著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
主体的・対話的で深い学びのある4技能統合型の英語授業をしよう!
東京都立白鴎高等学校主任教諭小林 翔
2017/4/11 掲載

小林 翔こばやし しょう

東京都立白鴎高等学校主任教諭。1983年大阪府生まれ。関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。東京都立千早高等学校を経て現職。専門は英語授業実践学。大学院時代は,On the Orders of Presenting Keywords to Improve Students’Ability of Listening について研究する一方,『英語発音の達人ワークアウト:Englishあいうえお』に出演。千早高等学校では,SELHi(Super English Language High School)研究事業に従事。東京教師道場外国語高等学校部員,教育研究員,研究開発委員を経て,現在は東京教師道場外国語高等学校リーダー,文部科学省委託事業英語教育推進リーダーとして中核となる高等学校の英語担当教員の中央研修や授業・評価の改善のための指導・助言を行っている。その他にも認定講師として教員研修プログラムやセミナーの講師も務めている。

―本書には高校英語の授業づくりのためのアイデアが満載ですが、全体はどのような章で構成されていますか?どのように活用してほしいかも合わせてご紹介ください。

 3章構成です。1章は英語授業改善を11ポイント紹介し、教師側の意識の部分に焦点を当てています。2章はその意識をもって授業を成功させるための手立てを11個紹介し、3章では、具体的な実践を50例紹介しています。ウォームアップから自己表現活動まで6つの場面別に活動アイデアをまとめているので、生徒のレベルや先生方の教科書の内容に合わせてどの場面からでも活用していただけると思います。

―本書の3章には「4技能統合型活動アイデア」が掲載されていますが、4技能統合型の授業づくりのポイントはズバリどのような点でしょうか。

 例えば、「聞いたら→話す」「読んだら→書く」のように、どの活動でも4技能を常にリンクさせることです。アウトプットするにはインプットが必要です。興味を惹きつけるインプットの方法と定着させるインテイクのバリエーション、自己肯定感を育むアウトプット活動をスパイラルに繰り返すことで4技能統合型の授業につながります。

―また3章には、実際の授業で使える様々な実践事例が紹介されていますが、クラスでとても盛り上がるなど、特にお勧めしたい実践がありましたら教えてください。

 「スポーツ選手なりきりInterview活動」は、実は中学1年生での実践例です。主体的:自己決定理論に基づき、生徒が自分の好きなスポーツ選手になりきる。対話的:インフォメーションギャップを作り、インタビューを通してたくさんの友達の情報を得る。深い学び:言いたいが言えないことに気づく機会を何度も作り、活動を通して流暢さと正確さの両方を伸ばすことが期待できる活動です。

―本書では、「全員参加型授業の仕掛け」にも焦点を当てていますが、高校での授業を「全員参加型」にするために教師としてはどのようなことに気をつければよいでしょうか?

 「@巻き込む」→「A目標や達成度を可視化」→「B助け合う」この流れは常に意識しています。@は活動方法など教師が説明するより、生徒を教卓の前に呼び、一緒に実演してもらうと全員が見て理解できます。Aはルーブリックを活用して具体的な到達目標を把握させ、活動後には振り返りの場面も作ります。Bは助け合いができる教室の雰囲気づくりです。生徒が言いたいことが英語で言えない場面でも他の生徒が自分なりの考えを教えてくれる安心した空間作りがポイントです。紙面の関係上、詳細は本書でご確認お願いします。

―最後に、全国の高校英語の先生方へ一言お願いいたします。

 この本は私が日々の実践の中から体得した英語指導技術を凝縮しています。優れた実践をしていらっしゃる先生方の指導法にスパイスとして本書をご活用していただければ幸いです。また、主体的・対話的で深い学びにつながる英語授業の実現に本書がヒントになれば、なにより嬉しく思います。

(構成:木山)
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