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例えば、スポーツチームの戦力が攻撃力、守備力、選手層、協調体制などの様々な面から分析されるように、子どもの学習状況も観点ごとに分けて評価するのが有効です。新たに設定された「思考・判断・表現」など四観点の意味を十分に理解し、それぞれの力を、評価と一体でバランスよく育てていくことが求められます。
「思考・判断・表現」の力は、数量的な方法では測定しにくいものですよね。大切なのは、子どもがその学習のねらいを実現したときの状態を具体的に想定して言葉で表し(=評価規準)、それを目安に、教師が子ども一人ずつの学習状況を、自信と責任をもって見て取ることです。客観性よりも妥当性、そして信頼性こそが重要なのです。
ワークシートを個別知識の記入と暗記のためだけに使うのは、実にもったいないことです。ワークシートは、@「知識・理解」以外の捉えにくそうな観点の学習状況を、Aどの子も機会均等に、B具体的な文言記述を通して、C職員室でじっくりと評価できる“優れもの”なのです。評価の回数を欲張り過ぎず、本当に評価したい大切な箇所に焦点化することが重要でしょう。
ペーパーテストは子どもの学習状況の全てを表すものではありませんが、やはり有効な評価方法の一つです。本書の「作問例」が、四観点を幅広くみようとしていることに注目してください。多様な力が育つワークシート学習の成果が、あらためて示される場なのです。本書の作問例を“例”として、一層意義あるペーパーテストが開発されることを期待しています。
何事につけても、次なる成長を迎えるためには、現状に対する適切な評価が不可欠です。子どもたちの学力を本当に伸ばしたいと願うならば、指導と同じだけ評価の充実に力を注ぐことです。一見難しそうな思考や技能の評価も、ワークシートの工夫やその年間計画への適切な位置付けなどによって、無理なく有効に行っていけるはずです。