2/10 9:07:09
    正直感動しました!
    指導書としてもとてもわかりやすく、指導者以外の人が読んでも為になると思いました。具体的な指導方法が書かれているので、実践しやすくとても為になると思いました。
    • 2
    • ミクロ
    • 2013/2/13 19:08:11
      ちょっとしたきっかけでこの本を手にしました。
     私自身、教職にいる訳でもないのですが、指導書というより、子供を持つ親として
     とても感動しました。
      世の中の先生が、みんな、こんなすばらしい感性で子供をみてくれていたら、
     いじめをする子供などできる訳がない…と思ってしまいました。
     一人でも多くの教師、そして、教師を目指す人に読んでもらいたいと思います。

      

     読んでいて心が暖かくなりました。
     世の中にこんな先生がたくさんいたらいじめもなく、
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