きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
経済産業省が起業家教育向上への取り組み
kyoikujin
2009/4/25 掲載
アメリカの高校生が読んでいる起業の教科書

 経済産業省は、20日、起業家教育が行われている全国247 校の大学・大学院でどのような起業家教育が行われているかを大学や教員別に検索できる大学・大学院起業家教育データベースを公開した。また、来月より、大学での起業家教育を促進するための組織「大学・大学院起業家教育推進ネットワーク(仮称)」を設立する。ベンチャー企業へのインターンシップ制度の推進を行うなど、起業家教育の量と質の向上に取り組む計画だそうだ。

「起業家教育」の実態調査から

 こうした取り組みの背景には、同省が大和総研に委託して全大学・大学院734 校を対象に行われた調査「大学・大学院における起業家教育実態調査」の結果がある。この調査により、起業家教育はここ6年間で増加しており、全国の大学(回答校536校)の46%で何らかの起業家教育が実施されていることがわかった。これらの講座内容・形態は大学によって幅があるため、データベースの作成は、これらを整理し自分に合ったものを探せる点では重宝しそうだ。また、調査結果 報告書(本編)(PDF)では日本の起業活動率の低さを指摘しており、同省は、日本経済を活性化させるためには起業化教育を推進させ、のびしろのあるベンチャー企業を育てることが必要と考えたようである。

「起業家教育」の幅

 「起業家教育」というと、自分で会社を興す起業家を育てる実践的な教育ばかりかと思いがちだが、日本の大学・大学院での講座は、実際に起業・創業を志向する学生向けの専門教育型のコースから、一般教養的なコースまであり、内容にはかなりばらつきがある。比較的専門性は薄い横浜国立大学経営学部のキャリア教育では、ビジネスプランの考案・コンテスト、インターンシップなどの取り組みを行っているが、昨年度に実現した「横浜の野菜を使った1日地産地消レストラン」は特に話題を呼んだようだ。小・中学校でも架空の会社を設立し実際に商品を売るという取り組みなどを行う学校があるが、これらは起業のための実践というよりも、既存のものを選ぶだけでなく、新しく自分で何かやってみようとする人間を育成するということが目的であるようだ。

なぜ高等教育での「起業家教育」か

 さて、今回の起業家教育促進の主たる目的だが、「日本で数多くの起業家を生み出し、世界レベルのベンチャー企業を創出・成長させる」とのことである。先の報告の中ではなぜ初等・中等教育ではなく高等教育での起業家教育なのかということに対し、「実現性を問われずに将来の職業を夢見る初等・中等教育の時期ではなく、現実に職業を選択する一歩手前の段階である高等教育の時期において、起業家という職業の選択肢を認識させることが実効性の高い教育プログラムになる。」と述べている。
 ただし大学・大学院で起業家という職業の選択肢に気づいても、企画力、決断力等がともなっていなくては実際に起業することに直結しないのではという見方もあり、初等中等教育での起業家教育の重要性のほうが高いとする意見もある。また、諸外国に倣えと起業家精神に満ち溢れた人材をたくさんつくっても、新しい事業に挑戦しやすい土壌が育っていなければ、日本経済の活性化に直接結びつかないことも想定される。
 まだ起業というライフスタイルが一般的ではない日本だが、長期的な視点でも起業家精神のある人材とそれが活かせるような土台作りに取り組むことが期待される。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • たかつん
    • 2009/4/28 9:51:50
    この不景気の時代、起業を視野にいれて仕事を
    するのはとても良いことと思います。

    大人になると仕事の手ごたえが必要になりますから
    会社員だともやもやしてくる人も多いと思います。

    最近私の周りで会社員をしながら副業として
    土日や夜にお店を持つ人が増えています。
    将来を考えてのことかなと思います。

    夜のバーや土日の移動販売なら
    小資本でできちゃいますから
    それほどリスクなしで開業できるのかなと思います。

    私の友人は
    週末だけのカフェを先月オープンしました。
    収支はとんとんと言っていますが
    将来本業にするときの足がかりになると言っていました。

    その友人がカフェをオープンする前に
    最近話題になっている「経営者シュミレーション」と言うサービスを
    受けたと言っていました。

    http://www.history-share.com/
    経営者を1日体験し、経営をシュミレーションできるようです。
    友人は居抜きや仕入先、仕込みなどを
    学んだそうです。

    私も独立の書籍は読みますが、核心的なことは
    ほとんど載ってませんからね。

    このサービスは私も受けてみたいです。

    また、http://www.shopbiz.jp/fc/ みたいなものや
    http://www.inshokuowner.net/
    などがあるので、独立へのハードルはそんなに高くないと
    感じています。
    今の時代、副業や独立を視野に入れている人って
    多いんじゃないかと思います。

    若いうちから、起業の勉強をすると
    視野が広がって、いろいろな事を学べると思います。
コメントの受付は終了しました。