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漢検も難しくなる? 常用漢字の追加案公表
kyoikujin
2008/5/18 掲載
常用漢字五体字集―人名漢字付

 13日の産経新聞などが報じたように、12日、文化審議会漢字小委員会は常用漢字の追加素案をまとめた。その数、220字。この数を今後の審議で絞っていき、来年度中に文科相に答申、2010年度には制定する予定だ。
 以前の記事でも紹介したように、常用漢字は一般の社会生活において現代の国語を書き表す際の目安。改定によって学校現場にはどのような影響が出てくるだろうか。

公表された内容は

 検討の資料として、2006年までの3年間の出版物864点について、漢字の使用状況などを分析。出現頻度別にS・A・B・Cとランク分けをし、この中から常用漢字に加える必要性が高いと判断した220字を示した。S・Aは「基本的に加える方向(不要なものは落とす)」、B・Cは「特に必要な漢字だけを拾う」としている。

 ちなみに「S」とされた漢字は以下の42字。

鹿

 また、唯一「C」から挙がっている漢字は「」。ちなみに「A」は150字、「B」は27字。「愛媛県」の「」は「B」に入っているが、既報のように都道府県名に使われている漢字は原則として常用漢字として加える方針だ。

 なお、現在の常用漢字表にあってもほとんど使われていない漢字6字(銑・錘・勺・斤・匁・脹)については、改定で削除する方向で検討される。

教育現場では何か変わるのか

 学年別漢字配当表は「学習指導要領」で規定されている。3月に告示されたばかりの新学習指導要領で、学年配当に変更がなかった状況から考えると、小学校現場ではしばらくはあまり影響がないといえるだろう。

 中学校では第3学年までに、「常用漢字の大体を読むこと」とされている。「大体」がどの程度をさすか明確ではないが、教科書改訂の際などに少しずつ漢字が増えてくることが予想される。

 このほか、全国で熱心に取り組まれ始めている漢字検定についても、2級〜3級あたりの配当漢字が増えてくるはずだ。また、新聞等でも扱われる漢字が増えることで、NIEなどの取り組みを通じて子どもの漢字環境がわずかではあるが広がる可能性はある。

新潮日本語漢字辞典

 用字用語辞典などの改訂もあるだろうし、活字を扱う事業者も対応を迫られるだろう。日本初の日本語のための漢字辞典と評判になった『新潮日本語漢字辞典』の発刊など、ここへきて漢字に対するメディアの注目度も上がっている。常用漢字表という国語施策そのものへの賛否はあるが、知識基盤社会における漢字の扱いを考える良い機会ととらえたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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