著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
苦手な生徒も熱中する国語授業をしよう!
愛知県一宮市立萩原小学校教頭伊藤 彰敏
2017/6/22 掲載

伊藤 彰敏いとう あきとし

1958年生まれ。公立中学校教諭、国立大学附属中学校教官、公立中学校教頭、2016年度より一宮市立萩原小学校教頭。

―「国語っておもしろい」と生徒がわくわくする授業にすべく先生は教壇に立ってこられたそうですが、そのために一番大切なことは何でしょうか。

 苦手な生徒の気持ちに思いをはせることです。
 分からない、できない、楽しくないという辛さに共感することから授業改善は始まると思います。国語科という教科を好きだから、あるいは得意だから、国語科教師になったという方がほとんどです。辛い気持ちになったことはあまりないでしょう。だからこそ、辛い気持ちを想像し、丁寧に対応していくことです。

―本書で紹介されている指導技術はアクティブ・ラーニングの授業づくりにも役立つでしょうか。

 大いに役立ちます。
 生徒の思考に寄り添い、「あいうえお」の生まれる授業の実現に近付くことができます。

「ああ」:気付き
「いい」:友達への共感
「うう」:困難さの自覚
「ええ」:疑問
「おお」:感嘆

 こういった言葉を生徒が発する場面が生まれてきます。主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、参考になると思います。

―本書は1章が(授業の)基礎・基本編、2〜5章は3領域+1事項の指導技術となっています。それぞれどのように活用してほしいと思いますか。

 本書をきっかけにして、先生方の深い学びが実現することを願っています。
 技術だけが独立してあるわけではありません。理念あっての技術です。まず、基礎・基本編で、技術がよってきたるところの考え方に触れていただけたらと思います。
 具体的な指導技術については、これらを参考にして、違う教材ではどのように活用できるのかを自ら考え実践していただくのがよいでしょう。教師自身が本書をきっかけとして深く考えることです。

―新学習指導要領が公示され、知識・技能を活用し、思考力・判断力・表現力を身につける授業改善が求められています。今後、教師はどのような意識を持てばいいと先生は思いますか。

 生徒たちをわくわくさせるような授業を目指すことだと思います。
 そのためには、まず教師がわくわくすることです。どうすれば、わくわくするのか。まず、何かしらの手を打つことです。そうすると、生徒はどんな反応をするのか楽しみになります。このわくわく感が新たな授業をつくり出すと思います。
 また、手の打ち方を学ぶには、読書が一番です。本を読むことです。

―最後に全国の中学校で国語を教える先生方に一言お願いいたします。

 「一生の終わりに残るものは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」
 情けないことに、定年退職前になって、やっとこの言葉の重みが分かってきました。
 全国の国語科の先生方、生徒たちに何を与えていますか。これから何を与えていきますか。

(構成:木山)
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