きょういくじん会議
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附属池田小事件からまる7年―子どもの安全確保のために
kyoikujin
2008/6/8 掲載

 8日の今日、大阪教育大学附属池田小学校でおきた児童殺傷事件からまる7年を迎えた。
 この事件後、全国の学校では、「地域に開かれた学校」として重視されてこなかった安全管理への意識が急速に高まった。

 附属池田小事件とは、2001年6月8日、「死刑になりたかった」という宅間守(たくま まもる)が同校内に進入。児童8名(当時1年生1名、2年生7名)を刺殺、13名の児童と2名の教員に傷害を負わせたもので、男は現行犯逮捕、すでに死刑が執行されている。

 この事件後、文部科学省では、学校施設の専門家、安全警備の専門家、学校現場関係者、有識者の協力を得て、「学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議」を設置、諸方策を話し合うなど対策に乗り出した。
 そして、「今、子どもの安全が脅かされている。」とはじまる学校安全緊急アピールを発表し、事件はいつ、どこでも起こりうるのだという危機感を持って子どもの安全確保に取り組むべきだと、学校マニュアルの策定、校門等の適切な管理、子どもの防犯教育の充実など学校安全に関する具体的な留意事項をあげた。
 それを受ける形で、学校現場でも登下校時間帯以外の校門施錠、警備員の配置、巡回、監視カメラの設置が進められ、子どもたち全員が防犯ブザーを持つ学校もある。

 しかし、附属池田小学校は遺族と行った合意書の中で下記のことを確認している。

  • 犯人が学校に侵入し、はじめにすれ違った教員は、会釈をかわさない犯人を保護者でもなく教職員でもないと思ったにもかかわらず、不審者という認識を抱けなかったこと
  • 死亡した8名の児童は即死ではなく、救命活動の遅れが死因に直結する失血死で、児童に対する組織的な避難誘導、救命活動、搬送処置が行えなかったこと
  • 混乱の中で負傷児童の氏名、場所、人数、負傷の程度の確認など、学校全体としての状況把握ができず、保護者への児童の搬送先病院の連絡が大きく遅れてしまったこと

 非常時に即時適切な対応を行うことは非常に難しい。それゆえに、監視カメラや防犯ブザーの整備だけではなく、日頃から教職員一人ひとりの危機管理意識を高め、緊急時の対応確認を怠らないことが望まれる。8日、この日に再度の意識喚起を行いたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/6/10 12:19:45
    同じ日にアキバの事件・・・。無差別殺人じゃ注意しようがないですよね、ひどすぎる。
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