著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級づくりの成功の極意はチームづくりにあり!
目標設定とリーダーシップの変換が学級を変える
上越教育大学教職大学院准教授赤坂 真二
2013/1/24 掲載
 今回は赤坂真二先生に、新刊『スペシャリスト直伝! 学級を最高のチームにする極意』について伺いました。

赤坂 真二あかさか しんじ

1965年、新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院准教授。学校心理士。「現場の教師を元気にしたい」と願い教師仲間と全国「学級づくり改革」セミナーを立ち上げ、年間数十回の講演を実施して全国行脚。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。そのユニークな取り組みは、NHK新潟「きらっと新潟」(2007年3月)で特集が組まれたほどである。2008年4月から、より多くの子どもたちがやる気と元気を持てるようにと、情熱と意欲あふれる教員を育てるために現職に就任する。主な著書に『「気になる子」のいるクラスがまとまる方法!』(学陽書房)、『担任がしなければならない学級づくりの仕事12か月 小学校高学年』(明治図書) 、『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』 (明治図書)などがある。

―本書は、『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』の続編ですが、「最高のチームづくり」をテーマにされています。群れ状態にある子どもをチームにしていくために、まず大切なことは何でしょうか。

 チームづくりの仕事の最初はまず、「ズバリ」言って、子どもと信頼関係をつくることです。信頼できない監督の下で、チームプレーをする気になるでしょうか。プロスポーツの監督はその実績や手腕が信頼をつくる手助けをしています。その人の言動に説得力を持たせているのです。だから、まず教師は子どもをチームとしてまとめる前に、一人ひとりと確たる信頼関係をつくることが必要なのです。

―U章では、「学級づくりのストーリーを描く」として学級をチーム化する4段階のステップについて述べられています。本書に詳しく述べられていますが、この成長段階について教えて下さい。

 縦軸に教師の指導性、横軸に子どもの自由度でチームの発達段階を説明しています。
 第1段階 緊張期:教師の指導性も子どもの自由度も低い状態
 第2段階 教師の指導性優位期:教師の指導性が高く、子どもの自由度が低い状態
 第3段階 子どもの自由度優位期:教師の指導性も子どもの自由度も高い状態
 第4段階 自治的集団期:教師の指導性が低く、子どもの自由度が高い状態
 子どもの成長を待つのではありません。意図的に教師がリーダーシップを変換することでチームを育てるのです。

―V章では、「教師指導優位体制をつくる」として、スタートの3日間、学級開きの重要性について述べられています。この時期に優先すべきこと、大切なことはどういったものでしょうか。

 ルールをつくることなどがよく言われるところですが、今は、子どもの安心感を優先させることです。子どもと楽しいおしゃべりをしたり、軽くゲームをしたりしてあたたかく楽しい雰囲気をまずつくることが最優先です。それを抜きにいきなりルールづくりをしても、そのルールは承認されにくいだろうし、教室を堅い雰囲気にしてしまいます。

―W章では、「教師指導優位期における授業づくり」として、学級をチーム化するリーダーになる準備として、一斉指導を成り立たせることの大切さをあげられています。とかく授業づくりでは子どもの意欲・やる気を引き出す難しさが取り上げられますが、そのポイントについて教えて下さい。

 いくつかありますが、最も大事なことは、学習の意味づけと問題解決の道筋をきちんと示すことです。この学習をやることの意義やメリットを示したり、単元を通した大きな課題を示すことです。また、どうやったらその課題を解決することができるのかを示すことです。どんなに意味のある学習課題でも解決方法がわからなくてはやる気になりません。また、どんなに簡単な学習課題でもやる意味が認識できなかったらやはりやる気になはなりません。

―X章では、「子どもの自由度を高める」として、力をあわせる意味、協力する雰囲気づくりについて述べられています。子ども同士のコミュニケーションを深める工夫にはどういったものがあるでしょうか。

 ゲーム、エクササイズ、アクティビティなど、様々な子ども同士がふれあったり協力したりする活動が多数開発されていますが、要は子ども同士のコミュニケーションの量を確保し、質を上げるようにします。良質なコミュニケーションを豊富にくぐらせます。道徳や特別活動の時間だけでは足りません。教科指導の時間におしゃべり感覚で問題を解決する時間を設定します。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 ある先生は学級状態が大変で毎日毎日通勤するのが辛かったそうです。しかし、心機一転、学級づくりを学び、学級づくりに積極的に取り組んでみると、学級がまとまり学校に行くのが楽しくてたまらなくなったと言います。学級づくりという営みはなかなかその原理や原則が明らかにされずに、成長論もきちんと議論されてきませんでした。しかし、学級づくりにも考え方と方法論があり、学ぶことができます。本書は、学級づくりをチームとして成長させる考え方と方法論を示しました。多くの先生方と子どもの笑顔につながることを願っています。

(構成:及川)

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