- 著者インタビュー
- 特別支援教育
どの教科も、三つの目標に対して三つの観点で評価する。とても分かりやすく、シンプルな構成になったと思います。
授業で身に付けた「知識・技能」を使って、自分の思いや考えを「思考・判断・表現」しながら、友達と学び合っていく。学んだことを授業中や普段の生活の中で生かそうとする「主体的に学習に取り組む態度」が見られるか。特に、知的障害のある児童生徒には、学んだことを生活にすぐ結び付けられるような授業づくりに心がけ、子どもの反応や変容を評価していくとよいと考えます。
評価の精度をいかに高めていくか。そのすり合わせを、複数の先生方と積み重ねていくことではないでしょうか。特に「主体的に学習に取り組む態度」の評価は難しい。「積極的に」「意欲をもって」「集中して」などの抽象的な言葉を、安易に使いたくなりがちですが、そうではなくて、学びに向かう力が、どんな姿で発揮されるとよいのかを考える。考えて、考えていくと、そういう姿が出てくるように、授業の仕掛けが変わってくる。スポーツの世界でも、審判や行司がジャッジの精度を高めるように、先生方も子どもを見る目をみんなで高めていくことが大事ではないでしょうか。
本書の前身である「特別支援教育 個別の指導計画を生かした通知文例集」(平成22年初版)のバトンを受け継いだからです。個別の指導計画と通知表を連動させる考え方は、この十年間で、多くの学校に受け入れているものと思います。
また、学習評価と指導要録の改善に関する文部科学省通知(平成31年)の中で、個別の指導計画に指導要録の指導に関する記録と共通する記載事項がある場合は、個別の指導計画の写しの添付で指導要録への記入に替えることも可能とされたことも理由の一つです。教員の働き方改革にもつながると考えます。
今回の書籍を作るに当たり、研究会のメンバーと一緒に学習指導要領の解説を読み込みました。小・中学部の「各教科等編」だけでも600ページもありますが、読み込むと実に面白い。中学部2段階の算数は小学校第3学年の内容で、高等部1段階の理科は小学校第5学年の内容であるとかが分かり、その双方を読み比べるとまた教師としての深い学びができる。これらを端的に表したものが文部科学省の著作教科書(☆本)です。☆本を使って教科学習の実践を、今度は研究したいなと思っています。ぜひ、御一緒しませんか?
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