- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
実社会は一人でやれる仕事はほとんどないのが現実です。しかし、多くの教室で展開される一斉指導は、教師の意図にかかわらず「人に頼ってはいけない」「人と協力してはいけない」ということを教えてしまうのです。学習した利益は最終的には、個人が受け取るべきです。しかし、その過程では他者と協力しながら学習課題を解決することで一斉指導では学べない学力を身に付けることができるのです。
よく言われるのが次の2つです。@学業の達成がよくなる。A人間関係がよくなる。一斉指導に比べて学習にかかわっている時間が長くなりますから成績がよくなります。また、協力して学習課題を解きますから協力的な人間関係がつくられます。そして、もう一つあります。B自尊感情が高まります。人は、良好な関係性の中で達成を実現することで自分を認めていけるようになります。
ただ交流させることが協同になりません。協同する意味、つまり価値を伝え、なぜ協同するのかをしっかり教えます。協同することの大切さを伝えながら、実際に協同する場面が一単位時間に数分だったら、上記で指摘した@〜Bを十分に学ぶことは難しいでしょう。従って協同するための場を設定します。各執筆者がそこのところの具体例を述べています。
形骸化のリスクを軽減するには、やはり、集団づくりが必要になってきます。教師と子どもの信頼関係や子ども同士の信頼関係にかかわる部分です。ですから、協同学習を単独でやるのでなく、『THE チームビルディング』に示したような、学級のチーム化を同時進行で行うのです。チームビルディングと協同学習は、ときには相補的にときには相乗作用をもららしながら、学級集団を課題解決集団に育てていくことでしょう。
協同学習で、協力しながら成果を挙げること、そして、仲間を支援しながら達成することを学んだ子どもたち、すてきだと思いませんか。自分の同僚にそういう人がいてほしいと思いませんか。そんな人たちに増えてほしいと思いませんか。協同学習は単なる学力を上げるための方途ではなく、よりよい市民育成のために実に有効な、考え方と技術なのです。