- 著者インタビュー
- 特別支援教育
前著2冊と同じところは、通常の学級で「無理なくできる」取り組みであることです。異なっているところは、本書はいじめに焦点を当てたところです。
通常のカリキュラムの中に、新しい取り組みを入れることは時間的に厳しいことでしょう。ただ、私は毎年いじめの取り組みを、必ず授業の中に取り入れていました。私がいじめへの取り組みを大切にしていたのは、子どもたちが学級で居心地がよく、安全に過ごすためには、担任が率先していじめを防がなくてはならないと考えていたからです。また、いじめが起こると、発達障害のある子どもが被害者になる可能性が高く、場合によっては加害者になることもあります。だから、いじめの学習は最優先課題でした。
子どもたちは、いじめがいけないことは百も承知です。それでもいじめてしまうのはなぜでしょうか。担任がアンテナを高く立てて、加害者の子どもの気持ちを汲み取ることも大切です。
大学生になぜいじめるのかというアンケートを取ったところ、「嫌いだから」「妬み」「ストレス発散」「やつあたり」「自分がいじめられないためにする」などの意見が出ました。
担任教師は「いじめは絶対に許さない」と宣言した上で、居心地のよいクラスにすること、子どもたちを公平に扱うこと、加害者を悪者と決めつけないこと、そして何より信頼・尊敬される教師になることが大切です。
本書の中では、いじめ撲滅のために1年間どのような手順で取り組むか、また「いやし隊」「いじめのスモールステップ」などの取り組みを紹介しています。
サンパチ先生は、発達障害当事者であり、先生であり、特別支援教育士であり…、と多面的な視点をおもちです。そしてまさに、サンパチ先生は子どもの頃、友だちをいじめたご経験もいじめられたご経験もおもちだそうです。
子どもの頃のいじめ体験で辛かったこと、また先生の対応で傷ついたこと、そしてさらに発達障害の子どもにとってどのような環境が過ごしやすいのかについて、本書では多面的な視点からお書きくださっています。
保護者や教師にとって、いじめ当事者の気持ちを理解するのに役に立つことと思います。
担任教師にとって、いじめの被害者の子どもも、加害者の子どもも、どちらも「自分の大切なクラスの子ども」です。被害者を守ると同時に、加害者の子どもの気持ちも理解して接することが大切です。ストレスが原因なのか、妬みなのか、家庭環境の変化なのか、原因を探って対処を考える必要があります。クラスで楽しい行事に取り組む、ほめる声かけを増やす、保護者と連携するなど、アプローチは様々です。
頭ごなしに「いじめはやめろ!」と言っても、なかなかそれだけでは解決しません。本書では、実践事例として「いじめへの闘い方」も紹介しました。いろいろなケースがありますので、どうぞ参考になさって下さい。
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