- 著者インタビュー
- 学級経営
私自身、教員として「不登校」と「学級崩壊」を、実際に経験したことですね。
30代のとき、不登校対策教員として勤務していたころ、子どもながら「子はかすがい」とでもいうように、両親に心配をかけないように健気に振る舞い登校していた子どもが、離婚が決まったことで不登校になったことがありました。その時、「子どもは、不安になると頑張れなくなるんだなあ」と胸が痛くなりました。
その後、崩壊したクラスを担当することにもなったのですが、不登校担当の経験もあってか、不満を感じるよりも、「土台が不安定なので、頑張れないのだろう」と、子どもの心に共感することができました。つまり、行動の「荒れ」は心の「揺れ」なんです。
私が心がけているのは、自分のやり方、昔取った杵柄を押し付けないようにすることです。
先生の常識は正義です。そして、先生はそれを守って当然、できて当たり前と思っています。でも、それができないから子どもは困っているのです。それが、ゆくゆくはクラスの荒れや不登校につながっていきます。
そこで、私は、まずは子どもたちの今のやり方に任せます。そして、子どもたちが困ったら、そこで「提案」するようにしました。
ただし、先生への信頼感がないと、そうした提案も子どもの耳には入りません。そこで、子どもたちに、登校する「楽しみ」を提供することもしました。楽しみのキーワードは「簡単・継続・成果が見える」。その取り組みの一つが、カルタとリレーです。
やんちゃな子ども、基本的な生活習慣が身についていない子どもは、不登校にならないですね。多分、日頃、自分らしさを発揮しているからでしょう。
反対に、良い子ほど不登校になる傾向があります。先生は、良い子をあてにするところがあるので、子どもの方も先生の期待に応えようとがんばります。さらに、友だちもそういう目で見るので、羽目を外すことができなくなります。その反動がどこかで来てしまうんですね。やはり、あまり我慢し過ぎずに、子どもは子どもらしく振る舞うのが一番だと感じます。
「解決しようと思わない」ことです。解決しようと思うと、先生の正義を子どもに押し付けることになります。「言うことを聞かせよう」と思います。
一番わかりやすい例が「謝りなさい」です。叱られることが多い子どもほど、謝り方だけはうまくなります。でも、それだと、結局同じことが繰り返されます。
子どもは、実は話を聞いてもらえるだけでも、満足するものです。「そうか、大変だね」「それは嫌だよね。先生もそう思う」と「○○ちゃんだけの先生」になって話を聞くと、子どもは安心して自分の席に戻っていきます。そうした積み重ねが子どもに安心感を持たせ、クラスにも安定した状態をもたらすのではないでしょうか。
わがまま・自分勝手・協調性が無い大人を、「『子どもみたいな大人』だね」と言いますよね。どうしてそんな大人なるのか。それは、子ども時代に「子どもみたい」なことを卒業していないからです。
ですから、先生は十分に「子どもらしさ」を発揮させてあげてください。「子どもらしさを出していいんだ」と思うことで、子どもは安心感を持つことができます。
もちろん、それを受け止めるのは大変ではあります(笑)。本書では、そんな子どもの思いを、どのように具体的に受け止めていくか、そして学校生活やクラスにおいて、いかに「安心感」を持ってもらうかについての具体的な方法を書きました。
クラスみんなが、安心感をもって活動できる。本書がそうしたお役に立てれば非常に嬉しいです。