著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
英語力を伸ばす音読指導の秘密とは?
立命館小学校教諭正頭 英和
2015/8/28 掲載

正頭 英和しょうとう ひでかず

立命館小学校教諭。1983年、大阪府生まれ。関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。京都市公立中学校、立命館中学校高等学校を経て現職。教師歴9年目。小学校から高校までのすべての校種で授業と担任の経験をもち、その経験を活かした学級づくりや授業方法のワークショップなども行っている。主な著作に、『英語授業の心・技・愛〜小・中・高・大で変わらないこと〜』(研究社)、『言語活動が充実する おもしろ授業デザイン集』(学事出版)。

―なぜ、英語授業で音読を大切にされていらっしゃるのですか?

 「効果的」だからです。(1)英語力の伸長、(2)人間関係の構築、という2つの側面からそう言えると考えています。もちろん、音読だけが唯一絶対の方法ではありませんが、私が授業で音読を行う理由は、上記の2つの側面の力を伸ばす活動として、費用対効果が優れているからです。また、教室が活気づく、生徒が寝ない、などなど、オススメポイントがたくさんあります。

―音読方法の「5つの分類」について、教えてください。

 本書では、次の5つに音読を分類しました。

音声チェック型
意味思考型
英文暗唱型
文法確認型
空気温め型

 まず、音読を分類したことに意味があると思っています。私は、「音読」をただのスピーキング活動として位置づけているだけでは、もったいないと考えています。どんな活動でもそうですが、「ねらい」「めあて」というものが大切です。しかし、音読の場合はあまりそういったことを考えないままに授業の中に取り入れられているような気がします。音読にも「ねらい」があります。それがこの5つの分類だということです。

―本書に掲載されている指導アイデアはどれもイチオシ!かと思うのですが、中でも正頭先生が、読者の先生方に特にやってみていただきたいアイデアはありますか。

 「オススメ」という意味ではありませんが、本書内の「音声チェック型」の音読は大切にしたい活動です。これはすべての音読の基礎になるものと考えています。間違えた音のまま何回も音読をさせるのは、生徒が本当にかわいそうです。また「チェック」というのは、教師がいないとできない活動です。つまり、「学校でやることの意味がある」活動ということです。徹底したティーチングが、いろんな活動に発展していくと考えています。

―読者の先生がオリジナルの音読指導アイデアを考える際には、正頭先生が本書でおっしゃっている“音読指導を成功に導く「8の原則」”以外に、どんなことに気を付けたらよいでしょうか?

 新しいアイデアは、実は身近にたくさんあります。例えば、国語科の先生の音読指導方法などからも学べることはたくさんあります。しかし、「国語科の音読のねらい」と「英語科の音読のねらい」は決定的に違い、そこを押さえるために本書は大変役立つと思います。また、小学校の国語の授業では、たくさんの音読が行われています。その辺りを担任の先生方と連携(ねらい、方法などの確認)しておくと、子どもたちにも負荷が少ない音読も可能になるはずです。

―2学期からの授業を工夫したいと考えていらっしゃる読者の先生方に向けて、メッセージをお願いいたします。

 行事が多くなり、中だるみしてくる生徒が多くなる2学期。3学期に飛躍的に生徒を伸ばすためには、この2学期をサボらせないことが大切です。高くジャンプするために、ちょうどかがんでいるような状態―それが2学期です。しかし、「サボるな!」だけでは生徒はついてきません。授業の中にちょっとした変化を入れてあげることも大切です。「力がついて、楽しい!」そんな授業をしていただくために、本書をご活用いただければ幸いです。

(構成:林)
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