外部の専門家が学校を訪問して授業を行ったり、クラブ活動に参加したりする取り組みが増えています。
4日の読売新聞の記事によると、昨年9月に経済産業省の「理科実験教室プロジェクト」のモデル地域になった三鷹市では、地元企業がコーディネーターとなって地域企業と学校をつなぐ役目を果たし、市内の小学校9校ですでに20回以上の授業が行われているということです。子どもたちの理科離れを食い止めようと市教委も力を入れています。
出前授業の取り組み例から、今後の可能性を考えてみましょう。
理科離れを食い止める授業は、企業だけでなく大学の協力によるものもあります。例えば、昨年12月19日の読売新聞の記事によると、愛知教育大学では、学生や教授が小中学校などに出向いて理科実験をする活動を行っています。そのうちの1つは、化学の教授と学生たちが山間や離島の学校で出前実験を行う活動。もう1つは、学生たちがサークル活動としてボランティアで大学周辺の小中学校に出向き、小中学校ではなかなか行えない実験で子どもたちを楽しませるという活動です。大学側は、これらの取り組みによって、将来教師を目指す学生たちが授業の準備から実践を経験できる貴重な機会と考えているとのことです。
私立大学と地元の小学校が協力している例もあります。昨年9月21日の読売新聞の記事によると、地元の区と「理数教育連携」で提携する立教大学では、学生が小学校教師に理科の実験について提案する「理科研修会」や小学校のクラブ活動で実験を披露する取り組みを行っています。立教大学では、地域に根ざした科学教育を実践するために、単位が取れる「理数教育企画」という科目をつくり、学生たちが小学校で理科実験を行う仕組みを整えています。
いずれの取り組みも、授業をしてもらう小中学校側、授業をする企業や大学側の双方にメリットがあると言えそうです。
小中学校では、専門家による実験で子どもたちの興味・関心を引き出し、理科離れを防ぐことができます。教員が実験の準備にかかる時間を節約することができ、準備しにくい特殊な器具を使った実験を子どもたちに体験させることもできます。また、専門家の授業から教員が学べることも多くあります。
一方企業側は、地域貢献・社会貢献としての取り組みができ、企業のことを知ってもらうこともできます。また、子どもたちに授業を行うために社員も勉強が必要となり、「わかりやすく説明する」ための訓練にもなります。社員にとっては自分の違った視点で見る機会とも言えます。
さて、ここで紹介してきたのは理科の実験についてでしたが、このシステムを生かすことは他の教科においても大変有効と言えるでしょう。特に、音楽や体育、技術、家庭科、外国語といった教科は、外部の専門家の力を借りることで子どもたちの興味・関心を飛躍的に高めることが期待できる教科ではないでしょうか。
例えば、音楽の授業では、地域の大学や愛好家グループに楽器を持って参加してもらい、一緒に演奏するといった試みはいかがでしょうか。また、家庭科の授業では、地域の方と一緒に伝統料理を作るといった試みはいかがでしょうか。
小中学校にも、企業や大学にも、それぞれにメリットのある出前授業。今後もっと盛んに行われるためには、どんな取り組みも「コーディネーター」の存在が重要になってくると思われます。実際に取り組まれている方、ご経験から何かよいアイディアはありませんか?
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- 名無しさん
- 2008/3/12 8:51:26
出前出張=理科というイメージもありますが、いろいろな教科に広がるといいですね。 -
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- 名無しさん
- 2008/3/15 22:22:42
山口県立博物館は年間に140回ぐらい出前授業をしているようです。