- きょういくじん会議
14日の毎日新聞の記事によると、早稲田大は来年度から、社会科学部を現行の昼夜開講制から昼間部に変更することを発表したとのこと。早稲田大では以前に第二文学部も募集を停止しており、夜間部で残るのは、定員40人程度の文化構想学部夜間特別枠だけとなるようです。
もともと大学の夜間部は、働きながら通学する「勤労学生」のために設けられました。1949年に設置された早稲田大の夜間部の在籍生徒数は、ピーク時の57年には約1万2000人にのぼったようです。それが来年度から40人程度になってしまうのですから、いかに需要が少なくなっているかが感じられます。
勤労学生の減少・少子化
近年、勤労学生の減少や、少子化による受験生の減少により、夜間部のある大学の学部や学科で、受験者募集の停止が相次いでいます。
現在夜間部で学んでいるのは、勤労学生ではなく、学費や学力の問題で昼間部に入れなかった学生がほとんどで、本来の夜間部の意義がなくなってきた、というのが廃止の理由のひとつであるようです。
教育コスト
一方、コスト面の問題も大きいと思われます。
夜間部ももちろん大学の正規の過程なので、学費が安い・人数が少ないといった理由で授業の質を下げることはできません。
少子化の現代、昼間学部の学生集めに必死になっている大学が多い中、昼間部よりもコストがかかる夜間部を削って経営負担を軽くする、という事情もあるのではないでしょうか。
しかし、志願者が減っているとはいえ,需要はゼロではありません。人数が少なくなっても、ひとりの学生の熱意が変わらないのであれば、夜間学部・学科の減少は、夜学びたい学生の選択肢をどんどん狭めてしまうことになります。学ぶ機会を保証するためにも、大学の社会的役割を考えると、「廃止」に寄せられる批判も少なくないでしょう。
夜間部のこれから
一方で、夜間に開講する大学院は、ここ数年増加しているとのこと。2003年度の専門職大学院の登場による影響も大きいのでしょうが、夜のキャンパスの主役は、かつての勤労学生から、専門的な知識や技術を身につけたい社会人へと変化しているようです。
社会人になって初めて、「学位をとるために大学に行く」のではなく、「勉強したいから大学に行く」という人が増えているようです。社会の実経験をもって授業を受けると、教授からの一方的な講義だけでなく、さまざまな展開がみられるのではないでしょうか。